#93 おみくじの7割を製造する会社!ルーツは、ダイバーシティ&インクルージョン!
この番組では、様々な切り口から、これからの紙の価値を考えたり、紙にまつわる情報、たまに紙に全く関係ない情報を発信しています。
この番組は、清水紙工(株)の清水聡がお送りします。
「みくじ箋」とは?
今回は、筒状の中からくじが出てくる「みくじ棒」と、折りたたまれた紙でできた「みくじ箋」の2種類のおみくじのうち、「みくじ箋」についてみていきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
「みくじ箋」とは、薄めの紙が何重にも折りたたまれている、アレのことです。
皆さんも一度は見たことがあるかと思います。
最も主流なタイプは、58×235ミリの紙を13分割にして、58×18ミリに折りたたんだものです。
おみくじの寸法なんて気にしたことないですよね(笑)
簡単に言うと、細長ぇ紙を細かぁく折りたたんだものです。
「みくじ箋」の約7割を製造している会社があった!
さて、この「みくじ箋」って、どこで製造していると思いますか?
まぁ、普通に生活していたら、そんなこと考えないですよね(笑)
実は、「みくじ箋」の7割近くを製造している会社があるんです。
7割ですよ!ほぼ独占です!
「どうせ、どこか大きな印刷会社が独占的に製造しているんでしょ。」とお考えの、そこのあなた、違うんです。
僕もそう思いました。
しかし、そうではなく、実際は、山口県周南市にある「女子道社(じょしどうしゃ)」という会社で製造されているんです。
実は、この「女子道社」会社のルーツがとてもユニークなんです。
それでは、詳しく見ていきましょう。
「女子道社」のルーツ
時は明治時代。
山口県周南市に二所山田神社(にしょやまだじんじゃ)に、宮本重胤(みやもとしげたね)という21代宮司がいました。
当時は、今と違って男女格差がとても色濃い時代でした。
宮司の宮本重胤はこの考え方に疑問を抱き、神道の思想をもとに、女性の自立を求める活動を始めます。
そして結成されたのが、「日本敬神婦人会」。1905年のことです。
女性の自立を求める組織としては、日本で最初のものと言われています。
この「日本敬神婦人会」は、日本全国、それから、ロサンゼルスやハワイ、朝鮮にまで支部を広げていきます。
どのように、女性の自立を求める広報活動をしていたのでしょう。
『女子道』という情報誌を発行していたのです。
やはり、マルティン・ルター以降、思想を広げるのに有効な手段は、書物なんですね。
この『女子道』という情報誌を発行するのにも資金が必要です。
その資金を確保するために設立されたのが、おみくじの製造・販売を行う「女子道社」です。
そう、「女子道社」は、『女子道』という情報誌を発行する資金源として設立された会社だったんですね。
この「女子道社」、割とすごくて、おみくじの自動販売機を開発したり、「神前結婚式」を普及させたりしています。
僕は、地元の神社で「神前結婚式」で結婚式をしたので、そう考えると、「女子道社」さんには非常にお世話になっております。
その後、『女子道』の発行は残念ながら終わりを迎えましたが、「女子道社」は、未だにおみくじの製造・販売を続けています。
ダイバーシティ&インクルージョンの先駆け
今でこそ、ダイバーシティ&インクルージョンという単語が当たり前のように言われていますが、これは本当に最近のことです。
当時の逆風の中、女性の自立を求める活動にいち早く取り組まれた、宮本重胤(みやもとしげたね)さんは、心から素晴らしい方だなぁと思います。
この「RETHINK PAPER PROJECT」の活動でも、ダイバーシティ&インクルージョンは、外せないキーワードの一つです。
あらゆる多様性を認めて、寛容に活動していきたいですし、僕自身もそのような人間になれるよう、自分を磨いていきたいと思います。
という訳で、今回は、おみくじの7割を製造している会社ということで「女子道社」という会社を紹介してきました。
今では、おみくじの製造・販売で有名な会社ですが、そのルーツは、女性の自立を求める活動の資金源という、ユニークな会社でした。
それでは、今回は、この辺で失礼いたします。
最後までご視聴いただき、ありがとうございました。
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