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2021年新作テレビドラマ放浪記

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2021年のテレビドラマの感想記録です。
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#濱田岳

「真相フラグ」「じゃない方の彼女」テレビドラマに秋元康を使う意味があるのか?

前クールのドラマで、内容に振り回され、「なんだこれ?」と思わせたのは秋元康企画原案の「漂着者」であった。本当に、この人はテレビドラマというものを理解できているのか?疑問に思ったし、もはや彼の時代は終わったのではないかとさえ印象付けたと私は思っている。だが、新しいクールに入って、その秋元康の企画原案のドラマが2本始まったと聴き、ただただ、びっくらこいているのである。そこまで、テレビ局は彼のネームバリューで番組を作ることが必要なのか?まあ、脚本を彼が書いているわけではないものの、

「シェフは名探偵(第9話)」味でつながる父と息子の絆。パ・マルという言葉の奥深さ

先週は、シェフの座っていた椅子が壊れて終わった。その椅子は、西島が父親の料理を見ていた思い出の椅子。壊れた椅子を濱田岳が気を利かせて捨ててしまい、新しい椅子を買う。ここで、西島がそれほど残念そうになく受け入れる芝居をする。それは、過去に縛り付けられていることから自分を解放しようとする芝居だろう。だが、ドラマ的には、その椅子は、スタッフの努力によって最後には戻ってきて、そこに座って西島は父親の料理を眺めることになる。このシーンはとても微笑ましかった。 ついに最終回。最終回には

「シェフは名探偵(第8話)」愛する人を思いやる気持ちが奇跡を起こす!

こんな、奇跡的な話がいろいろ起こるレストランというのはあるのだろうか?まあ、食事の席は知らないところでいろいろな奇跡を起こしているのだろう。というか、こういうお客様の内面を見破れるシェフがいるお店ならいってみたいとは思う。見えないスパイスがたっぷりかかっている料理が食べられそうである。 今回も2つの愛の話で、どちらも素敵な話だった。 まずは、新しいパン屋をパ・マルのオーナーが出店する話から始まる。その店主になる若い娘は、いわゆる昔ながらのメロンパンや惣菜パンはおきたくない

「シェフは名探偵(第7話)」友人を思う二つのストーリー

レストランとは、親族、友人、恋人など、大切な人との心を食事を通じて繋ぐ場所であったりする。だからこそ、そこにはお客様の数だけストーリーがあるわけだ。どんな仕事も、ストーリーのなかの一員として自分が動けば、その意味は大きく変わる。ここでの西島秀俊演じるところのシェフはお節介だが、お客様を愛しているからこそ、そのストーリーの中に入っていくという感じだろう。そこが見ていても心地よい。 今回は、2つの友情の話。一つ目は、金持ちの女性が、知らない間に友人たちに、たかられていたという話

「シェフは名探偵(第6話)」ヴァンショーと嫉妬と親孝行

ヴァンショーという飲み物がこのドラマのキーアイコンのようなものである。まずは、そのレシピを濱田岳がシェフの西島に聞き出そうとするが、拒否される。その晩、西島は濱田が夜中に店に入り込むのをビデオで知り、謎ができる。これで、この話をこの回の最後まで引っ張るのは上手い脚本だ。 そして、その後に、フランスにいたときの昔の友人である尾上寛之が訪ねてきて、ここで出されるバンショーが、フランスで西島が覚えたものだということがわかる。それを教えてもらった裏には、日本人の中に酒が飲めない人が

「シェフは名探偵(第5話)」味覚に無頓着なのもまた味覚

先週の石井杏奈の同性愛発言は、今週への振りであった。相手を出すまでにドラマは深入りしないが、「ラ・パル」にとって家族である石井が必要であるという話。素敵に描けてあった。 そして、今日も二人のお客様の話。まずは、常連のお客様が再婚するお話で、肉を食べなかった息子がフライドチキンを食べたということ。そして、その再婚相手が若いのに入歯だという。その話のオチが、フライドチキンの骨で鳥の骨格の模型を作るという話だったのは予想だにしなかった。そして、入歯の話は、いれば洗浄剤を骨の洗浄に

「シェフは名探偵(第4話)」いつも笑顔で迎えてくれるレストランの意味合い

冒頭から客の理不尽な叱責に憤る、濱田岳。これが、今回のテーマだったわけだ。店を開くものも、客もお互いに敬意を示さなければいけない。他人に対する差別などなく、いざこざもなく、嘘もない中で、幸せな空間を作ることが重要だということだ。これは、レストランという特殊な空間に限ったことではない。そして、世界中のいろんな現場でこのような事件は起こっているだろうと思ったりもする。なかなか奥が深い回だった。 最初のお話は、トランスジェンダーの人がそのことを隠して、女性だけで運営しているレスト

「シェフは名探偵(第2話)」食の記憶は、心を動かすというお話

始まって、1週空いたのは、制作の進捗の関係だろうか?今週のを撮るのに「ガチョウ」が届かなかったとか?そんなことはないかw。 ほぼ店の中だけで展開されるドラマだ。舞台を見ているようであり、そうではないところが魅力だったりする。そして、西島秀俊という役者の魅力で成立しているところがある。とはいえ「おかえりモネ」の気象予報士の彼とあまり違いは感じられないのは、少し不満だったりする。でも、他の店員3人とのチームワークみたいなものが大切になってくる分、こちらの方が濃厚な芝居?当たり前

「シェフは名探偵」料理と記憶と優しさと。ハートフルな空間に美味が感じられれば良いかと…。

「珈琲いかがでしょう」の枠で続いて始まったドラマ。前作と同じように人の心のありかを探るようなハートフルなドラマのようだ。主演は西島秀俊。朝ドラの気象予報士姿も、なかなか決まっていたが、ここでは記憶と勘で勝負するシェフをシェフを好演している。 そして、題名は「名探偵」だが、刑事事件がビストロで起こるわけではない。お客様のトラブルに対して、お節介にシェフが立ち向かうということだ。この辺りは洒落ているし、フランス映画的なものになるのかもしれない。原作は短編の連作のようだから、それ

「バイプレイヤーズ~名脇役の森の100日間~」今回は映画化まで!オールバイプレイヤー作品はテレ東の本気なの?

テレビ東京は、他のキー局とは違うとずーっと言い続けられてきた。とはいえ、その歴史は、今年で57年。地デジ化され、12チャンネルから7チャンネルになり、徐々にそれを観ることはアウトローでも無くなってきている。一般的には、他とテイストが違うということが売りになり、今にあるわけで、この時代にはその差別化が功を奏して、今の不況のTV業界の中で一番頑張っている感じもある。元々が、ネットで受けるような企画を連打していたので、時代が勝手にテレ東化してしまったのかもしれない。 そんなテレ東

「教場Ⅱ」これを見て、警察とは何か?警察官とは何ものか?という問いを想起させるドラマ?

昨年も、新春にこのドラマについて書いている。昨年は、4、5日の放送だったようだが、今年は、3、4日の放送。いずれにしても、新年に重いドラマは昨年と変わらない。最近の視聴者はそういうことは考えずに観るのかもしれないが、重い年の初めだけに、重い。そして、今年のは人の生き死にの話が多く詰まっていてさらに重い感じもした。 木村拓哉としては、今までにない暗めの役柄ということであるが、どうもそれだけに終わっている感じもする。つまり、内在する人間への優しさと厳しさを両方持つ男なのだろうが