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エンジニア経営者が2022年に読んだ本、聴いた音楽、ととのったサウナ。

こんにちは。
新規事業を推進する会社で経営やエンジニアリングに携わる大川です。

2022年も早いものでもう終わりですね。

今年はやっとnoteをはじめたこともあって「noteで何か振り返ろうかな?」と考えていたのですが、プロフィールに「趣味は音楽フェス、ボクシング、サウナ、読書。」と記載しているからにはその中から2022年を振り返りたいと思います。

読書、音楽、サウナと、最後に少しボクシングで。

2022年に読んだ本 5選

刊行された日はバラバラですが、なるべく最近に刊行された本の中からよかったものを選んでいます。

1. 気候危機とグローバル・グリーンニューディール

ノーム・チョムスキーロバート・ポーリンの対談形式により、気候変動を止めるためのグリーンニューディール(経済政策)を語り尽くす内容。

デマに過ぎない気候変動懐疑論に加え、脱成長・脱資本主義イデオロギーも、経済学の炭素税主義も、EUの2050年CO2ゼロの約束(に基づくGDP1%の投資)も、データで覆される。

気候危機とグローバル・グリーンニューディール

とあるように、気候変動に関する懐疑論やネガティブや間違った思想、不十分な政策をデータで反証し、気候変動を止めることと経済成長は両立させることができる、という、一般的な認識とは異なる結論を説く。

そのためにはクリーンエネルギーへの公共投資とその資金源の捻出が必要とのこと。具体的な政策としては次の4つが挙げられていました。

  1. 炭素税

  2. 軍事予算からの資金移転

  3. グリーン債による資金調達

  4. 化石助成金の廃止とその資金のクリーンエネルギー投資

公共投資をする金額は大した額ではない。課題は既得権益(化石)からの(緩やかな)移行ができるか、そのための政治参加、社会運動、世論形成が必要である、とのことでした。

社会課題については何事もそうですが、気候変動に関しても、会社の経営側の立場としても気候変動の抑止に参加する、少なくとも、反しないような事業活動をしないといけないなと思う次第です。

今年の夏にイギリスのグラストンベリーフェスティバル(Glastonbury Festival)というアートフェスティバルにいったのですが、そこでもグレタ・トゥーンベリさんの演説が聞けたことは大変よい経験でした。ちなみに、ウクライナのゼレンスキー大統領の演説もグラストンベリーで放映されました。フェスティバルで社会課題のメッセージが発信されて参加者の会話の話題となるようなデザインは見習っていきたいです。

2. 経営リーダーのための社会システム論 構造的問題と僕らの未来

社会学者の宮台真司さんと、経営学者の野田智義さんが大学院大学至善館で社会人学生に行った講義が書籍化されたもの。

私自身も宮台さんの書籍はいくつか愛読していますが、過去の書籍の内容も含めて、社会の問題と未来のための処方箋をわかりやすくまとめた本。

社会なくしてビジネスは存在しない。ところがビジネスパーソンほど、ふだん社会のことはあまり考えない。
社会は便利で暮らしやすくなっているはずなのに、人々はなぜ孤独で誰もが入れ替え可能なことに悩むのか?世界中の人々が繋がれる時代になぜ分断が加速するのか?
私たちの世界観・未来像を一変し、社会を見通すフレームワークを得ることができる、すべての企業人必須の1冊。

Amazon.co.jp

とあるように、社会学の視座も経営者やリーダーに必要であると私も思います。「社会を良くしたい!」という思いがあるなら尚更。

本の最後の章には処方箋として次のように書かれています。

システム世界やテックと共存しながら、食やエネルギーの地産地消を梃子に共同体自治を確立し、小さいユニットから「われわれ意識」を取り戻すという提案に耳を傾けていただければ、社会学のアプローチとは何たるかが、より深く理解いただけるのではないかと思う。

もちろん、この処方箋はけっして万能ではない。一部の条件に恵まれた地域でしか実現できないかもしれない。しかもその実現に向けては「2階の卓越者」と僕らが呼ぶ「立派な」リーダーの存在が不可欠だ。そしてそうしたリーダーは、残念ながらきわめて少ないのが現実だ。

経営リーダーのための社会システム論

「2階の卓越者」というファシリテーターを務めるリーダーにより、国家レベルではなくミクロレベルで、真の意味での、民主政を回す共同体自治の確立が必要とのこと。「1階の卓越者(= エリート)」によるトップダウンのリードではなく、参加者の主体性・オーナーシップによる合意形成するリードする縁の下の力持ちとなるリーダー(=2階の卓越者)が必要。

