見出し画像

「シェフは名探偵(第5話)」味覚に無頓着なのもまた味覚

先週の石井杏奈の同性愛発言は、今週への振りであった。相手を出すまでにドラマは深入りしないが、「ラ・パル」にとって家族である石井が必要であるという話。素敵に描けてあった。

そして、今日も二人のお客様の話。まずは、常連のお客様が再婚するお話で、肉を食べなかった息子がフライドチキンを食べたということ。そして、その再婚相手が若いのに入歯だという。その話のオチが、フライドチキンの骨で鳥の骨格の模型を作るという話だったのは予想だにしなかった。そして、入歯の話は、いれば洗浄剤を骨の洗浄に使っていたということ。それで、子供の心を掴むというのは面白い話なのだが、息子が肉を食べなかった本質はわからずじまい。まあ、子供の味覚などそんなものかもしれないが…。

そして、妻が家から逃げてしまって、ここで食事をしている利重剛のお話。こういう切ない役が似合っている利重であるが、奥様役が洞口依子だというのは、私の同世代の夫婦という感じで愛らしくみることができた。

冷蔵庫の中のジャムを捨ててしまったことが発端。そのジャムはもう一つ冷蔵庫の中にあったチーズと一緒に食べるものだったというオチであるが、ここで、まだ使えるジャムを簡単に捨ててしまうところで食に対する思いがないということがよくわかる。そして、この食堂での以前の話でフォアグラを合わないソースの上に取り分けたという話も覚えていないということは、食べられればいいという次元から一歩も先に進まない人だということなのだろう。まあ、蘊蓄をやたら語られる食事も嫌なものだが、それなりに味は最高に楽しみたいという奥様には考えられない舌だったということですな。舌の違いは、心も引き離すということか…。

今回の二つの話とも、推理するのはかなり難しい感じですが、ドラマとしては面白く出来ていた。そう、そのオチの部分で食事をする笑顔があるからいいのでしょうな。いや、このドラマをみて、ケンタッキーでパーティーセット買ってきて模型作りする人もいるかもしれませんねw

そして、その二つの話の周辺でオーナーの佐藤寛太が店の手伝いをして役に立たないという話が入り、その元カノとの再会もあるというおまけもあり、石井杏奈がフラれて帰ってきて、最後は濱田岳の誕生日ということで賑やかしく終わる。これを撮っている時点でスタッフキャストはかなりチームワークが良くなっていることがわかるそれぞれのカットであった。

しかし、ここにあるように、静かに気兼ねなくゆったりと、お食事ができる日が早く来ると良いですね。世界中がそうなのでしょうが、人間が生活する上での余裕みたいなものがどんどんなくなっている感じがします。そんな中での清涼剤ドラマですね、これは。

この記事が参加している募集

#テレビドラマ感想文

21,274件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?