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「何のために」がないとダメな人と、「とりあえず」でやっちゃう人のお話

この頃メールだったりSNSで、割と直前にオンラインの講演会やセミナーの案内(広告)があったりすることがちょこちょこあって、今日は日経と宣伝会議のカンファレンスとセミナーをはしごしていました。

パソコンをリビングで使っているので、午前中の「ふくふく福の神(拭き掃除のこと)」をギリギリやり終えてパソコンを立ち上げて聴きました。

最初のリモート視聴は、日本経済新聞社とアライアンス・フォーラム財団主催のカンファレンス。その冒頭の原 丈人氏のKey Note Speechを聴きました。今の内閣が推進しようとしている「再分配」の考えのベースになっている公益資本主義のお話で、株主資本主義から公益資本主義へのシフトの「目的」がしっかり語られていました。

公益資本主義の先に見据えている「だれもが健康で天寿を全うする社会」というのは「一部の人がお金をたくさん持っている社会」というよりも、確かに多くの人にとって幸せなことだと思います。でも最先端医療を駆使してどこまで健康を渇望するのかは、もう宗教や哲学との対話が外せないところと感じます。

そしてこのグラフをみて改めて、あまりに株主に偏重した付加価値のアンフェアな配分は、フェアにしたほうが自然でまっとうだと思いました。

1960年を1とした時の分配状況

「World Healthcare Game Changers Forum 設立記念カンファレンス」
アライアンス・フォーラム財団 会長 原 丈人 
Key Note Speech の資料より

このアンフェアな分配状況は1990年代から始まった構造改革が分岐点になっていて、その後の企業経営の方針がひたすらROEの伸長をめざしたことや、四半期決算の開示が義務化されたこと(経理財務部門は一年中絶え間なく忙しくなりました)はすべて株主(投資家)を意識した話になっていました。なので、この大きな流れを変えるためには(ほぼ180度の転換)、こうした数字の資料を提示をすることは、「何のために」と「現状認識」と「他社事例」をしっかり把握してからでないと前へ進めない場合には、(日本の企業の多くはそうなので)必須なのだと思いました。

格差社会の「格差」いうのは、企業が生み出す(企業で働いている人が生み出す)付加価値(利益)の行く先のパイプの太さが徐々に変更されていくような仕掛けがなされた結果なのですね。(意識しないままいつの間にかそんな風になってしまったというような、すごく練られた戦略です)

そもそも人件費が収益から差し引かれる経費と強くみなされるようになった時点で、従業員への配分が据え置きもしくは縮小される傾向を生み出してしまいました。

そのまま次は、株式会社宣伝会議主催の「アドタイ・デイズ2022 春」。こちらはもっと現状を走っている現場の方のお話。

今朝、たまたまFBを見ていたら流れて来た広告で、花王・SHIPS・KDDI・資生堂の企業名があったので、ちょうど時間もあったので、申し込んでみました。(こうした広告が流れてくるように仕掛けている人たちのお話です)

内容はそれぞれに会社ごとの特徴がでていて興味深かったです。

ある企業は「生活者の心が動いた瞬間を色眼鏡なしで捉えよう」とされているところ。さすがだなぁと思いました。それをデータサイエンスで実現しようとしているのですが、眼鏡とは「どう定義づけるのか。みなすのか」なので、そこにはこれまでと変わらず「人のモノの見方」が影響することも改めて思いました。
ただ、私自身が気づいていない潜在意識を「ほら、本当はこうでしょう」とすべて察知されてしまうのは、うーん微妙。。。私の場合は多少はほったらかしてほしいかも。