会社でもファシリテーターの重要性は身に染みて感じます。エンジニアの言葉では「サーバントリーダーシップ」というリーダーシップも近しい意味です。如何にチームのメンバー・参加者の主体性を引き出すか。それは会社でも社会でも等しく重要なことですね。

会社という共同体を経営する身としても、テックに関わる身としても、地域に関わる一児の親としても、この本に書かれていることや宮台さんのような社会学者の仰ることは理解して実践していきたいと思う次第です。

3. 暇と退屈の倫理学

10年ほど前に話題になった本が近所の本屋さんで取り上げられていたのであらためて読み返してみました。

ハイデッガーやスピノザなどの先人達が取り組んだ暇や退屈についての問題に挑み、「なぜ人は退屈をするのか?」から「人は退屈とどう向き合えばいいのか?」を人類史や先人達の哲学を参照しながら結論を出していく内容。

「暇や退屈はどこからくるのか?」を理解しそれらと向き合う姿勢をつくった上で、消費ではなく浪費・贅沢をすること。決断の奴隷とはならずに動物となること・人間であること、つまり、楽しむこと。楽しめるための訓練をすること。を結論としてます。

本書を通読せず最後の結論だけ読んでも全く腹落ちするものではないですが、コロナ禍で加速した仕事や働き方、仕事以外の可処分所得時間との付き合い方を見直す時代の流れに内容がマッチしていて、今のタイミングで本屋さんで特集されていたことには、なるほどな、と納得しました。

衣食住を楽しむこと、芸術や芸能や娯楽、スポーツを楽しむこと、
観念や記号の消費ではなく贅沢・浪費としてそれらを心から楽しむこと、
そのためには時間をかけて訓練をし、楽しめるようになるまで待ち受けること、それが、暇と退屈と向き合い、人生を豊かにしていくことに繋がっていくと。私もあらためてそう思います。

4. 三体X 観想之宙

小説からも1つ。アジア初のヒューゴー賞、世界で2900万部、日本でも63万部を売り上げたハードSF『三体』三部作の公式スピンオフ。

SFは昔から大好きで、仕事に繋がるアイデアや課題の着想となることも多いのためSFは意識してよく読むようにしているのですが、『三体』三部作は個人的にも人生で最も好きなSF作品となりました。(以前まで一番好きなSFはインターステラー)。

同人誌的な展開もありますが、『三体III 死神永生』で描かれた裏側を三部作と同じレベルのスケールで展開されて大満足。『三体』連載開始の前年に出た前日譚『三体0【ゼロ】 球状閃電』も先日発売されましたね。

『三体』三部作をまだ読んでないSF好きの方は是非読んで欲しいです。物理学が好きな人は特に。インターステラーが好きな人は絶対ハマります。そして一緒に語らいたいです。

5. Googleのソフトウェアエンジニアリング ―持続可能なプログラミングを支える技術、文化、プロセス


最後に技術本を。去年刊行の本ですが、700ページ近い大著を今年になってようやく読み切ることができました。こちらの感想や学びは別途noteにまとめたいと思いますが、内容としてはもちろんGoogleだからこそできることも多く書かれていますがベンチャーのような会社でも参考になることが沢山書かれています。仕事机の近くに置き、辞書のように参照していきたい本です。

技術本になりますがエンジニアでなくとも、エンジニアと一緒に仕事をする方やテック系の企業の方にも以下の章は読んでもおもしろいかなと思います。

第2部 文化
2章 チームでうまく仕事をするには
3章 知識共有
4章 公正のためのエンジニアリング
5章 チームリーダー入門
6章 スケールするリーダー
7章 エンジニアリング生産性の計測

Googleのソフトウェアエンジニアリング

Googleは組織やチームでの生産性を高めることを突き詰めた職種の中でも最たる企業であると思いますし、特にチームで仕事をする職種の人たちには応用できることが多いのではと。

2022年に聴いた音楽 3選

次に音楽。
Spotifyユーザーには毎年恒例の個人の1年間の振り返りレポート、私はこのようなかんじでした↓

この中から、よく聴いたアーティスト、アルバムを3つ。

1. BADモード / 宇多田ヒカル

日本を代表するアーティストの宇多田ヒカルさんの新譜より。新譜の「BADモード」はこれまでの彼女のアルバムでも一番聴きました。Spotifyでもよく聴いていたのですが、私が役員を務めているSpincoasterが運営するSpincoaster Music Barで「BADモード」のレコードがムジークのスピーカーで聴けるのですが、それがまた音が良くてお酒がすすみます。。

アメリカの音楽メディアPitchfork(ピッチフォーク)の年間ベストアルバム&シングルにもランクインして話題にもなりましたね。

宇多田ヒカルさんのライブ観たいな。。

2. Sometimes I Might Be Introvert / Little Simz

前述しましたが今年の夏にイギリスのグラストンベリーフェスティバル(Glastonbury Festival)という、規模や名実ともに世界最高峰のイギリスのアートフェスティバルにいってきました。

