いきなりステーキの失速を影響力の武器を元に分析してみた
こんばんは。りょうへいです。
先日、いきなりステーキが令和2年中に74店もの店舗を閉店するという記事を目にしました。
いきなりステーキは、株式会社ペッパーフードサービスという会社の、1事業として行われており、只今のところ**国内457店、海外3店舗を展開しているようです。(※ペッパーフードサービスのHP参照) **
そのうちの74店舗が今年中に閉店をすることを発表しているので、実に15%強もの店舗が閉まってしまうんですね。
私自身はいきなりステーキ(のハンバーグ)が大好きで、月に一度は食べていたのですが、これほどまでに逆風に晒されていたのは寝耳に水でした。
そこで、【何故いきなりステーキは失速してしまったのか?】ということを【影響力の武器】という本を元に私なりに分析していこうと思います。
この記事は人が動くメカニズム、離れていくメカニズムを、実例から書いております。
まず影響力の武器という本はどういった本なのかを解説した上で、いきなりステーキに当てはめて考察をしていこうとおもいます。
1.影響力の武器とはどのような本か?
影響力の武器とは、ロバート・チャルディーニさんという方が書かれた本で、人が動かされる心理が書かれている本です。人には信号のように機械的に反応してしまうトリガーがあり、それによって人は動かされるという内容なのですが、具体的には6つの心理トリガーが紹介されています。それが
・返報性の法則
・コミットメントと一貫性
・社会的証明
・好意
・希少性
・権威
この6つです。
人間はこの6つが大きな要因となって、意思決定をし、動かされると言われているのですが、その中でいきなりステーキはどんな点において、「多くの人を動かすこと(来店をしてもらうこと)が出来なかったのか」について、私なりの分析をしていきたいと思います。
結論から申し上げますと、私がいきなりステーキの失速の原因となった点は3点あると思っています。その3点は、
【返報性、社会的証明、希少性】
です。
それぞれについての考察を書かせて頂きますので、是非最後まで読んでみてくださいね。
1.返報性
まずは返報性です。返報性とは、
【何かをプレゼントされたら、その分のお返しをしたくなるという人間の性質】です。
ここでいう返報性は少し解釈が違うのですが、お客様がお店を選んで来店をした時、
【対価に見合うものをお返ししてほしい】
という、心理的欲求のことです。
当然ながら私たちが飲食店を選ぶとき、そのお店にお金を払って食べに来てる訳ですから、それ以上の対価を得ようとしますよね。
で、予想以上のものが来れば感動→再来店となり、逆に予想以下のものに終わったときには不満が生まれます。
いきなりステーキはステーキ店としては比較的安価のチェーンですが、私たちが外食一回あたりにかける金額の基準からすると決して安いものではありません。
ここに、お店側と、お客様側で、求める基準のギャップが生まれてしまっていたのだと思います。
ステーキのプロであるお店側:「本格的なステーキを3000円で出せるのはウチだけだ」
お客様側:「そもそも外食一回で3000円出すなら、五千円出して和牛のステーキ食べるか、1000円のラーメン三回食べるよ」
こんな感じです。勿論世の中には3000円でステーキを食べるというような需要も今でもあるとは思うのですが、約500店舗も受け入れるほどの需要はなかったのではないでしょうか。
2.社会的証明
次の失策は、社長自らが出した張り紙にあったと思います。
張り紙の中では、要約すると、「今ピンチです!私たちは頑張っているから助けてください!」みたいなことが書いてあったのですが、ここに社会的証明の罠がありました。
社会的証明とは簡単に言うと、【みんながそうやっているのだから、私もそうしよう】と言うことです。
ここで張り紙を思い出して欲しいのですが、今ピンチなんです!と伝えることは、「みんなが行かないという選択をしている」というメッセージの裏返しなんですね。
勿論熱狂的なファンは、みんなが行かないという選択をしているなら、自分は助けてあげようと思うかもしれませんが、大多数の私のようなライトユーザーにはこのメッセージは刺さりません。
例外があるとすれば、その飲食店がなんらかの風評被害にあっていて、そのことを大多数のお客様が認知しているときです。
このパターンは、大勢のお客様が「被害者が頑張っているのだから救おう!」というモーションに動いていくため、ピンチであることを伝えた方がうまくいきます。
今回の張り紙をするにあたって、いきなりステーキはなんらかの被害を受けたわけではないので、逆効果だったのではないでしょうか。
3.希少性
最後は希少性です。
希少性とは、【人はなかなか手に入らない希少なものを手に入れたがる】という習性ですが、「手軽に食べられるステーキ店」というのは、当初確かに希少性があったのかもしれません。
ですが、ステーキガストのような、同価格帯以下のチェーンも台頭し、なおかつ自分たちの店舗数も500店舗に迫る規模になったとき、果たしていきなりステーキの存在は「希少」であると言えるでしょうか?
先ほども書いた通り、いきなりステーキはマクドナルドのような価格帯で勝負する場所にはいませんから、当然ながらある程度の希少性は必要です。
事実、希少性があった頃は飛ぶ鳥を落とす勢いで売り上げをあげていましたし、行列を作っているのを何度も目にしてきました。
その希少性の強みを、強気の店舗展開により打ち消してしまった経営戦略にも、失速の原因は隠されているのではないかと考えます。
最後に
ここまで批判的な記事を書いていきましたが、前述の通り私はいきなりステーキ(のハンバーグ)が好きです。無くなってもらったらちょっとだけ困ります。
影響力の武器の内容でいうなら、【コミットメントと一貫性】の部分については、肉マイレージをためていくと特典が増えていくという素晴らしい施策がありますし、全てが悪いわけでは勿論ありません。
もう一度希少だった頃のいきなりステーキに立ち返ってもらって、再び繁盛行列が出来てくれたら私自身も嬉しいですし、多くのお客様がそれを望んでいることでしょう。
この記事で伝えたかったことは【人が動くのには理由がある】ということです。
逆にそこから外れてしまうと、大きな組織でも凋落は一瞬の出来事です。
人間が動くのには必ず理由があることがわかりますから、皆さんもぜひ、影響力の武器を読んで、人間が動く理由について学んでみてくださいね。
この記事を読んだ方が実例を元にした影響力について、少しでも学びになって頂ければ幸いです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
頂いたサポート代を全てうまい棒に変換し、1年後にnoteで写真公開することを目論んでいます。