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【書評】『新しい分かり方』

こんにちは。ろんどん。です。

今回紹介するのは、佐藤雅彦著『新しい分かり方』です。

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コチラの本は、私が高校生の時、よく通っていた『本屋ルヌガンガ』さんのオンラインショップで、購入させていただきました。

しっかりとしたハードカバーで、表紙の質感も良く、触れているだけでうっとりしてしまいます。


***

表紙を開くと、こんな文章が私たちを迎え入れます。


分からないけれど
なぜか興味を惹かれるもの。
人はそんなものに出会うと
それを解釈しようと
自分の中に 新しい体系を作り始める。


なるほど。確かにそうかも。

いきなりのこの文章に対して、私はすごく興味を惹かれてしまいました。


ここからは、どんなことが書いてあるのだろう。

何を見せてくれるのだろう。


そんな風に思いながら、本書を読み進めました。


***

えええ、すごく楽しい、おもしろい!!


小難しい評論だと思っていた私は、

読み進めていくと驚きでした。


なんと本書には、文章だけでなく、

読者が「分かる」を経験するための、

イラストや写真がたくさん盛り込まれているのです。

というか、

イラストや写真の方が多い。笑


少し紹介してみたいと思います。


本書の中盤に、『文字の紐』という節があります。

私なりに真似つつ、説明してみます。


文章というのは、まっすぐな紐のように先へ先へと進んでいく。このまま進んで、こんな風に行が変わっても、切れてしまったようには感じないだろう。何の違和感なく、私たちは「繋げて読む」ことができる。そしてこれは、一番下の文字と次の行の一番上の文字を繋げるだけにとどまらない。一番上でなく、行途中でそれが起こっ
     
      ても、その先を自然に追う。筆者は「ここに見えない紐が繋がっている」と表現している。私たちは、その紐を自然にたどっていっているだけだと。紐というのは、ぴんと張ることもあれば、ぐちゃぐちゃにからまることある。文章の
            ると果たしてみ
                         うに紐が絡ま
 った状態を作                 
             中でこのよ
                    なさんは読むことができるか。


、、、どうですか??

ついでにもう一つ。


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タイトルは、『影が規定する』


他にもたくさんの作品が、本書に収録されていますが、全部はお店出来ないので、ここまで。

、、少しでも、この本のおもしろさ、分かっていただけたでしょうか。


本書を読み終えて、私は、一本の映画を観終わったかのような、充実感が広がっていくのを感じました。

と同時に、凝り固まった頭をほぐしてくれるような、そんな心地よい感覚も。

何より、すごく読みやすい。

テンポよく、楽しみながら読み進められました。


***

いかに分かりやすく伝えるか

ということが求められるシーンも、もちろんたくさんある。


ただ、その一方で、

よく分からないけど、興味をそそられるものには、

おもしろさがある。


よく目を凝らして、

解釈して、

その先で私たちが『分かる』もの。


何のつっかえもなく、スムーズに頭に入ってくるものとは、大きく質が違う。


与えられた情報から、自分で読み取り、自分で考えていく。

そして、謎が解けて『分かる』を経験したとき、

「ははーん、そういうことか」

と私たちはニヤニヤしてしまう。

送り手と、秘密を共有したような気分になる。


そのようにして伝わったものは、間違いなく、

受け手に何らかの発見や、インパクトを残すはずです。


本書に、散りばめられた数々の写真やイラストは、

私たちに改めて、分かる楽しさや面白さを思い出させ、

一気に引き込んでいきます。

きっと、ページをめくる手が止まらなくなり、

知らぬ間に『新しい分かり方』の世界へと、

のめりこんでいくに違いないでしょう。 


クスっと笑える "funny" と 知的な満足感 "interesting" の両方を内包する本書。

ぜひ、楽しんで読んでみてくださいね。



<追記>

私も何だか楽しくなって、自分なりに『分かる』を表現してみました。

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おもしろいでしょ。

平面の構造式からは、見えてきませんよね。

少し、薬学生っぽさを出してみました。

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