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読書記録

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読んだ本について書きます。 題名末尾の(21/2)のような数字は読了月です。
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#小説

『未来からのホットライン』を読んだ(21/3)

『未来からのホットライン』を読んだ(21/3)

ジェイムズ・P・ホーガン
(古隅 黎 訳)
『未来からのホットライン』
東京創元社(創元SF文庫)、1980年。

長い、難しい。
でもめちゃくちゃ面白い。

そもそもなぜ読もうと思ったかと言うと、『シン・エヴァンゲリオンII』の副題が『Thrice Upon A Time』であり、本書がそれの原題であることを知ったから。それならば読んでみようと思い手に取った。そして挫折しそうになりながらも、なん

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『ハーモニー <hermony/> 』を読んだ。(21/3)

『ハーモニー <hermony/> 』を読んだ。(21/3)

伊藤計劃
早川書房、2012年電子書籍版発行。

最近『虐殺器官』(伊藤計劃著)を読んだ。夜更かしして読むくらいには引き込まれたので、引き続き同じ著者の書籍を読んでみようと思い立った。伊藤は作家デビュー後すぐに亡くなっているので、本作『ハーモニー』と合わせて2作だけが計劃の書籍となる。

クライマックスの流れはSFの古典と似ている。とはいえ他作品はこの流れを高次知能生物を使って説明したり、スピリチ

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『Self-Reference ENGINE』を読んだ。(21年3月)

『Self-Reference ENGINE』を読んだ。(21年3月)

抽象的かつ哲学的、それでいてSFの世界観で語られる短編集 。全ての短編は独立しているかのように見えて繋がっている。そのことは読み進めるにつれてわかってくる。故に実際には短編集ではないが、内容の難解さを踏まえ、一般的な観点から見ると恐らく短編集に分類されるだろう。

床下から大量に出てくる血色の良いフロイト、背中に解読不能の刺青を施されたナマズ、少女のこめかみから過去方向に吹き飛んでいく銃弾。
何の

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『虐殺器官』を読んだ (21/3)

『虐殺器官』を読んだ (21/3)

伊藤計劃
『虐殺器官』
早川書房、2012年。

テロが無くなった代わりに内乱と紛争が頻発する世界観。主人公は軍人として暗殺を主に担う。

高校生の頃、打海文三の『裸者と裸者』シリーズを読んで衝撃を受けたことを思い出した。両書とも戦記物だ。未来が舞台で、生々しく血潮噴き出るような世界観。どうしてこのように話を作れるのか疑問だった。
打海、伊藤計劃、両者とも未完の大作を残して夭逝している。

戦争物

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『三つの棺』を読んだ (21/2)

ジョン・ディクスン・カー
(加賀山卓朗 訳)
『三つの棺 〈新訳版〉』
ハヤカワ・ミステリ文庫、2014年。

「密室の王者」の異名を持つミステリー作家。
本作も密室トリックとして名高い。

第17章「密室の講義」メタ的要素のあるミステリーに関するエッセイが含まれている。あくまでも探偵の主張という体で進んでいるが、明らかに著者自身の主張である。このエッセイはミステリ界隈では結構有名らしく、様々

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綾辻行人『館シリーズ』を読んでいる (21/2)

綾辻行人『館シリーズ』を読んでいる (21/2)

綾辻行人
『十角館の殺人』
『水車館の殺人』
『迷路館の殺人』
『人形館の殺人』
『時計館の殺人・上』
『時計館の殺人・下』

館シリーズは日本で有名なミステリーシリーズであり、まだ完結していない。

実在する古典ミステリの作家・書籍の名前が作中に多数登場するため、
古典ミステリを知らない人は歴史の勉強に、知っている人は含み笑いしながら楽しめる。自分の場合は前者だったので、これを書いている現在は古

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森博嗣『S&Mシリーズ』全10巻を読んだ (21/2)

森博嗣『S&Mシリーズ』全10巻を読んだ (21/2)

森博嗣
講談社。

『S&Mシリーズ』は全10巻で構成されているミステリー小説で、「理系ミステリ」として話題をさらった。『全てがFになる』は森博嗣のデビュー作で、第一回メフィスト賞を受賞。映像化もされている。エンジニアの友人に勧めたところ見事ハマった模様。個人的に好きなのは上述の『全てがFになる』はもちろんのこと、『幻惑の死と使徒』『今はもうない』の計3冊。

森博嗣の作品に初めて出会ったのは「ス

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『ニューロマンサー』を読んだ (21/2)

『ニューロマンサー』を読んだ (21/2)

ウィリアム・ギブソン
(黒丸 尚訳)
『ニューロマンサー』
早川書房、1986年。
2017年(電子書籍版)。

1984年ネビュラ賞、1985年ヒューゴー賞受賞。

サイバーパンクの代名詞的存在と言わている。映画『マトリックス』は、『ニューロマンサー』の映像化を目指した(出来なかった)らしい。

主人公ケイスは凄腕のハッカーだったが、脳神経を破壊されたことにより仕事が出来なくな

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『屍人荘の殺人』を読んだ (21/1)

『屍人荘の殺人』を読んだ (21/1)

今村昌弘
『屍人荘の殺人』
東京創元社、2017年。

第27回鮎川哲也賞受賞。
「このミステリーがすごい!2018年度版」「週刊文春ミステリーベスト10」「2018 本格ミステリ・ベスト10」において第1位。
第18回本格ミステリ大賞。

読み始めた当時、現代風の有名なミステリー小説を読みたいと考えた結果、本書を手に取った。

語り手の思考がそのまま表れる、読みやすく、時にユーモラスな

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『ある奴隷少女に起こった出来事』を読んだ (21/1)

『ある奴隷少女に起こった出来事』を読んだ (21/1)

ハリエット・アン・ジェイコブズ(堀部ゆき訳)
『ある奴隷少女に起こった出来事』
新潮文庫、2017年。

奴隷制のさなか、黒人の尊厳を破壊する白人たちと、
抑圧され暗い日々を送る奴隷について語られる。

かつてアメリカで発売された時、あまりのショッキングさに架空の話であると信じられていたらしい。とある学者が本人の手記を発見し、実話であることがわかったとか。

登場人物たちが実在する、という事

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『マルタの鷹』を読んだ (21/1)

『マルタの鷹』を読んだ (21/1)

Amazon

ダシール・ハメット(小鷹信光訳)
『マルタの鷹』
ハヤカワ書房、1988。

上記AmazonのURLは改訳となっているが、今回読んだものはブックオフで購入した旧訳に当たるもので、Amazon等オンラインではすでに流通していないと思われる。というより手持ちの本は画像検索ですら一致しない。謎。

『史上最強のミステリー小説100冊』のうち、「ハードボイルド / 私立探偵もの」

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