全長転位音、2次転位、構成音の変位 一歩進んだ和声学 Part 46
今回も引き続き転位音の話ですが、ここでは3つの事柄を紹介します。
全長転位
2次転位
構成音の変位
の3つを解説していこうと思います。
1 全長転位
全長転位というのは転位音が和音の開始点に置かれ、後続する和音交替点で初めて解決することです。
全長転位音は掛留音として現れることが多いです。
全長転位音は基本的には復元解決します。
例外として
全長下方転位根音
全長上方転位第5音
は経過解決も可能です。
このことから第7音というのは
経過解決する全長下方転位根音といえます。
そして付加第6音は
経過解決する全長上方転位第5音といえます。
全長転位音も解決の延引が行われます。
2個以上の全長転位音が結合される場合があります。
これも一種の解決の延引といえます。
2 2次転位
ある構成音の転位音が、更に転位することを2次転位といいます。例えば、上方転位した音が更に上方転位される、下方転位された音が更に下方転位される、といったものです。
2次転位は以下のように表します。
2次転位とも定位音ともとれる場合は、原則的に定位音として取り扱います。
2次転位に関しては、こんなのがあるんだなぐらいの認識にとどめておいて構いません。
3 構成音の変位
定位構成音は、変位音度へと移ることがあります。これを構成音の変位といいます。変位は上方変位と下方変位の二つがあります。
変位音は拍点、拍点外のどちらにも表れ、更に全長変位音も存在します。
ちなみに全長変位音の中でも長3和音の第5音が上方変位したものは、ポピュラー音楽ではオーギュメントコードと呼ばれています。
変位音が拍点にある場合は、その変位音は短2度進行で到達され、その後同方向へ増1度の復元解決をします。
変位音が拍点外にある場合は、先行原位から増1度進行し、その後短2度の経過解決をします。
一方で転位音も変位する場合があります。この変位した転位音は変位転位音といいます。
変位音の転位音も存在します。(変位転位音)
上方変位した下方転位音は、復元解決の他に増1度の経過解決を行う場合があります。
変位音とその同種定位音との同時関係には制限があります。
同種定位音が予備されている場合のみ上方変位音とその同種定位音との同時関係が認められます。上方変位音というのがポイントです。
一方で下方変位音とその同種定位音との同時関係はいかなる場合も禁止です。
4 終わりに
いよいよ転位音も終わりに近づいてきました。
次回は借用転位音を中心に紹介していこうと思います。
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