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就職氷河期世代の面接官のツイートまとめが13万PV・200件コメントがつき、ニュースサイトに記事掲載されるまで。

2020年の新型コロナパンデミック。
こんな事になるなんて、全く予想だにもしていなかった2019年の暮れに、ボソッとこんな呟きをした。

これを呟いていた頃は、入社半年も満たない状況で現場の採用面接を任されて、自分も就職氷河期世代で転々と職を変えて来た人間のくせに、転職エージェントから毎日送られてくる同年代の履歴書に目を通しては、涼しい顔で面接を繰り返していた。

そんな自分に、どこか虚しさを感じながら、応募者の経歴にはシンパシーを感じていた。

ひとりの45歳位の女性を面接した時の事。

人事もいれて3人で面接したのだけれど、その女性の経歴に“病歴”があって、しばらく仕事を休んでいたとの事。

本人も深くは話さなかったし、こちらも聞かなかったけれど、きっと“うつ病”の類だとピンときた。その女性は、IT系の派遣の職歴が中心だったし、けっこうキツめの開発現場を踏んでいたから。そして、僕自身も、過去の開発現場のパワハラから“適応障害”、“うつ病”とメンタル的にダメージを受けて来たから、辛さが直感的に伝わってきた。

結局、その人は、人事的にはNGとなってしまい、お見送りとなった。自分も「そうかもな・・」という気持ちと「力になれず申し訳ないな・・」という気持ちが入り混じり、複雑な心境だった。

その後、採用者も決まり、日々に忙殺され半年ほど過ぎ、コロナ禍の中、また採用面接を任されるようになり、改めて当時の思いが去来して、何気なくツイートをまとめたくなった。

すると、トゥギャッターがあっという間に13万PVとなり、200件ものコメントが寄せられた。

就職氷河期というテーマは、なんというか不遇な人たちの代表のような感じで、当事者もあまり目を向けたがらない。でも社会的には感心のあるキーワードの一つだ。

同世代と思われる人たちから、どんどんコメントが寄せられる中で、“自己責任”とぶった切る人“政治責任”を問う人“自分のせい”だと悔やむ人と様々だった。

ツイッターの方にも、“共感しました!”とコメントを寄せて下さった方が沢山いて、ひっそりやっていたツイッターアカウントが注目されてしまい、数日の間は、気持ちがざわざわとしていた。

しかも、それだけではなく、キャリコネニュースのライターさんから丁寧な取材までして頂き、ニュース配信までされてしまったので、本当にネットって何が起こるかわからない!!

・・で、改めて今回の件に思いを馳せてみる。

自分と同じような境遇の就活者の方に対し、救いの手を差し伸べれなかった力不足を悔やみつつ、その方が、少しでも良い縁に巡り合い、幸せな労働環境で働けるようにと願い、呟いたこと。

それをまとめた、トゥギャッターがバズり、ニュースサイトにまで掲載されたこと。

勿論、自分も就職氷河期世代の一員として、このままで良いモノかと自問自答している。自身が10回以上、転職を繰り返しているのは、キャリアや職能が低い自身には、職業選択の余地がなく、正社員でも派遣社員でも、人をボロ雑巾のように使い捨てるブラックな現場を渡り歩くしか、生きる術がなかったからだ。

でもそんな苦しみを味わうのは自分だけで沢山だし、同じような苦しみを味わう人なんて、居て欲しくない。

そういう苦しみを感じ取れる人、“同苦”できる人が、ひとりでも増えると、世の中もっと良くなると思う。

そしてー、採用を見送りにしてしまった、45歳の女性が、この一連の記事やまとめを目にしていて、少しでも前向きになってくれていたら、本当に嬉しい。

2020年8月11日
ルバル