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音に紛れる、思いが溢れ出す、青い春の瞬き

音楽が好きだ。音楽には人を癒す力や悲しみを悲しみのままでいいんだと、錯覚させてくれる不思議な力がある。挫けそうになったときや失恋で悲しい思いをしたときなど、音楽はいつもじぶんの心を代弁してくれていた。

喜びや悲しみなど、あらゆる心情を表す音楽。朝起きたときにテンションを上げるためにかける音楽もあれば、眠れない夜に睡眠を誘うための音楽もある。音楽はいつも身近にあって、いつの間にか生活の中心になっていた。

いま振り返ると、音楽に救われてきた人生を歩んできた。それはこれから先も変わらないだろう。音楽にハマりはじめたのは小学生のときだ。我が家にはたくさんのCDがあって、曲名もアーティスト名も知らぬままただ音楽を流し続けていた。

ミスチルにハマりはじめ、BUMPやRAD、さまざまなロックバンドの曲を聞いてきた。1人のアーティストを知れば、もっと知りたくなる。アーティストの小ネタやアルバム曲に留まらず、カップリングも聞く。BUMPには隠しトラックがずっとあって、アルバムが出るたびに、隠しトラックの聞き方をネットで調べたものだ。

ちなみに僕が音楽に救われたのは中学生のときの話。中学のサッカーの試合の前に、BUMP OF CHICKENの「バトルクライ」を聞いたことが、音楽にはじぶんを鼓舞したり、物思いにふけさせる力があると知ったきっかけである。

部活動がはじまって以来、初の市大会出場をかけた大事な試合。初出場がかかっていたため、前日から緊張を隠せないでいた。

「もし負けたらどうしよう」

不安ばかりが頭を過ぎる。その夜はなかなか眠れなかった。そして、朝が来て、寝ぼけ眼を擦りながら、「今日は頑張ろう」と心を入れ替えた。用意を済ませ、左足から靴を履く。左足から靴を履くのは願掛けみたいなものだ。いまでも左足から靴を履くことが毎日のルーティンになっている。

家を出たあとに、携帯にイヤホンを繋いで、「バトルクライ」を流す。耳元から流れてくるメロディー。イントロが終わり、いよいよ歌詞はAメロへと突入する。

自分にひとつ嘘をついた 「まだ頑張れる」って嘘をついた
ところが嘘は本当になった 「まだ頑張れる」って歌ってた
ずっとそうやってここまできた

「バトルクライ」は「これまでの努力は嘘をつかない」と、思わされる肯定的な歌詞が特徴である。音楽が進むにつれ、少しずつ上がっていくボルテージ。音楽が鳴り止む頃には、今日の試合は勝てそうだと思えるようになっていた。

まもなく試合がはじまる。試合前にもう1度「バトルクライ」を聞いて、じぶんを鼓舞する。相手は部活動3年間で1度しか勝ったことがない相手だった。周りは僕たちが負けると見ていた。だから、その相場を崩したい。そんな一心でこれまでの厳しい練習を耐え抜いてきた。

苦戦を強いられることは目に見えていた。

「できることを全力でやろう」

キャプテンが僕たちを円陣で鼓舞した。思った通り苦戦を強いられる。数少ないチャンスをものにし、先制点を取ることに成功した。この1点を守りきれば僕たちの勝利だ。でも、守りきる戦いなど誰も望んでいない。

攻撃は最大の防御なり。攻めるチャンスがあったときに、果敢に攻め続ける。大きなピンチを迎えることなく、後半戦へ突入する。試合前と同じように、キャプテンが全員を集め、僕たちを円陣で鼓舞した。

後半のキックオフの笛が鳴る。なぜか体が軽くなった。前半同様、僕たちは果敢に攻め続けた。チームメイトの1人の足が攣る。途中交代を余儀なくされ、不安の色を隠せない。そのとき、バトルクライの「ここが僕のいるべき戦場 覚悟の価値を決める場所」という歌詞が頭に思い浮かんだ。

そこから気持ちを入れ替え、チーム全員で勝利を手にした。試合に勝ったときのガッツポーズの感触はいまだに覚えている。あのときなぜ試合に勝てたのかは、正直覚えていない。でも、「バトルクライ」がじぶんを鼓舞してくれたその事実だけは変わらない。

見事、創部初の市大会出場を果たした。

市大会では1回戦で負けてしまったけれど、「バトルクライ」がもたらした恩恵は、たしかに大きなものだった。あの日から大事な日は必ず「バトルクライ」を聞くようにしている。

音楽は人間の感情を、大きく揺さぶるものだ。いい作用に働く場合もあれば、悪い作用に働く場合もある。でも、僕はサッカーの試合で、音楽の可能性を知ってしまった。音楽は生活に欠かせない必需品であり、心の代弁者でもある。

これから先もいままでと同じように、たくさんの音楽と出会っていくのだろう。音楽に紛れて、思いがこみ上げる。そんな瞬間とたくさん出会いたいし、自身も文章で、誰かの人生にいい影響を与えられるそんな機会をたくさん作り出したい。

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