法の下に生きる人間〈第42日〉

国旗国歌法が成立してから12年後の2011年、ある自治体が動いた。

全国で初めて、大阪府が国旗国歌法に関連する条例を、独自に制定したのである。

正式な名称は、「大阪府の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例」である。

法律名を見ても分かるように、国旗掲揚は大阪府の施設が対象なのに、国歌斉唱は教職員がターゲットにされているのである。

ちなみに、当時の大阪府知事は、弁護士タレントから一躍有名になった橋下徹である。

当然のことながら、反対派による抗議が起こったが、当時の橋下知事のコメントは、「国旗・国歌を否定するなら公務員を辞めればいい」とのことであった。

これは、正論だといえよう。

国家公務員は、公務として国の仕事をやっているわけであり、地方公務員も公務として地方自治体の仕事をやっているのである。

教員も、身分は公務員なのだから、公務をおざなりにするのであれば、辞めるべきである。

少なくとも、国が学習指導要領の中で示した方針には、公務員であれば従うのが基本である。

指導して子どもがどう受け止めるかは、子どもが考えることであり、正しく考えさせるためには、『君が代』の歌詞の由来から教師は丁寧に教える必要がある。

『君が代』が戦時中に国歌として作られた曲であると信じ込んでいる人は、自分で調べ直してみるとよいだろう。

そもそもは、明治時代の初期に、来日していたイギリス人が、「日本に国歌がないのは遺憾だ」という旨を政府関係者に話し、当時の薩摩藩出身者たちが歌詞を提案したのである。

また、『君が代』の歌詞がそもそも古今和歌集の詠み人知らずの和歌だったことから分かるように、明治時代に急にポッと出てきたのではなく、平安時代のあとも鎌倉時代以降、猿楽や謡曲などを通して庶民には知られていた。

そういった歴史的経緯や、元の和歌がどのような思いで詠まれたのかとか、昔の人の天皇に対する思い、現代の私たちですら天皇陛下には敬意を表していることも踏まえた理解ができていないのに、軍国主義の復活だと批判するのは違うだろうと私は思う。

最後に、冒頭の大阪府の条例の「国歌斉唱」に関する条文を紹介しておこう。

【第四条】
府立学校及び府内の市町村立学校の行事において行われる国歌の斉唱にあっては、教職員は起立により斉唱を行うものとする。ただし、身体上の障がい、負傷又は疾病により起立、若しくは斉唱するのに支障があると校長が認める者については、この限りでない。 

「起立により」という文言が意味するのは何だろうか。

みなさんも考えてみるとよいだろう。



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