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【DAITO✖️RoomClip】DIYはブームから文化に。節目の今に語る、DIYの新トレンド

RoomClip住文化研究所は、2021年9月に第5回調査レポート「DIYの中身に変化!データから見るトレンド変遷」を発表しました。このレポートの発表に連動し、このたび業界キーマンとの特別対談が実現。日本におけるDIYのこれまでとこれからについて、2000年代以降のDIY業界を牽引してきた株式会社大都 代表取締役 山田岳人氏とRoomClip住文化研究所所長がディスカッションしました。

(※本テキストは、2021年10月に実施されたライブ配信「ビッグデータから発見。暮らしのDIY新トレンド」のダイジェスト版です)

(登壇者 右から)
◆山田 岳人氏
株式会社大都 代表取締役
◆川本 太郎 (twitter : @taro_kawa_RC)
ルームクリップ株式会社 執行役員/RoomClip住文化研究所 所長

DIY界隈でも進むDX。
お客様との接点はデジタルシェルフに

川本:新型コロナウィルス流行によるDIY界隈の変化は、山田さんも感じていらっしゃると思います。RoomClipのデータにも、ステイホームの影響は現れていました。RoomClipユーザー約1,700名の回答を得たアンケートでは、コロナ流行をきっかけに約3割の方がDIYを、2割の方がガーデニングやハンドメイドを新たに始めたと回答。自分で何かを作ったり育てたりする広い意味でのDIYの活動が増えたのが変化の特徴だと思います。

山田:確かに、僕たちのサイトへのアクセスも去年の春頃から明らかに増え、売れる商品もがらっと変わりました。

例えば、手で簡単に塗ることができる漆喰が現在、生産が追いつかないくらい売れています。これはRoomClipなどのソーシャルメディアで「これで壁を塗りました」という投稿を見つけた人が、今度はYouTubeで検索して簡単に塗れる方法を実際に知り、その後ショッピングサイトで購入して家族と一緒に自宅の壁を塗ってみる。いい感じに仕上がったから、自分たちもRoomClipに投稿する。するとそれを見た別の人がまたやってみる…というループが回っていることが影響していると考えています。そして、この一連の流れこそDXだと考えています。

つまり、お客様とメーカーの接点がホームセンターの棚だけではなくなった、ということです。今後はディスプレイに写るデジタルの面=デジタルの棚を取る方が重要であると思っていて、僕たちはデジタルシェルフと呼んでいます。RoomClipもお客様との接点なのでデジタルシェルフの1つだと思っていますが、ここをしっかり取っていくメーカーが業績を伸ばしています。

川本:そのように言っていただけると嬉しいです。ホームセンターの棚で見るのと、実際に家の中で生き生きと使われている様子を見るのとでは目に映る魅力も違うんですよね。

山田:デジタルでの接点という意味でRoomClipは日本のDIY業界でとても大きな役割を果たしている、と僕は思っています。

アメリカやヨーロッパではDIYが日常に溶け込んでいて、自宅の壁紙を貼ったことがある人の割合は、パリだと約60%ですが、日本だと約5%と言われています。日本でDIYがあまり根付いていない理由は色々ありますが、1つにホームパーティの文化があります。日本ではホームパーティが少なく、自分の部屋を綺麗にすることや人の家の中を見る機会が少ないことです。それを見られる、または見せるようにしてくれたのがRoomClipなんです。

川本:確かにRoomClipを始めた10年ほど前は、他人の家の中を見ることはみんなほとんどなかったと思います。ここにきて、人の家の中に目を向ける機会が増え、「家の中時代」が始まったという感覚はありますね。

暮らしに溶け込み、より気軽に。
保存数トップ5に見るDIYの変化

川本:RoomClipには、ユーザーが気に入った写真を保存できる機能があります。我々は、多く保存された投稿ほど多くのユーザーに支持されていると定義しているのですが、2015年・2018年・2020年において「DIY」タグが付いた投稿の保存数トップ5を比較すると分かりやすい変化が見えました。

2015年は、1位と2位が図面の写真。それ以外は手が掛かるDIYで、どれも見せることを意識したものでした。

2018年は、5位の写真以外は全部見せる収納の写真。やはり見せることが意識されていました。

2020年は大きく変化し、1位の投稿内容はテレビ裏の収納に関するもの。その他の人気投稿を見ても、見せることを意識するいわゆる「映え」よりも、暮らしを便利にすることに意識が向けられていることが見て取れます。しかもどの投稿も、ワイヤーネットを使うなど、手軽にできるDIYでした。

つまり、この5年の間でDIYは背伸びして大掛かりに行うことではなく、身の丈に合わせて気軽にできることに変わっています。

山田:DIYがだんだん暮らしに溶け込んでいるんですね。

川本:そうですね。DIYに対するハードルが下がり、ワイヤーネットを置いて収納場所を作るだけで「DIYを始めた」と言えるようになったんだと思います。ここから日本のDIY文化が少しずつ根付いていく、そんな印象を受けた調査結果でした。

DIYとは、日曜大工ではなく思想である

山田:僕は去年からすごく実感しているんですが、DIYが文化として根づく節目に今いると思うんです。

川本:今後、社会がどうなっていくかは分からないですが、ステイホームによって皆さんの意識が住まいに向けられたのは、業界にとってチャンスでもありますよね。

山田さんは、DIYはなぜ重要なんだとお考えですか。

山田:僕たちは、「DIYは社会の幸福の絶対量を増やすもの」とよく言っています。DIYは、もともと第二次世界大戦後のロンドンで「自分たちの暮らしを自分たちで取り戻そう」という復興のスローガンとして生まれました。単なる日曜大工ではなく、自分たちの暮らしをどのように考え作り上げていくかという精神の話、思想なんです。だから、自分たちの暮らしを自分たちで作る。それを考えることがDIYだと考えています。そこに業界が一丸となって市場を広げ、新たな価値を生み出していければと思っています。

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この特別対談に掲載されているデータの掲載元調査レポート:DIYの中身に変化!データから見るトレンド変遷

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