そこで一番観たかったアーティストがこのリトル・シムズ(Little Simz)。アルバムは去年にリリースされたものですが、グラストンベリーフェスティバルで楽しむためによく聴いていました。また、ODD BRICK FESTIVAL 2022でも来日したのでそこでもライブを観に。音楽はもちろんファッションや着こなしもめちゃカッコいいです。

新譜の「No Thank You」も12月にリリースされたので最近はこちらもよく聴いています。


3. SUPER CHAMPON | おとぼけビ~バ~

今年のスペインのバルセロナで6月に開催された音楽フェスPrimavera Sound Barcelona 2022(プリマベーラ サウンド 2022)の盛り上がっている様子がSNSで話題になっていて、その後に開催された今年のフジロックフェスティバルにも彼女たちが出演。私もフジロックでライブを観てどハマり。何よりライブがめちゃめちゃカッコいい。ライブの後に気づいたら物販で課金。

「SUPER CHAMPON」だけではなく、前作の「いてこまヒッツ」も同じくらいよく聴いてます。


2022年にととのったサウナ 3選

今年はコロナ禍も少し落ち着き、仕事や旅行で遠出することが増えてきました。その中から印象に残ったサウナを3つ。

1. Lost Horizon Sauna @ Glastonbury Festival 

先述したイギリスのGlastonbury Festivalの中に出店していたLost Horizo​​n Sauna。Lost Horizo​​nのエリア内はヌーディストエリアになるのですが、全世界からフェスに集まってくる多国籍で老若男女の人達と裸でサウナに入り、プールに入り、焚き火を囲みながらライブを観る体験は全く新しい世界。

日本でもフェスにテントサウナが出店しているケースが増えてきてるのかなと思います。音楽フェスxサウナの組み合わせはいいですね..。

2. ペンション『ラ・ネージュ』のテントサウナ @ 苗場 / フジロックフェスティバル

noteにレポートがあったので詳しくは↓をご参考くださいませ。

フジロックの会場外になるのですが、会場近くの川の横にあるペンションが今年からテントサウナを運営していまして、テントサウナ後にそのまま冷た〜い川にダイブ。冷たすぎて10秒が限度ですがフェスで疲れた体には最高にととのいます..。今年はわりと空いてましたが来年からは人気で入れなくなりそう。

3. 森のサウナ Replus

予約がなかなか取れない森のサウナReplusさん@京都に仕事の関係で運よく遊びにいくことができました。贅沢なログハウス一棟貸切のサウナで、冷たい川の水のドラム缶と、ウッドデッキで森林にかこまれながらのととのい。

ここは5人まででしか予約できませんでしたが、もっと大人数で仕事の経営合宿や開発合宿でもこういうところを利用したいなと思いました。自社でもサウナ施設をつくたいな。。

2022年に観たボクシング

近年格闘技が盛り上がってる?のでしょうか。井上尚弥選手のご活躍はもちろんBreaking Downの影響もありそうです。

個人的もボクシングジムに通っていることもあり、この数年はボクシングの試合を観ることが増えてきました。ネットでも中継されるような世界タイトル戦や、通っているジムが興行する試合を後楽園ホールまで観にいったりと。

今年の世界タイトル戦で印象に残っているのは次の3つ。

  • WBA・WBC・IBF世界バンタム級王座統一戦 井上尚弥 vsノニト・ドネア
    井上尚弥選手の圧倒的な強さを見せつけたドネア戦。

  • WBA・IBF世界ミドル級王座統一戦 ゲンナジー・ゴロフキン vs 村田諒太
    日本でゴロフキンの世界戦が開催されたことが何よりも凄いですが、村田選手の気迫に感動。 

  • WBC・WBA王座統一戦 寺地拳四朗 vs 京口紘人
    日本人同士の王座統一戦。SNSやメディアでもよく目にする京口選手が負ける姿は想像できなかったのですが、寺地選手が強かった。ジャブの強さに見るように積み重ねてきた努力と自信が寺地選手に感じられました。

エンジニアと対極にいるような格闘家。機械ではなく血の通っている1人の人間として感じるものが多くあります。今年は去年よりジム通いが減ってしまったので来年はもっと鍛えていこう…。

おわりに

みなさまは2022年はどのような1年だったでしょうか。

個人的にはコロナ禍の前の気持ちや生活を取り戻しつつ、それらをコロナ禍後の社会に合わせてアップデートしていくような1年でした。

最後まで読んでいただきありがとうございました。よいお年をお迎えください。

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