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【読書ノート】『銀紙色のアンタレス』(『夜に星を放つ』より)

『銀紙色のアンタレス』(『夜に星を放つ』より)
窪美澄著



『夜に星を放つ』は、直木賞を受賞した短編集の一編。

高校生の真が祖母の家で過ごす夏の物語。真は海辺の町で幼なじみの朝日から告白されるが、彼の心は大人のたえさんに向いていた。たえさんは真の祖母の友人であり、夫と別居中の人妻。真とたえさんは夜空を見ながらお互いの心を通わせる。

キーワードを挙げてみる。

①アンタレス
アンタレスは、ギリシア語で「火星に対抗する者」という意味を持つ。アンタレスは、戦神の暴力や破壊に対抗する力や勇気を象徴する星として考えられている。

②アルタイル
アラビア語で「飛ぶ鷲」という意味を持つ。この名前は、わし座の星の配置が翼を広げた鷲の姿に見えることからつけられた。鷲は、古代から多くの文化で神聖な動物として崇められており、天空や太陽と関連付けられている。また、アルタイルは、鷲の力や勇気、自由を象徴する星として考えられている。

さらに、アルタイルは、日本では「不如帰」とも呼ばれ、故郷に帰りたいという思いを表す。アルタイルは、失われた恋や故郷への憧れを象徴する星として考えられている。

③蠍座 (Scorpio)
蠍座は深い情熱、秘密、変革を象徴する。これは感情の深さや内省、そして個人の成長への探求を表す。蠍座の哲学的な意味は、過去の経験から学び、変化と再生を通じて成長し、内なる真実や力を発見すること。

④獅子座 (Leo)
獅子座は自己表現、自信、リーダーシップを象徴する。獅子座の哲学的な意味は、自己の真の力と才能を認識し、他人を鼓舞し、自己の目標を追求すること。獅子座は自己の創造性を発揮し、世界に自分の独自の光を放つことを象徴する。

キーワードから見えてくること。
物語のタイトルにある"銀紙色のアンタレス"というのは、アンタレスの赤と青の混ざり合ったような色調を指す。この独特の色合い色彩は、主人公の真の内面の葛藤や、たえさんとの禁断の恋情を象徴している。また、たえさんが、指差した星はアルタイルでは、なかったことは、真と織姫と彦星の関係にはならないことを示しているのだろう。

物語の主題は何か?
ひとは叶わないものに憧れてしまうということだと思った。真が、気づくべき相手は、幼なじみの朝日だったはずで、、

まあ、これも広い意味では、人生なのだけどね。

この物語は、星や星座の神話などが、ベースにある。非現実的なのだけど、美しい物語だと思った。

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