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読書感想文 『ライ麦畑でつかまえて』

【ライ麦畑で捕まえて】


17歳の青年ホールデンからみえる社会は気に食わないことだらけ。


そんな青年から去年のクリスマスの出来事について語られる小説。
正直、タイトルだけで想像していたのとは全く違う内容で驚いた。


大人なる前の期間って、子ども時みたいに無邪気にいられないこともあって、反抗期でもないのに人生や社会に対して不満が目につくことがあったりする。人生で考えたらすごく難しい期間だと思う。
この小説はホールデンを通して巧みにその心境を描いている。ある面では子どもぽいところがあるのに、他の面では大人のように振る舞おうとしている。


そんなホールデンのなりたいことが、『ライ麦のつかまえ役』なのである。詳しいことは読んでもらえば分かるけど、感想としては是非その役やらせて欲しい、である。大人として子どもに対してできる素晴らしい役であると思う。こんな大人が身近にいれば子どもは思いっきり楽しめるだろう。



p.293にこんな引用がある。
『未成熟な人間の特徴は、理想のために高貴な死を選ぼうとする点にある。これに反して成熟した人間の特徴は、理想のために卑小な生を選ぼうとする点にある』

卑小な生を生きて、高貴な死を選んだならばその人は成熟なのだろうか未成熟なのだろうか。生き方は成熟してて死に方は未成熟なのだろうか。
卑小に生きていけば成熟した大人になれるんだろうか。

ひとつ思うのは、捕まえる役をやりたい(やれる)大人になれれば成熟してようと未成熟だろうと、思いやりのある大人にはなれているんじゃないかということ。



ライ麦畑で捕まえる役を担える大人になりたいと思った小説でした。



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