借用転位音など 一歩進んだ和声学 Part 47
今回は借用転位音などを紹介していきます。
1 借用転位音
とある内属和音における転位音は、その内属和音の所属転換の結果、主調の借用転位音となることがあります。
借用和音における転位音は、その固有所属調の転位音を使用します。つまり借用和音における転位音には、主調の音階の音(固有音)は使われないことになります。
上の例の場合、
aの和音は元々はII調から借用してきた和音なので、II調(ここではDマイナー)の音階の音を使用します。
bの和音は元々はIV調から借用してきた和音なので、IV調(ここではFマイナー)の音階の音を使用します。
次に例外を紹介します。
長調において〇II(7)の和音、〇IV(+6or+64)の和音、〇V9の諸和音の転位音としてのIIIの音は常に主調のIIIの音を使います。
長調のIの和音において上方転位第5音に、〇I調のVIの音を借用する場合があります。
2 主音上のVの借用
他の調の主音上のVも所属変換することができます。
aは元々はII調における主音上のVが使用されていますが、主調であるト長調(Gメジャー)へと所属変換できます。
bは元々はV調における主音上のVが使用されていますが、主調であるハ短調(Cマイナー)へと所属変換できます。
3 転位音の修飾
転位音は一般的に修飾はされません。
例外として、掛留音としての3の和音・7の和音の上方転位根音に限り修飾が可能です。
修飾音自体は転位されます。
4 解決の省略
ソプラノに特定の転位音に限り、解決を省略することができます。
(a) V諸和音に置かれている上方転位第5音は解決を省略できます。また、この転位音は修飾が可能です。
(b) V9の和音根音省略形第1転回形において、上方転位第7音は解決を省略して3度下行することができます。この転位音も修飾ができます。
(c) 先行原位を持つ転位音は解決を省略できます。
(d) 先程紹介した、掛留音としての3の和音・7の和音の上方転位根音は解決を省略して、修飾ののち解決音以外の構成音に進むことができます。
5 終わりに
今回で転位音の紹介はいったん終了です。
次回からは登場してこなかったIIIの和音、VIIの和音についてお話していこうと思います。
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