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【マーケティング】4P分析から7P分析への移行


「マーケティングの分析」というと4P分析がまず頭をよぎる人は多いのではないでしょうか。
先日下記のようなTweetをした際にもDMで聞かれたのでせっかくなので纏めてみることにしてみました。

私が4P分析ではなく、7P分析を推すのは、今の世の中「商品を販売する際にサービスマーケの3Pなしには物は売れない」と確信しているからです。

それに加えて
①デジタル空間・素材という無形性腐敗性を補うものの出現
②AIやロボットなどによるサービスの同質性の担保
③社会の中での価値観の分散による無数の価値観やニーズが発生
し、世の中が変わってきているからです。
上記はどういうことなのか、説明をしていきたいと思います。

大分長いものになっているのでサクッと読まれたい方は見出しの「2020年の今に何故7Pが必要か」まで飛んでみてください。

そもそも4P分析とは

4P分析とは1960年にエドモンド・ジェローム・マッカーシーが提唱したマーケティングフレームワークです。4つのPから始まる単語の頭文字をとって4P分析と言われています。

Product (商品)/ Price(価格)/ Place(流通)/ Promotion(販促)

この4つをどう使うか、というとターゲットとする
顧客のニーズを捉えた「商品(Product)を開発」し
最適な「価格(Price)を設定」し
届けるために最も効率的な「流通網(Place)を構築」し
最も効果的な「販促(Promotion)」を展開する
為のフレームワークとして使っていくわけです。

これは自社サービスのプランニングをするためにも使えますし、競合分析をする時にも使えます。

7P分析は4P分析とどう違うか

では7Pは4Pとどう違うのでしょうか。
7Pフレームワークの提唱者は最近では近代マーケティングの父、フィリップ・コトラー氏だともいわれていますが、最初は1981年にB. Boom & M. J. Bitnerという二人の学者だともいわれています。

半世紀も前に提唱された4Pは基本的には有形商材(形ある商品、いわゆるGoods Marketingと呼ばれる物)に対しての考え方に対して、コトラーの提唱する7Pは無形商材(形のない商品、いわゆるService Marketingと呼ばれる物)に対しての考え方になります。
そのため、7Pは4P(Product/Price/Place/Promotion)の他にサービスマーケティングに重要な3Pが追加されます。

その3Pとは

People(人)/ Process(プロセス)/ Physical Evidence (物的状況・証拠)

の3つになります。

3Pの詳細に入る前に、まずは一度「サービス」の特性についてみていこうと思います。

サービスの特性とは

サービスの特性は大きく4つに分かれます。
無形性 (Intangibility)
分離不可能性 (Inseparability) 
腐敗性 (Perishability) 
異質性 (Heterogeneity)

の4つです
*分け方によっては上下するのですがここでは4つに分割してます

無形性 (Intangibility)
サービスは商品と違って手に持ったり触ったりすることができません。これは、サービスは顧客が体験するものであり、体験は物理的な商品ではないからです。

分離不可能性 (Inseparability)
サービスは、サービス提供者から切り離すことはできません。消費者はやろうと思えば製品・商品は生産者・メーカーから奪うことができますが、サービスはサービス提供者が「顧客のために何かをすることを伴う」ので、奪うことはできません。例えばホテルに勝手に止まることは(物理的には)可能ですが、その「ホテルでの滞在を楽しむサービス」はホテルマンやコンシェルジュに「客だ」と認識されない限り、成り立たないのです。

腐敗性 (Perishability)
サービスは特定の時間だけ続くものであり、製品のように後で使用するために保存することはできません。例えば、インテリアデザイナーは「物件を設計」するというサービスを消費者に提供・販売します。しかしもし消費者がその家を再設計したいと思ったら、もう一度そのサービスをインテリアデザイナーから購入する必要があります。

異質性 (Heterogeneity)
企業は一貫したサービスを提供するためのシステムや手順を持っていますが、それぞれのサービスを同一のものにすることは非常に困難です。例えば、同じ飛行機の旅を2回行っても、天候や飛行機内の他の乗客など、航空会社がコントロールできない状況のために、乗客には違った印象を与えることがあります。

3PのPeople(人)/ Process(プロセス)/ Physical Evidence(物的状況・証拠)とは 

上記でサービスの特性については記述をしました。
無形性 (Intangibility)
分離不可能性 (Inseparability) 
腐敗性 (Perishability) 
異質性 (Heterogeneity)

これらの特性をマネージするために4P以外にサービスマーケティングには3Pという特性があります。それが

People(人)/ Process(プロセス)/ Physical Evidence (物的状況・証拠)

です。

People(人)
人はサービス提供に不可欠な要素であり、競争上の優位性を生み出すためには、適切なスタッフの採用と育成が必要です。顧客は特定の組織を代表する人材に基づいて、サービスの提供や提供について判断します。
なぜなら、人は、顧客が目で見て交流できる数少ないサービスの要素の一つだからです。そのため「現場スタッフ」は、質の高いサービスを提供するために、適切な対人スキル、適性、サービスの知識を必要とします。
また、その場にいる他の顧客の行動によりサービスの質も変動するため、「ほかの顧客がどう行動するか」も考える必要があります。

