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民俗学資料 あとからじっくり読みたい記事

じっくり読み返したい素晴らしい記事を集めています

(011) 網野善彦・宮田登『歴史の中で語られてこなかったこと おんな・子供・老人からの「日本史」』

2021年に書きかけていた記事です。 網野善彦・宮田登『歴史の中で語られてこなかったこと おんな・子供・老人からの「日本史」』(朝日文庫) 民俗学の宮田登との対談。 網野善彦も宮田登もなくなってからだいぶ経つ。 もともと20世紀末出版で古いし、今までの類書と比べても〈網野史学〉にいまさら新しい発見はない。 しかし、同じようなものに繰り返し触れることで、時代の捉え方というか見え方というか、なんつーの、そういうのが自分の中でふつふつと発酵する感じが好き。 文書資料上に現れに

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淡路島めぐり ~神話の島のはじまりから~

私は今、「榎列上幡多」という所に住んでいます。読み方は「えなみかみはだ」と読みます。淡路島には難読地名が本当に多くあります。 生まれ育った所は、「阿万」、「あま」と読みますが、大和朝廷に海の幸を献上していた「淡路の海人」が由来ということです。 島めぐりのはじまりに選んだのは、沼島(ぬしま)の上立神岩(かみたてがみいわ)。地元では、「たてがみさん」と親しみを込めて呼んでいます。「国生み伝説の島」と言われている沼島。  「天の沼矛」を下界に差し入れ、「コヲロ、コヲロ」とかき混ぜ引

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妖怪とおばけずきの読書考

民俗学から文学まで、気になる本の読書考です。 ほか、ミステリー小説も載せています。 個人的には、民俗学者は柳田國男、宮田登、作家は泉鏡花、荻原浩、漫画家は手塚治虫、水木しげるほか、時代を超えて平田篤胤、古事記などを好んで読んでいます。

柳田國男の『海上の道』

詩的感受性 小林秀雄は「信ずることと知ること」(『考えるヒント3』)というエッセイのなかで、柳田國男の感受性に感動したと書いている。柳田國男がその著書『故郷七十年』でいうには、十四歳の頃、死んだおばあさんを祀った祠を開けたときに、中風だったおばあさんがいつも使っていた蝋石を見て発狂しそうになったという。 小林はこの石におばあさんの魂を見るような感受性がなかったら、柳田の学問はなかったと喝破した。柳田の最後の著作『海上の道』についても、同じようなことがいえる。それは学問であ

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国立国会図書館デジタルコレクションで読める日本の怪奇幻想文学(2024年11月公開)

近世の怪奇幻想文学 万物滑稽合戦記 (続帝国文庫 ; 第32編) 石井研堂 編校訂、博文館、1901 近世奇談全集 (続帝国文庫 ; 第47編) 田山花袋, 柳田国男 編校訂、博文館、1903 徳川文芸類聚 3 (遍歴小説) 国書刊行会、1987 徳川文芸類聚 第四 (国書刊行会刊行書)怪談小説 国書刊行会、1915 幽冥界研究資料 第1巻 増補再版 友清歓真 編、天行居、1925 幽冥界研究資料 第1巻 訂3版 友清歓真 編、山雅房、1939

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【読書メモ】霊魂の民俗学 (2024-No.19)

民俗学といえばこの方、という宮田登先生の著書。「霊魂」とあるが、非科学的とはいえ、日本人が(私たちが)何を恐れて何を大事にしてきたかがよくわかる。そして共感できる。八百万の神という発想は、私は割と好きだ。なぜならそれは、いろいろなものに感謝する、ということにつながるからだと思う。

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夏だ!民俗学だ!妖怪を知ってみましょう編。

怖くない畏るべき妖怪の物語について、お話します。 妖怪について語ります。夏ですのでね! とはいえ、怪談話をコミカルに唄うのは本ブログにそぐわないので、例の如く学術的な定義付けを試みます。 すなわち「民俗学における妖怪の構造」というものについて、ちょっとばかりフィールドワークでの知見を加えつつ、まとめてみたいと思います。 とりわけ今回取り上げるのは、①妖怪の正体について、②妖怪の時代的変遷について、③具体例として〈カッパ〉について、語ります。 「幽霊の正体見たり枯れ尾花」など

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