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気付きを与え、人を動かす

チームで仕事をしたときに、こんなことを思ったことや、経験ははないだろうか?

・自分が仕事をやってしまった方が仕事が任せるより早い

・なぜ、あいつは思った通りに動いてくれないのか

・もっとこうすればいいのに

チームをまとめる立場や、自身の仕事のスキルが高い方などは、一度は経験する壁である

本の要約

 本書は、仕事ができる主人公「本宮静奈」が、様々なバックグラウンドを持つ部下をチームとして率いながら、部下に気づきを与えてプロジェクトを成功に導く「ストーリー」である。

 最初は部下が変わらないことに葛藤しつつ、それぞれの課題を克服するために、教えたり、指示したりするのではなく、本人に自分の課題に気づいてもらうためにメンターにアドバイスをもらいながら物語が進んでいく。

 ショートストーリー+要点まとめのセットで、全部で31caseを通じて「気づかせる技術」の要点が簡単によくわかる構成になっている。ひとつひとつもただ知るだけでなく、明日にでも実践できるようなことであり、実践することで自身のコミュニケーション能力アップも可能である。

 ストーリーというのは具体的に頭の中でそのシーンがイメージでき、頭にも残りやすい。この本の表紙だけで、そういう本だということの判断は難しい

気付かせるために重要な事

①クローズドクエスチョンではなくオープンクエスチョン

 表面的な事象を突き詰めたり、Yes・Noで応えられるような質問は、立場の違いなどで、Noと思っていてもYesと答えてしまう場合が多い。例えば「わかったか?」と聞かれて「わからない」とは言えないのでわかってないけど「わかりました」と答えてしまうのが常である。「どのように理解したか?」と聞けば、聞いた相手の理解考えを聴くことができ、それに対して少し違うなと感じたら、またオープンクエスチョンで質問をするのが良い。

②主観ではなく事実を伝える

 相手にフィードバックする際は、ついつい「主観が入ってしまいがち」である。例えば、「あなたの仕事は雑ですよね」と伝えても、「雑」の定義は個人それぞれ持っているので、言われたほうは雑だと思っていない場合なかなか受け入れにくい。そうではなく、「この前のこの仕事は、5箇所ミスがありました」と伝えれば、それは事実なので相手も受け入れやすく、じゃあ0件にするしてほしいと具体的に伝えれば相手もどうすればなくせるのかを考える事ができる。人は誰でも自分の主観を持っており、それがあたかも世の常識だと思いがち。もし事実ではなく主観を言いたければ「私の個人的な意見ですが~」と前置きを入れれば、相手も受け入れやすくなる。

③あえて何も教えない

何か相談事をされた時、何か答えなければと思い、ついつい答えやヒントを言ってしまいがちにある。しかし、本人の成長を本当に考えるならば、あえて何も答えず、「もう少し練り直してこよう」「それを考えてきてほしい」などと伝え、本人に考えさせることも重要である。しかし、緊急時や過度にしすぎるのも考えなければいけない。相談された内容にに対し、それを判断する責任ある方が、判断の局面に立たされて相談を受けているのに、「考えて」と丸投げするということがある。これは明らかに自分の仕事の役責を放棄していることになる。「その相談事はだれの課題か?」を考えたうえで、あえて答えないことを選ぶのか、しっかりと判断するのかは考え、慎重に発言することが必要である。

実際に技術を使う難所

本を読み進めて、「これは違うだろ」みたいな部分は私の中ではなく、31個のケースはどれも実践したいものである。しかし、どーしても経験が長いと、悩んでいることの解決策がすぐに思いついてしまうため、ついつい答えを言ってしまいがちであり、これを我慢するのが難しい。部下に考えさせるのは重要であるものの、緊急性などを考え、どこまで伝えどこまで伝えないのかというのは、本当に永遠の課題である。

答えの無い時代に向けて

本の内容を実践しするシーンはあくまでも、「自分が正解を知っている」のを前提としたコミュニケションである。しかしながら、これからは正解ではなく、課題を見つける時代へと突入している。答えのない問いに向かうコミュニケーションでは、こちらからも答え(にちかいもの)をたくさん言いながら、お互いの意見をブラッシュアップさせてイノベーション(新結合)を起こしていくことも重要である為、様々なコミュニケーション手法の引き出しを持っておきたいと思う。

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