Ryo Sawada

宇宙と原子核の研究をしています。 学振PD特別研究員(東大駒場)。 趣味は漫才をするこ…

Ryo Sawada

宇宙と原子核の研究をしています。 学振PD特別研究員(東大駒場)。 趣味は漫才をすること。 詳しくは:http://lit.link/ryosawada

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  • 背伸びして「文体練習」とよんでいる

  • とくに思い入れのあるお話

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僕が研究者になろうと思ったのは。

『いま博士課程進学率が下がっているのは、博士課程についてネガティブな投稿がSNS上に溢れているのが原因だ!』 そんなお話を最近見かけました。 この原因が本当の話なの…

Ryo Sawada
3年前
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人生はモジモジくんなんだよ

「人生はモジモジくんなんだよ」 5年ぶりにあった友人が酒の席で残した台詞です。 正しくは、モジモジくんに登場したミニゲームの「脳カベ*」のことを指して発された言葉…

Ryo Sawada
1年前

ネコ

今日、夢のなかでネコにごはんをあげていた。ネコを飼ったこともないのに。 そのごはんにワサビが入っていたのか、食べたネコがツーーンとした顔をしたんです。人がワサビ…

Ryo Sawada
1年前

喫茶店で本を片手に

今日は起きるのが遅くダラダラしていて、お昼ごはんを食べるタイミングを完全に見失ってしまった。案の定、前々から行ってみたかったお店はどこもランチタイムを終えていた…

Ryo Sawada
1年前
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夜更かしするなら日記を書くといい

どうでもいい話ですが、最近どうも眠れない日が続いています。そのぶん起きるのは遅くなって、ひどいときは目が覚めるのがお昼過ぎになってしまうので、「朝から起きていま…

Ryo Sawada
1年前
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ダウ90000本公演「ずっと正月」の感想

感想記事なんて自己満足に過ぎないことは百も承知ですが、 それでも公演を観て、感想をなにかちゃんと形にせずにはいられなかったので、このnoteを書こうと思いました。 …

Ryo Sawada
2年前
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酒の席で”天文学者”に出会ったら

僕はふだん、大学で宇宙についてあれこれ研究するお仕事をしております。いわゆる”天文学者”と呼ばれる職業です。この仕事についてもっとも厄介なのが、 「職業の質問を…

Ryo Sawada
2年前
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1000字足らずの文体練習

「文章が上手く書けるようになりたい。」 昔から、ただ漠然と、魅力的な文章を書く人に憧れていました。一度読んだ途端、その人をもっともっと知りたくなるような文章を書…

Ryo Sawada
3年前
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それ実は僕、めちゃくちゃ好きなんですよ

突然ですが、僕は好きなものに好きと伝えるのがとても下手です。好きな作品などに向けて、広い意味での“好意”を伝えるのが下手です。たぶん反対に“好意”を雰囲気やちょ…

Ryo Sawada
4年前
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ブカブカのTシャツ

子供の頃、『またすぐに大きくなるから』といって、ジャストサイズよりも少し大きめの服を買ってもらった。みんなの家でもそうだと思うし、もれなく我が家もそうだった。 …

Ryo Sawada
4年前
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旅の出会いは小説よりも奇なり。

僕は昔から、漠然と宇宙に興味と知的好奇心をもっていました。 ただ、自分の目で宇宙を見るほどの度胸も才覚もなかったので、宇宙飛行士にはなりませんでした。その代わり…

Ryo Sawada
5年前
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僕が研究者になろうと思ったのは。

僕が研究者になろうと思ったのは。

『いま博士課程進学率が下がっているのは、博士課程についてネガティブな投稿がSNS上に溢れているのが原因だ!』

そんなお話を最近見かけました。
この原因が本当の話なのかは置いといて、そもそも僕はなんで研究者になろうと思ったんだろう?そう考えると、未来の誰かのために、僕が研究者になろうと思った経緯を記すのも大切な仕事なのかな。そう思い、このお話を書くに至りました。

1000文字程度の短いお話なので

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人生はモジモジくんなんだよ

「人生はモジモジくんなんだよ」
5年ぶりにあった友人が酒の席で残した台詞です。

正しくは、モジモジくんに登場したミニゲームの「脳カベ*」のことを指して発された言葉なんですけど、この言葉、アホっぽさと真面目さが絶妙な塩梅の最高傑作なんじゃないかなと思ってます。思い出すたびに大好きな言葉。

