法の下に生きる人間〈第99日〉

消費税について、昨日の続きとなるが、意外と私たちが知らないことを今日は解説しておこう。

消費税は、製造業者→卸売業者→小売業者→消費者へと商品等が販売される都度、順次その販売価格に上乗せされる。

これを「転嫁」といい、転嫁された消費税は、最終的にはそのすべてを消費者が負担するしくみとなっている。 

それぞれの事業者が、転嫁した消費税額(売上げに対する消費税額)をそのまま税務署に納めると、その合計額は消費者が負担する消費税額を超えてしまう。

そこで、各事業者が、売上げに対する消費税額から仕入れに対する消費税額を控除した金額を税務署に納めることにより、生産や流通などの各段階で、二重、三重に消費税が課されないしくみとなっているわけである。

以上の話は、人によっては理解が難しいかもしれないが、簡単に言うならば、消費税は「消費」する私たちが払うものではなく、事業者が税務署に納めるものである。

生産や流通のプロセスで関わる事業者の納税額の合計が、最終的には私たちが購入するときに加算される消費税として転嫁されるということで、プラマイゼロになるのである。

さて、昨日の記事で触れたが、地方消費税は地方自治体の収入になるが、地方消費税も実は、税務署を通して国にいったん納められる。

地方消費税は、最終消費地の都道府県に払い込まれるべきものだが、製造業者、小売業者及び消費者が複数の都道府県にまたがる場合は、最終消費者(商品の購入者)が負担した地方消費税の一部が最終消費地(商品を使用する場所)以外の都道府県に納付されてしまう。

例えば、長野県の県民が、お隣の新潟県で食事をすると、新潟県で取れた米が定食のご飯としてお店で提供され、その店での飲食代にかかる消費税が新潟県に入るだけでなく、お米の生産地も新潟県なので、長野県の消費税収はその分少なくなる。

ただ、こういった状況になると、大量生産や大量販売が可能な都会とそうではない田舎との間で、大きな不公平感が生じる。

したがって、地方消費税はいったん国に納められたあとで、各都道府県の年間小売販売額や人口数などの基準をもとに調整が図られ、都道府県に払い込まれたものが、今度は市町村に配分されることになる。

とはいっても、結局、人口が少ないところや販売実績の低いところは、その消費者や事業者が属している自治体への配分額も少ない。

だからこそ、その地で生産されたものをその地の人が消費する「地産地消」を意識して取り組む必要があるのである。

そうすれば、回りまわって、私たちの住んでいる自治体における福祉サービスが充実するなど、そこに住んでいる私たち自身が恩恵を受けられる。

もちろん、商品やサービスを選択する自由が消費者にはあり、地元で買い物をしなければならない理由はない。

ただ、地元愛があって、少しでも地元に貢献したいという気持ちがあるのなら、「ふるさと納税」を他の自治体にせずに、地元の経済の好循環のために「地産地消」を実践するのが良いのである。

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