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やりたい事はそんなにないけど、やりたくない事ならたくさんある

『映像研には手を出すな!』を読むと必ず泣きます。
でも、その話はまた別途。

本日はキスを釣っておりました。

バカみたいにクソ暑い一日でしたが、役場の用事を済ませた帰り、特に用もなかったので車に積みっぱなしの竿を出して、近所の堤防でズルズルと仕掛けをサビいておりました。小一時間やってピンギス、中ギス合わせて8匹。先週は27cmを筆頭に外道でクロダイまで出たのに、やっぱりバイオワームだとイマイチ乗らないです。

じゃあ生餌使えばいいじゃないかとお思いでしょうが、そうはいかない。

なにせ田舎のことで、生餌を買おうとすると直近の店まで20〜30分車を走らせなくてはなりません。ところがウチから海までは車で5分。わざわざ生餌を買って、余らせた挙げ句に冷蔵庫に入れて奥さんに絶叫されるのと、食いが渋いのとどっちを取るかっていえばそりゃ後者でしょう。

先日、私は移住者だとお伝えしましたが、能登に住むようになってから、なんというかこう……いい意味でとてもルーズになりました。真剣さがないというか、よっこいしょ感がないというか。常につまみ食いしてて、お腹いっぱいになっているような、それでいて不健康な感じがしない……みたいな感じ。

最近は時間が空くとバイクに乗ったり、釣りに行ったりしてますが、以前とはずいぶん趣きが異なります。

能登に来る前は長く千葉に住んでいたんですが、バイクも釣りも一日がかりでした。いや、どちらも好きでやってるので時間がかかるのはいいんですが、どうも目的に「取りかかる前」が大変なんです。例えばバイクなら、西に行くには都内を抜けなくてはなりませんし、北へ行くにも延々走らないと関東平野を出られません。

バイク乗りには有名なSSTRは、日本で唯一車で走れる砂浜「千里浜なぎさドライブウェイ」をゴールに日本中からバイク乗りが集まるイベントですが、自宅はそれよりさらに先。景勝地「能登金剛」まで10kmの位置にあります。つまり今は「皆んなが向かうところ」に「最初からいる」んですね。

もちろんそれは「オマエが移住して田舎にいるからだろうよ」ってことなんですが、それを言ったら話が先に進みません。

ここで「釣りがしたい」「バイクに乗りたい」を分解してみると、ずいぶん「やりたくない」ことがたくさん混じっていることに気が付きます。

私の場合、釣りなら「あまり予算はかけたくない」「時間制限は好まない」「他人に気を遣うのはおっくう」という要素が強いので船釣りに行くことは滅多にありません。「生餌はいまいち気が引ける」のでルアー専門ですし、「大人数でつるむのは好まない」ので基本ひとりです。バイクなら「都市部の渋滞はカンベン」とか「走って気持ちのいい道がない」とか。

「気楽に竿が出せる」「ちょっと走るだけで満足できる」というのは、もちろん「環境を変えた」からなんですが、逆に考えると「やりたくない」ことを消していくためには「環境を変えるしかなかった」ともいえます。

もちろん釣りやバイクのために移住したわけではないんですが、それでも「人の多いところはウンザリだ」とか「家が狭い」「クルマがうるさい」といった「やりたくない」ことの多くは環境を変えることで解決できました。

当然ながらこれは価値観の問題なので、「やりたくない」を排除した結果が「環境を変える」ことかどうかは一概にはいえません。実際、我が家の価値観においては「便利だ」とか「流行の」「高級な」といった価値は比較的低い方に置かれます。

考えるに、ひょっとしたら私は他人よりやりたくない事がたくさんあるのかもしれません。

でも傍から見ていると「やりたくない事」を「やらねばならぬ事」に置き換えて、しかもなんら疑っていない人というのもずいぶんと見かけます。

当月のノルマは「やらねばならぬ事」でしょうが、その仕事がどうしても「やりたくない事」ならばなにか方法を考えなくてはなりません。結果、私は会社員をヤメて、フリーランスになる道を選んだわけですが、もちろんそんなお気楽に動けるなら苦労はないという話はわかります。私だってお気楽に動いてきたわけじゃありませんので。

でも「人は失敗するのが怖くて失敗する」というのも「リスクを取らないのがリスク」というのもまた真実です。たぶんね。

「やりたい事はそんなにないけど、やりたくない事ならたくさんある」ならせめて、やりたい事を増やすか、やりたくない事を減らすか、どちらかのアクションは取ったほうがいいです。

「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションでしかない」といいますが、もしあなたがいい大人なら、偏見を自分で修正するぐらい、自分でできる歳なんじゃないのか? と自問してみるのも、大人の嗜みとしては一興かと思いますですよ。

んじゃ、ちょっと海行ってきます。
またね。

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