この言葉のメッセージ自体はしょうもなくって、薄っぺらいです。
「未来はどんな形で自分に訪れてくるか分からない

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ネコ

今日、夢のなかでネコにごはんをあげていた。ネコを飼ったこともないのに。

そのごはんにワサビが入っていたのか、食べたネコがツーーンとした顔をしたんです。人がワサビ食べたときと、まるでそっくりな顔を。

その瞬間なんとなく、そもそもネコはワサビを口にして大丈夫な生き物だっけ?とかいう疑問まで含めて、『あ、これはネコ飼ったことないネコに対する解像度が低い人間が見る夢だ』って思ったんです。

使いどころ

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喫茶店で本を片手に

今日は起きるのが遅くダラダラしていて、お昼ごはんを食べるタイミングを完全に見失ってしまった。案の定、前々から行ってみたかったお店はどこもランチタイムを終えていたので、夕方の時間でも開いている近くの喫茶店でカレーを食べることにした。

せっかくならと持ってきた読みかけの本を片手に初めて入る喫茶店。珈琲とカレーを楽しむつもりで入ってみたが、メニューを開くと「うちは珈琲よりもチャイがおすすめです!」と書

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夜更かしするなら日記を書くといい

どうでもいい話ですが、最近どうも眠れない日が続いています。そのぶん起きるのは遅くなって、ひどいときは目が覚めるのがお昼過ぎになってしまうので、「朝から起きていました顔」をするのだけが日に日に上達しています。

なんで眠れないのか。うーむ、と考えたとき、「まだ今日という日にやり残した気持ちがあるから」というやつです。そして、そんな気持ちを解決するには、1日の最後にいまいちど、自分が今日なにをしていた

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ダウ90000本公演「ずっと正月」の感想

ダウ90000本公演「ずっと正月」の感想

感想記事なんて自己満足に過ぎないことは百も承知ですが、
それでも公演を観て、感想をなにかちゃんと形にせずにはいられなかったので、このnoteを書こうと思いました。

僕にとっては、本当にお洒落で最高に面白い公演でした。
終わった直後、自分の感想を言い表せる最適な言葉が見つからなくて、帰り道、ぼんやりと繰り返し何度も「良かったなぁ」と空に向かって呟いていました。そんな感情にさせられる公演でした。

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酒の席で”天文学者”に出会ったら

僕はふだん、大学で宇宙についてあれこれ研究するお仕事をしております。いわゆる”天文学者”と呼ばれる職業です。この仕事についてもっとも厄介なのが、

「職業の質問を、居酒屋で隣の席のお客さんに聞かれる」

というシチュエーションです。自分の仕事を伝えると、相手のリアクションはいつも次のどちらかです。「すごい、格好いいですね!」のような驚き顔の反応か、「あ、あぁ…難しそうですね。」のような困り顔の反応

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1000字足らずの文体練習

「文章が上手く書けるようになりたい。」

昔から、ただ漠然と、魅力的な文章を書く人に憧れていました。一度読んだ途端、その人をもっともっと知りたくなるような文章を書く人に。

僕はふだん、大学で宇宙についてあれこれ研究するお仕事をしております。いわゆる職業「物理学者」と呼ばれる、29歳の若手研究者です。我ながら、肩書はカッコよさそうですよね。

研究者という仕事は、自分の研究の魅力を文章にして伝えな

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それ実は僕、めちゃくちゃ好きなんですよ

突然ですが、僕は好きなものに好きと伝えるのがとても下手です。好きな作品などに向けて、広い意味での“好意”を伝えるのが下手です。たぶん反対に“好意”を雰囲気やちょっとした仕草で間接的に上手に伝えられる方が「愛嬌のあるひと」だと思っています。

僕は愛嬌のようなものは持ち合わせていなければ、気の利いた褒め言葉も持ち合わせていないので、「素直に伝える」という一本槍で生きてきました。いいなと思ったものに『

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ブカブカのTシャツ

子供の頃、『またすぐに大きくなるから』といって、ジャストサイズよりも少し大きめの服を買ってもらった。みんなの家でもそうだと思うし、もれなく我が家もそうだった。

近頃、自分の身に余るような人とお会いしてお話する機会に恵まれている。そのたびに、ほんとにお話できて光栄だったという気持ちと、自分の不甲斐なさに反省する気持ちにつぶれそうになる。その反省は忘れないようにノートに綴る。ノートはもう数冊にのぼる

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旅の出会いは小説よりも奇なり。

旅の出会いは小説よりも奇なり。

僕は昔から、漠然と宇宙に興味と知的好奇心をもっていました。

ただ、自分の目で宇宙を見るほどの度胸も才覚もなかったので、宇宙飛行士にはなりませんでした。その代わり、ではないですが、いまでは物理を通して宇宙を眺める天文学者になりました。

突然ですが先日、研究会に参加するため、ロシアへ行った時の話です。
その夜、滞在中のホテルのレストランにて、数人でビールを飲んでいました。すると隣の席のロシア人2人

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