Process(プロセス)
プロセスは、サービスを提供するために使用されるシステムに注目しています。効率的なサービスの提供を可能にしたプロセスとは何でしょうか?すべてのサービスは、明確に定義された効率的なプロセスによって支えられる必要があります。これにより、混乱を避け、一貫したサービスを促進することができます。言い換えれば、プロセスとは、誰もが何をすべきか、どのようにすべきかを知っていることを意味します。よくプロセスはオペレーション改善の様にも扱われますが、サービスマーケティングの中ではマーケティングの一部として見ていくことの方が多いです。

Physical Evidence(物的状況・証拠)
物的証拠とは、サービスがどこから、または何から提供されているか、を表すものです。これは、サービスの特性の「無形性」に大きくかかわってきます。物的証拠は、サービスにプレミアム価格を請求し、肯定的な体験を確立するために使用することができます。わかりやすい例を出すとホテルに宿泊する、というサービスを購入したとしましょう。その場所で1泊するという条件は何も変わりませんが例えばホテルが豪華、心地よいベッドがある、晩御飯はおいしく、部屋に戻ったら「お誕生日おめでとうございます」などといったバースデーカードがおいてある、など「無形の」その一泊を「よりよいものにする」「有形の」補助、といったようなものです。
昔Business Schoolで言われた言葉で今でも覚えているのが
The ultimate goal of service marketing is to make tangible intangible, and make intangible tangible (サービスマーケの最たる物としては形あるものを極限まで形をなくし、形ないものを極限まで形作る事が出来れば成功である)と言うくらい形ないサービスを極限まで形にすることで生まれる、と叩き込まれたことがありました。

2020年の今に何故7Pが必要か

4Pが提唱されて既に半世紀、7Pが提唱されてから既に30年が経っています。当然ながら、時代背景も変わってきています。個人的にはマーケティングのヒットの有無は事前には絶対にわからないと思っています。運やタイミングの要素が大きくかかわってくるからです。ただ当然ながらその成功確率を上げていくことは可能です。
そのために自分が使いやすいフレームワークを使えばいいのですが、私は個人的には7Pが今の時代背景にあっていると思っています。言い換えると有形商材でもサービスマーケの分析をすべきだと思っています。
何故ならば7P分析を推すのは、今の世の中「商品を販売する際にサービスマーケの3Pなしには物は売れない」と確信しているからです。

理由としては
①デジタル空間・素材という無形性腐敗性を補うものの出現
②AIやロボットなどによるサービスの同質性の担保
③社会の中での価値観の分散による無数の価値観やニーズが発生
です。

①・②の理由により「サービス特有の特性」がなくなってきている
=有形商品と無形商品の垣根が低くなってきている
分離不可能性 (Inseparability) だけは今の時代でもサービス特有のものだと思っています)

③は上記二つとは毛色が少し違うし、ほぼ個人的な感想のですが
4P分析だけやっていてもマスマーケの世界から抜け出せないんですよね。
7Pまで細かくやってこそ多様なニーズに食い込めるのです。
超のつく個人的な愛で例を出すんですが、
アパレルブランドで私の好きな10YCというブランドがあります。


10YCさんは自社店舗を持たないんですよね。基本はポップアップストアで展開をしているんです。本来これってPlaceの部分の話になるんですけど、10YCの場合これがPlaceにもPriceにもProcessにも、そしてPeopleにもなるんです。
何故ならば自社店舗がなければ固定費が浮く、というProcessを作り、それによってPriceを下げて提供し、そのポップアップストアを出している「Placeのファン」を自社のファンに取り込んでPeopleのMarketingにもしているからです。(私も取り込まれたファンの一人です)

またこのコロナ禍でもInsta-liveなどで接客をしたり(その他にも #おうちで繋がる など面白いこといっぱいやっていますが)など、「有形商材だからものを売る」だけでなく「無形商材のような3Pの部分も補填をしている」のが当たり前になっているところを見ると今後こんな感じで有形商材というのは差別化されていくんだろうな、と思ったのでした。

最後の方は10YCさんの回し者みたいになってしまいましたが、全く持って関係はないですし、10YCさんの活動が7Pを基に実施されているのか、はわかりませんがいい例として紹介をさせていただきました。

アフターコロナ・ウィズコロナを見据えて


個人的にはアフターコロナ・ウィズコロナで伸びてくるのはマス向けのブランドではなく小さいサービス、小さいD2C、ニッチセグメントを責めた商品などじゃないかなと思っています。これだけ生活様式が変わり、デジタル化が進み、普段関わる人が変わってきているため、生活の中での基本的な楽しみやニーズが変わっていく、そしてそれはマス商品では対応できないから、だと思っています。

そんなニッチサービス・ニッチ商品がよりよく、今後も世の中に出ていくことを祈って一生懸命7P分析の重要さを書いてみました。

これからも色々書いていきますので応援・フォローよろしくお願いいたします。

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