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読書感想文 『スピノザの診察室』

【スピノザの診察室】

・2024年本屋大賞第4位



スピノザ オランダの哲学者らしい。。。
スピノザのことは全く知らなかったし、哲学のこともよく知らない。でも、この本に出てくる雄町哲郎先生(マチ先生)がスピノザを評価しているのなら間違いなく素晴らしい哲学者なのだろう。



医療のイメージって、この本を読むまでは科学、技術、知識、経験、薬、、、色々思い浮かぶものはあったけれど、この本を読んでそこに祈りのような概念的なイメージが追加された。


それは、医療ひいては人間が万能ではなく、病を常に回復させることはできないことが描かれていたから。まあ、当たり前のことだけど。。。
でも、それが当たり前だと分かっていても、人は病院に通うし、薬も飲む。そして、医者は治療をする。その行動の根底にあるのは、技術や経験や知識とかではなく、「治りたい」や「治したい」という気持ちや祈りのようなもののはず。



この先、死が近づくような病が自分に訪れたとする。その時はただ治してもらいにいく気持ちだけでなく、しっかりと先生と向き合って、病と向き合って、絶対はないことを受け入れて、少しは頑張ってやれることをした上で死と相談しよう。


この本には、ただ治療や手術をして助かって、よかったね。では収まらない温かさ、感動が詰まっている。マチ先生にとっての哲学者がスピノザなら、私にとっての哲学者がマチ先生になった。





余談。

この小説、甘党には素敵な情報満載だった。マチ先生が言う、この世の中にはぜひ味わう三つの食べ物、を全部食べたい。
マチ先生を甘党の先生と呼ぶことにしよう。


最終章は「秋」だったけど、マチ先生の「春」は来るかな来ないかな
 




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