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シンクロする食と暮らしトレンドから予測する、 2020年代今後のライフスタイル

外出自粛やリモートワーク、コロナ禍が与えた暮らしへの影響は、住まいの中での営みに目を向ける層を拡大させました。RoomClipでも収納やDIYに関する検索が増加したことをはじめ、RoomClip Award 2020のトレンドキーワードでは、まさに住まいのトレンドがおうち時間にフォーカスされたことを象徴しています。生活者の暮らしに大きな変動が予想される2020年代の今後について、生活者やビジネスの視点から食と住を見つめてきたエキスパートをゲストにお迎えして意見を交わしました。(※本テキストは、2021年1月に実施されたライブ配信『RoomClip Award Special 「住×食」2021 ライフスタイル予測』のダイジェスト版です)

・モデレーター:ルームクリップ株式会社 取締役 川本太郎
・スピーカー(順不同):クックパッド株式会社 編集部 部長 福井千尋様
      株式会社リフォーム産業新聞社 取締役 報道部長 福田善紀様

●完全版テキストは文末のリンクからダウンロードいただけます●

食と住のエキスパートをお迎えしてディスカッション

RoomClipは2020年12月、「RoomClip Award 2020」 として10のトレンドキーワードを発表しました。(詳しくは特設ページを参照ください→https://roomclip.jp/special/award2020/)。

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 今回は「RoomClip Award SPECIAL」ということで、コロナ禍を経て、今年、2021年の暮らしはどう変化するのか、そして2020年代この先どういう変化が考えられるかを、ゲストをお迎えしてディスカッションしました。

「食」は、おうち時間を楽しむためのアクティビティに

【クックパッド 福井様(以下 福井)】クックパッドでは「食トレンド大賞」を毎年発表しています。2020年度の食トレンド大賞は大賞のほか受賞料理として4品、計5品を選出しました。大賞は「ホットプレートごはん」。2020年度は、自炊の頻度が上がって、その中で手軽かつ、お子さんや家族と一緒に楽しめるということで、ホットプレートで調理できるのレシピの検索頻度が高まりました。2020年度はRoomClip Award 2020でも「おうち◯◯」が1位に選出されましたが、料理でもおうち時間に家族または個人で楽しめるようなもの、エンタメ性の高いものが人気を集めました。

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 他のものも、おうちでティータイムをアップデートしたいということでSNSで流行したダルゴナコーヒーだったり。台湾カステラもスイーツ作りを楽しむ方が増えた中で、シンプルな材料でSNS映えもすることなどから、特に人気を集めたスイーツレシピとなりました。

【ルームクリップ 川本(以下 川本)】2020年はおうち時間が増えた影響から、食と暮らしがさらに近づいた1年。食トレンド大賞は象徴的ですが、それ以外にもクックパッドのお立場から実感はありますか?

【福井】食事を作るって、今までだと家事のタスクの1つ、作業という面がどうしても大きかったと思うんですよね。2020年に関しては、おうちで過ごす時間を楽しむ1つのアクティビティとして料理を楽しもうという傾向が如実に表れた年だと感じています。

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 もう1つ、旬の食材を楽しむ方も増えました。なかなか外に出られない状況で、家の中で少しでも楽しみを増やしていこうとする傾向がよく現れているのではないでしょうか。

住まい投資と指名買いの鍵は情報発信

【リフォーム産業新聞 福田様(以下 福田)】2020年の住まい業界の大きな動きについて、ユーザー側とプロ側、2つの視点からお話しします。

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 ユーザー側の大きな変化については端的に住まい投資が拡大しました。10万円の給付金は大きかったのかなと感じています。また企業、プロ側では指名買いされるケースが拡大しています。リフォームを注文するユーザーは初めてやる方が全体の半分ぐらいで、どこにリフォームを頼んでいいか分からず、今まで何となく3社ぐらい選んで見積もりして頼むというのが一般的だったんです。だけど急に2020年、ユーザーから「御社に頼みたい」というケース、1社指名が増えたんですよ。

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 特にWebを強化されてる企業が中心ですね。様々な情報がWeb上にあふれている中で、自分らしいリフォームを考えるユーザーさんに支持されるみたいな。RoomClipさんの影響は大きいと思います。ユーザー側が自分がどんな住まいが欲しいかを、具体的に頭に想起できるようになったじゃないですか。それを実現できる方が誰かというのを、ある程度Web上の情報で取捨選択できるようになった結果、この状況が起きたんだなと思います。

 指名買いが当たり前になると、プロ側の情報発信やブランディングがすごく重要になる。今までリフォーム業界って横一律で、専門領域別に水回り中心とか、塗装だけ売るみたいのが多かったんですけれども、それはボリュームゾーンとしてマーケットが大きいからなんですよね。ところがもっとユーザー側のイメージが湧いてくると、もっと多種多様なニーズが出てくるはずです。

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2021年以降の変化を予測

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【福井】料理頻度が上がって負担が増えるごとに、やっぱり中食はすごく便利だしありがたいサービスで利用される方も多いと思います。とはいえ、家で自分で作らなきゃっていうシーンもどうしても増えていくはずで。2020年にリモートワークが広がって、家庭の中に料理を作る人間が複数いる家庭が増えた転換期だったんじゃないかと思っています。そうすると今までのキッチンって、1人が作業する場として作られていると思うのですが、ちょっと使いにくいなと思う瞬間も増えたのではないかと。私は、これから複数の人間で調理する場としてキッチンが成立しないと困っちゃう世帯も増えると見ています。

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【福田】家での時間が長くなって、今の住まいだと過ごしにくいっていうニーズは間違いなく出てますね。

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 リフォームマーケット全体で言うと、「リフォームしたい」というアンケートデータは出ているものの、2019年と比較すると残念ながら2020年はマーケットはちょっと縮小しちゃった。これは幾つか理由があって。1つは設備が中国の製造物流の影響で入ってこなくて、そもそも物が提供ができなかった。もう1つは、リフォームは多くが住みながら施工されるので、コロナの影響で、家に人を入れるの怖いみたいな課題があって、留めてる方がある程度いらっしゃる。

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 リーマンショックの時も2018年から2019年に市場に影響が出て、その後、V字回復しました。なのでコロナが収まったら、需要が爆発すんじゃないかなと見ています。


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