またある企業は、「GOALから考えて戦略を立てている」ことを強調されていたのが印象的で、緻密で計画性があってスピード感をもってMA(マーケティングオートメーション)を組み上げてこられた事例を紹介されていました。
ただ「多くの企業が考える方法として、GOALから考える」というのは、確かに企業内において大勢の人が関わって事業を推進する時には有効な方法。そもそもこれがなくては企画が通らない。でも、今の混沌とした社会状況の中で、今時点で想定する「GOAL」ってどこまで有効なんだろう。とはいえチームで動こうとする時には常に今時点で「何かのために」が必要なので、ズレは仕方がない。今は、ただただ朝令暮改にどこまで耐えられるかが大事かもしれません。

またある企業は「属性よりも行動のほうが真実に近い」ということを前提に、どんな風に行動データを集めるかというお話。これは従来の企業システムに対して大きなDXを迫っている要因にもなっています。というのは企業のマーケティング系の基幹システムには「属性」がマスター情報になっているので、それが変わることはITシステムへの影響がとても大きいのです。
人の属性(例えば性別とか年齢とか)は固定的な情報でしたので一回限りのデータ取得でよかったのが(年齢は誕生日がわかればOK)、行動というのはその都度(性別も変化する可能性があります)多くの関連したデータを連携して初めて浮かび上がってくるものなので、データベースの保有と連携の方法を根本的に見直す必要があります。ということは「マスターって何」から問い直す必要があるんですね。だから「こんなはずじゃなかった」となってしまうことが多いというお話。

またスマートフォンの位置情報の活用について話される企業もありました。今は、最短2分ごとに最小10mの精度で位置情報データがとれるそうです。もちろん利用者の了解のもとです。そこから移動の速さが算出できて移動手段がわかったり、昼と夜の場所での滞在時間から居住地と勤務先がわかったりしますので、「位置情報×他の情報」の組み合わせで多彩できめ細やかなサービスが展開できますよ。というお話。こんな膨大なデータもガシガシ収集できるし保存できるし回せるし、コンピュータや通信の技術って本当にすごいところまで来たなぁ。としみじみ。
そして、こうして集まったデータをもとに「お得」とか「便利」が安価で提供されていくのですが、それと引き換えに自分の行動を身売りしているようで。。なんとも。(「タダ」というのはやっぱりないんです)

また別の企業の事例は、「とりあえずその時その時に応じて、地道に当たり前のことをやってきたら、こうなりました」というお話。SNSの活用について当初の状況からこれまでの経緯を順に話されていて、途中まで「全然戦略がないなぁ。グローバルでの世界観とのすり合わせどうするんだろう」と思って聴いていたのですが、ある時点でハッとしたんです。
そうだ、こうした混沌とした社会状況の中では、先に正解を決めないで、今に対して一生懸命応ずるほうがいいのではないか。と。(田中泯さんの「一生懸命その場にいることはできるから」という言葉を思い出しました)

SNSで大きな投資がかからない方法ということは、おそらく企画提案にエネルギーを割くことなく進めてこられたのだと思いますが(そうした活動を任せてもらえる企業風土や余裕があってのことですが)、社内のスタッフが多く関わるような仕掛けを地道につくってこられたことが実を結びつつあるようです。
そして印象的だった言葉が「そこに可能性がないなら(ないと判断したなら)しっかり、やらないと決断することが大事」という言葉。
遠い目標に対して最終的にブレがでるのかどうかというのは、実はその場その場でセンスある判断ができるか。ということの積み上げなのだとつくづく思います。

今日一日、こうした話を聴くにつれ、企業内のITシステムの在り様として、SNSや店頭や販売サイトのSOE(Systems of Engagement)のシステムと、SAPを活用したような生産・調達・物流、そして会計のSOR(Systems of Record)のシステムとの連携、そしてその両者の連携上にある経営管理をどう構築するのかはますますセンスが問われることになりそうです。

公益資本主義に向かおうという大きな流れの変化が起き出した中で、SORシステムからどのように「分配」の実態を算出するのかというのも、CIO(Chief Information Officer)とCTO(Chief Technology Officer)の腕の見せ所。



こうしてカチャカチャ入力している間にすっかり夕暮れてしまいました。







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