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和声(コード進行)の分析は自身の音楽の力を豊かにする

音楽を聞くうえで、ただ聞き流すだけの場合と、何かに着目して聞く場合とでは学べる量が違います。着目する部分は何でもよいです。今回のメインテーマであるコード進行の分析でもよいですし、サウンドに注目する、演奏の仕方に注目する、歌い方に注目する、とにかく1つの曲に着目する部分はいくらでもあります。これは絵など他の芸術でも同じで、1つの絵画に対して何かを発見する場合はどこかに着目しなくてはいけません。ただ流し見をしてしまっては学びは得られにくいです。言わば、右から左へ受け流すような鑑賞をしてしまっては発見というのは見つけにくいです。

前置きが長くなりましたが、音楽においては一つの作品にどれだけ耳を傾けて聞くことができるかが学びのポイントとなります。和声(コード進行)の分析は音に対する感覚は鋭くなります。

和声を何かに書き込むときは自分が一番わかりやすいやり方でいいと思います。コードネームを使うのでもよし、なんでも大丈夫です。別に他人に向けて書いているわけではありませんから、自分がわかればそれでよいです。

分析する曲も何を選んでも構いませんが、自身のレヴェルに合っていない曲を分析しようとすると挫折しかねないので、まずは簡単な作品からの方がよいでしょう。クラシックなら近代、現代以前の作曲家の方がよいでしょう。昔の時代になればなるほど和声はそこまで複雑化していないので、そこから攻めるのが良いと思います。ポピュラー音楽ならロックですかね。ロックならかなり単純なコード進行で成り立っている曲が多いので、取り組みやすいかと思います。

一応私が分析した例を2つほど。

1曲目はショパン華麗なる大円舞曲Op18です。

一部抜粋したものですが、青色で書いたものがコードネームで表記したもの。下の赤色で書いたものが、『和声 理論と実習』の方式で書いた和声分析です。私が和声を紹介しているものもこれがベースとなっています。そこに自身の経験に基づくものをブレンドして紹介しています。

↓よければ見ていただければ

話は戻りますが、コードネームになると中間が結構な回数で響きが変化しているのがわかるでしょうか。しかし、赤文字の方はあまり多くなく、ほとんどがIの和音やVの和音で構成されているのがわかると思います。

ショパンと和声といえば半音階が特徴ですが、ワルツやマズルカは半音階は使われているものの意外とシンプルな構成をしている曲が多いです。しかし、創作後期の作品(舟歌、チェロソナタ)などは構成的にも和声的にも難しいので、最初のうちは避けるべきでしょう。

2曲目はラヴェルの『クープランの墓』より3曲目のフォルラーヌです。

オーケストラ版もあるのでぜひこちらも聞いてみてください。


こちらは冒頭部分のみです。
この『クープランの墓』の中でもかなり複雑な和声を使っているこの曲は和声分析がとても大変です。ほぼ不協和音で成り立っており、9の和音や11の和音、増和音(オーギュメント)、などてんこ盛りです。しかし、赤文字の方を見てみるとそこまで複雑なものではありません。I→IV→II→Vという古典的な進行を持っています。ラヴェルの作品は和声は複雑化されているものの、このような古典的な進行を用い、また古典的な形式を採用することもありました。近代の作曲家であるので、やはり和声もそれなりに発展していて分析が難しいです。この分析を続けていると、こんなに不協和音まみれなのに曲自体はとても綺麗に聞こえるので、そこは彼の作曲技術が素晴らしかったのでしょう。

このように分析ありきで曲を聞くと、その響きを集中して聞くようになるので音に対する感覚が鋭くなります。これはやればやるほど育っていきます。この部分に関しては「量より質」と言うよりも、「質より量」だと思うので音楽的なセンスを上げたい場合は様々な作品の分析をすることがいいと思います。私も自慢するほどの作品を分析してきたわけではありませんが、音楽的な能力が上がるのは体験上事実だと思います。

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