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【読書ノート】『人間とは何か』

『人間とは何か』
マーク・トウェイン著


1835年にハレー彗星が、地球に接近した直後に生まれ、1910年のハレー彗星接近の翌日に死ぬ。
「自分はハレー彗星と一緒に地球にやってきたので、ハレー彗星と一緒に去っていく」と言いふらしたのだけど、本当に、そうなったようだ。

亡くなる直前に書かれた書物で、自己啓発的な内容。

人間は何か?という問いに対して、「人間は機械だ」という。一見何を言っているのかよくわからないが、人間のあらゆる行動の動機は、深層心理から出る自己満足感に由来するというもの。食欲、性欲に始まり、社会的欲求などを満たすために、無意識に行動しているに過ぎない。思考回路としては、他の動物と何も違わないのだという。かなり乱暴な論調のように感じてしまうのだけど、最近の心理学や脳科学は、このマークトウエンの考え方を是認するようになって来ているらしい。
ひとは何か行動を起こす時、意志を持って動くよりも先に無意識の領域が働いて動き始めるということが明らかになって来たのだという。ひとはロジカルに生きているのではなく、本能のまま生きているに過ぎない。与えられた環境、教育によってそれぞれの状況があるに過ぎないわけで、貧乏で悲しいとか、差別を受けて苦しいという感情は人間の驕りなのだという。

ひとはどう生きるべきなのか?
まず、人間は無力だということを自覚することだということ。けっこう、東洋の哲学に近いのかもしれないと思った。人間界の細かないざこざ、他の人間と比較することで、悲しんだり、劣等感に苛まれたりすることに全く意味はない。そして、無意味な競争に巻き込まれずに自分の道をひたすら歩めば、必ず幸せになれるということ。

幸せは掴み取りにいくというよりも、単純に与えられているものだという点は、なんとなく納得いく。

なかなか、興味深い内容だった。

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