唱歌の架け橋(第28回)
中田喜直が作曲した童謡や唱歌は、『おかあさん』『夏の思い出』など、やさしい感じのメロディーが多い。
今日も、ほのぼのとした童謡を紹介しよう。
1952年に発表された『めだかの学校』である。
【1番】
めだかの学校は 川の中
そっとのぞいてみてごらん
そっとのぞいてみてごらん
みんなでおゆうぎしているよ
【2番】
めだかの学校の めだかたち
だれが生徒か先生か
だれが生徒か先生か
みんなで元気にあそんでる
【3番】
めだかの学校は うれしそう
水に流れてつーぃつい
水に流れてつーぃつい
みんながそろってつーぃつい
以上である。
最近は、異常気象もあって、昔は当たり前のように見られた生き物が減ってきているような気がする。
加えて、スマホやゲームの普及で、子どもが自然の中で遊ぶことがほとんどなくなってきたために、童謡の歌詞を聴いても実感しにくいことも多くなっているだろう。
小学校では、生き物を育てる理科の授業で、めだかについて学ぶことがある。
水槽をちょっと外から叩いただけで、めだかはビックリしてササッとガラスから離れる。1匹がそうすると、近くにいる仲間まで敏感に反応して協調行動をとる。
そんなめだかの習性が、上記の歌詞には上手く表現されている。
この歌詞を書いたのは、茶木滋(ちゃき・しげる)という人だが、当初は、歌詞には2行目と3行目のような繰り返しはなかった。
ただ、それだと曲としては短すぎて成立しづらいので、中田喜直が同じ言葉を繰り返す形で書き直したのである。
童謡の中には、生き物が登場するものがいろいろあるが、身近な生き物の存在や、その生き物に対する愛着を子どもに感じてもらうためには、メロディーの美しさや楽しさ、歌詞の分かりやすさや歌いやすさも重要なポイントである。
明日のキーワードは「雪」である。
引き続き、中田喜直が作ったメロディーに注目していただけるとありがたい。