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M-1はじめました。

あっというまに読了。熱い内容だった。すごいなぁ。
M-1はじめました。 著者 谷良一

M-1グランプリの立ち上げの話。
M-1の第1回は2001年。自分は24歳の時。当時は飲食店で働いていたので、年末は繁忙期。当然リアルタイムで見れないので録画。いつもならクタクタですぐ寝るはずが、この録画だけは眠気より楽しみが勝っていて、明日のしんどさも忘れて笑っていた記憶がある。
M-1は紳助さんのイメージがあるが、表舞台の人であるから、その土台を作った裏方の人が当然いるはずだ。興味はあってもなかなか知ることは出来ない世界だから、この本を知って早く読みたかった。ネットでは早くても明日。待ちきれず、本屋を探し回ってやっと見つけた。

著書である谷さんは「漫才を盛り上げろ」のたった一言の指令から、今も続くブームを作り上げた。
当時の谷さんの状況、吉本興行という大企業にいながら辞めることさえも考えていたそう。やりがいや人間関係、40代という年齢、家族。40代の中間管理職を経験した人なら誰しも共感する感覚だと思う。たった一言の無茶ぶりに、今が続くよりは、、の気持ちで取り組んだというのは大きな要因だったと思う。

この本には沢山の人が登場する。芸人・社員・スポンサー・TV局など。
人の数だけ考え方はあるが、読み終えて一番感じたのは 好き という気持ち。
何をするにも努力はしないといけない。そうでないと結果が出ないから。負けるから。会社勤めをしていると、初めは希望を持っていても、必ずしもやりたいこと・好きなことだけ出来るわけではない。むしろ少ない。その内に諦める者、見切りをつけて別の道を歩む者、耐え忍ぶ者、順調に進む者、それぞれだ。
やりたいことをする為に、やりたくないこともしないといけない。
こういった考え方も自分もよく部下に話していた。受け入れろ、ということだ。やがてそれが先に繋がる、と励ましてきた。しかし、人手不足や勝手に能力を感じたり、少し押し付けすぎたかもしれない、と反省もある。
20年以上社会人をやってきて、仕事を続けるにはある程度の好きがないと続かない。それがある程度以上であると成果に繋がりやすい。
耐え忍ぶだけの努力は実を結ばないことが多い。同じだけの時間と体力を労しても、それは作業になってしまっていて、いつしか心を失っている。苦痛だ。その苦痛に耐える為に、休みや帰ってからの楽しみを探し、自分の趣味やパートナーとの時間やイベントを作り、自分のバランスを取ろうとする。
取り組んでいることのスキルアップやどう成果に繋がるか、それがチームの為になるかを考えながら同じ時間と体力を労している人と、差が出るのは当然の話だ。努力とも思ってないのかもしれない。夢中になっているのだ。
良い悪いでなく、どちらを選択するかは自分が決めれば良い。

M-1はじめました。は色んな人の好きの結晶のように感じた。好きの結晶が熱気になっていく。後半部分は、第1回をTVで流しながら読んでいた。勝手に自分も達成感を感じてしまった。
あとがきに紳助さんが手記を寄せている。このあとがきと、谷さんのあとがきのあとがき。二人の熱い関係性が滲み出ている。今このあとがきを書くなら、すでに大成功しているものだから、結果論で何とでも良いように書けるだろう。だが、そんな邪推は浮かびもしない。当時の熱い思いは本物だったのだ。

第1回M-1グランプリのエンディング。初めて尽くしでしかも生放送。
紳助さんはMCと審査員の二役をこなしながら時間ピッタリに番組を締め括った。時間の無い中で言った言葉。
「漫才はこれからまだまだ盛り上がる」
これは谷さんに向けて言ったのではないかと勝手に思っている。
谷さんの為に、どうしても番組内でこの言葉を言いたかったんだ、と。

熱いなぁ。


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