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【読書ノート】『魚玄機』

『魚玄機』
森鴎外著

非常に美しく、才能に溢れた女性歌人で、女性道士(道教のお坊さん)の魚玄機が、人を殺してしまったというところから物語は、始まる。

魚玄機は、実在していた。843年に長安で、娼婦の家に生まれたらしい。美貌と詩才があって、長安で名声が高く温庭筠や李郢などの名士と交流していたとのこと。現実の魚玄機も、美しく、情熱的な女性で、物語のように、三角関係のもつれので、女中を殺してしまう。

パワフルな女性として、与謝野晶子を思い出した。

物語に戻ると、天賦の詩才と美貌を持った魚玄機は、初め「男子の心情」を有した志高い少女であったのだけど、女道士として修行を積んでから、身体的に女性として目覚め、性的な欲求が高まっていくというもの。楽人の陳某に心を奪われ、下女の緑翹に嫉妬心を燃やして殺害、そうして、処刑されてしまう。

女性の自由恋愛は、自然な流れだと考えられているのだろうけど、才能溢れる女性に対して、自由恋愛には、気をつけなさいという警鐘をしているみたいなイメージを受けたのだけど。

時代だなあと改めて思った。

確かに、今も、恋愛に溺れてしまう女性は、いるのだろうけど、今どき、つまずくのは、むしろ男の方が多いのではないか?と思ってしまったのだけど、どうだろう?

それでも、自分の子供たちに対しては、自分の恋愛に溺れるなよ。って思ってしまうのだけどね。

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