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百田尚樹のすゝめ ~永遠のゼロ~

百田尚樹氏の「永遠のゼロ」「海賊と呼ばれた男」について、私なりの見解を記載する。今回の記事は以下の2点を記載する。

①「永遠のゼロ」と「海賊と呼ばれた男」の共通点・類似点
②「永遠のゼロ」について

私は両作ともに原作小説を読んでから、実写映画も視聴した。
百田氏は「日本国紀」の新装版の問題や普段の発言など、あまりよく思わない人もいるが、多くの人にこの2作を薦めたいと感じた。
なお、「海賊と呼ばれた男」は次回の「百田尚樹のすゝめ」にて記載する。

①「永遠のゼロ」と「海賊と呼ばれた男」の共通点・類似点
まずは時代背景が似ている。「永遠のゼロ」は主に第二次世界大戦(以下WWⅡ)を舞台としている。対して、「海賊と呼ばれた男」は戦前から戦後の復興までと期間が長いが、WWⅡが描かれている。両作とも、WWⅡを扱っている点が類似点。両作ともに読むと、戦前、戦中、戦後の日本史の理解にもなる。
続いて、映画版の共通点。まず、主演が共に岡田准一氏。
さすがと言える圧巻の演技。すごい。彼はアイドル(V6)だったのかと感じる。個人的にはアイドルと役者の時のギャップが好きだった。
また、主要キャストに染谷将太氏が起用されている。どちらかと言うと、「永遠のゼロ」の方が重要な役ではあるが、両作ともキーパーソンでの起用だ。
余談ではあるが、岡田氏と染谷氏は共に大河ドラマにて織田信長として起用されている。染谷氏の「麒麟がくる」で演じた信長は当初はミスキャストと感じていたが、なかなかの名演だった。「どうする家康」の岡田氏の信長は果たしてどうなるか。非常に楽しみである。

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②「永遠のゼロ」について
「永遠のゼロ」を知人に薦めたことがあるがこう返された。

「戦争の話で難しそう、百田尚樹ってイメージあんま良くないよね。」

たしかに気持ちは分かる。実際に私も知人のように思っていた。
だが、実際そんなことはない。私は小説をこれまで150冊近くは読んでいるが、かなり読みやすい。戦争の話だから、日本史が詳しくないと理解できないということはない。あえて言うと、戦艦機の名称が度々出てくるくらいだ。これは百田氏が戦艦マニアであるためだ。
また、イメージが良くないのも理解できるが、百田氏の小説以外の著書の新書やビジネス書を読むと賢い人だということがよく分かる。(話題の日本国紀は読んではいないが)

ネタバレにならない程度に話をまとめると、神風特攻隊の話だ。「戦争にて死ぬことは美学なのかそうではないのか」「戦時中に生きたいと発言することの難しさ」「自分の命は国家のためなのか、自分のためあるいは家族のためなのか」を考えさせられる作品だ。
構成としては現代パート戦時パートの繰り返しとなっている。
現代パートは、特攻隊として戦死した義理の祖父について姉弟の2名で当時の関係者へ調査にいく。戦時パートは、義理の祖父の関係者が当時の祖父との日々を語る。映画版では戦死した義理の祖父、宮部を岡田氏が演じている。
ただ単に戦争の過程を書いているのではなく、現代パートを入れることで読みやすくなっている。また、戦後60年以上経った現代において、現代の若者がどう戦争を受け止めるか。現代パートがあることで、戦争は過去のことだけど忘れてはならないというメッセージがより伝わる。

映画版について話を進める。映画も現代と戦時の繰り返しとなっている。ほぼ原作に忠実。小説は文庫版でも500ページほどで、映画は2時間と少しなので省略している箇所も少なかった印象だ。
企画がアミューズということもあり、アミューズ所属の役者が起用されていて、主題歌はサザンオールスターズの曲だ。
そのアミューズの役者の1人が故三浦春馬氏である。三浦氏の役どころは、宮部の義理の孫にあたり、亡き祖父について調べる姉弟の弟の役だ。
私は三浦氏が亡くなった後に、この映画を見たが「この役を演じていて何で自殺しちゃったのかなぁ」と思った。自殺かは定かではないが。
そして、エンドロールのサザンの「蛍」。映画は大ヒットしたが、この主題歌は世間にはあまり浸透しなかった印象だ。私としては残念だ。
3分ちょっとと短い曲であり、シンプルな曲調のバラードだ。戦争の儚さが伝わるメロディーと歌詞、見終わった後に感傷に浸れる、そんな名曲。

そして、書かなくてはならないのが、最終カットの岡田氏の表情だ。私はこの表情がたまらなく好きだ。表情だけで言葉を語るとはまさにこれ。映画全般において、エンドロールに行く前の最後のカットが記憶に残る映画は名作の要素の1つと思っている。

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「永遠のゼロ」は小説、実写映画ともに見ていただきたい作品だ。
特攻隊を美化しているとの意見を耳にはするし、その意見も理解できなくはない。特攻隊を認める認めないということではなく、当時の日本はこういう状況だったということを、この作品を見て理解してほしい。
現在は2020年代に突入しWWⅡからは戦後80年にも近づいてきている。戦時経験者でご存命の方も少なくなっている
WWⅡは過去の出来事だが、日本人として未来に伝える必要があると思い、今回は「永遠のゼロ」を取り上げた。

先述のよう、次回の「百田尚樹のすゝめ」では「海賊と呼ばれた男」について記載する。今回の続きが気になる方は「KEITA」のブログを定期的にチェックしてください。

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