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組織力を高めるKPIを作ってみたトランザクティブ・メモリー・サーベイ


はじめに

経営者のみなさん、組織をマネジメントされてる本部長・部長・チームリーダーさん、コミュニティを運営されている運営者さん・コミュマネさんこんにちは!

組織の生産性向上、部門間や社員間の連携、共創コミュニティの構築とどれも、人と人が出会って生まれる化学反応を高めてパフォーマンスの高いチームつくりは面白くもあり、正解がなく難しくもありますよね。
どうやったら、メンバーひとりひとりの能力を引き出し、組織としてパフォーマンスを最大化できるかは永遠の課題の一つです

その上で、特にこの様な悩みはありませんか?
・組織力を高めたいが、何から取り組めばいいの?
・施策を打ち出しても、KPIの設定はどうすればいいの?
・効果測定方法が分からず、施策の継続有無の判断はどうすればいいの?

これまで、150社以上の企業やコミュニティにヒアリングしてきましたが、本当によく悩まれていることです。

そこで、組織のパフォーマンスを最大化させるためには、
組織の課題は何か?
どの部分を強化すればパフォーマンスが高まるか?
これらの課題を特定し戦略的に施策を打ち出す必要があります。
組織といっても、人の集合体のため、組織一つ一つ課題は異なります。

組織力を高める「トランザクティブ・メモリー」

そこで、トランザクティブ・メモリーという学術的観点から紐解いていきたいと思います。
トランザクティブ・メモリーとは、「全体感で同じ知識を記憶することではなく、組織内の誰が何を知っているかを知っていることを重視する考え方」です。トランザクティブ・メモリーが高いと、つまり組織内の誰が何を知っているかを知っている程、組織のパフォーマンスを高めるという1980年代にスタンフォード大学ダニエル・ウェグナー氏によって提唱された学術的概念です。

例えば、下記の様なこともトランザクティブ・メモリーと言えます。
私とアンミカさんが同じチームだとした時に、私が「白色って何種類あるんやっけ?」ということが疑問にある際、自分で調査するよりも白色に詳しいチームメンバー(アンミカさん)に聞いた方が、この悩みはすぐに解決し組織全体でのパフォーマンスが高まるということです。

トランザクティブ・メモリー(例)

トランザクティブ・メモリーを構築する3つの要素

ただ単に知ってる人に聞けば良いということではありません。
この、トランザクティブ・メモリーを高めるのに3つの要素が必要なのです。
それは、「Specialization(専門家)」「Credibility(信頼性)」「Coordination(調整) 」です。

「Specialization(専門家)」

アンミカさんが白色に詳しいという情報を知らないと連携できる可能性は0です。まず、この様に専門家の情報を可視化することが非常に重要なのです。

「Credibility(信頼性)」

アンミカさんが「白色に詳しい」という情報を信頼しないと、アンミカさんを知らない人は相談しようと思いません。
専門家の情報をただ単に可視化するだけでなく、その情報・人を信頼できる状態を構築する必要があるのです。

「Coordination(調整)」

信頼できる専門家の情報があっても、この情報を効率よく取りに行くことができないと、組織が保持している知識を効率よく活用することができません。
そこで、信頼されている専門情報をいかに効率よく取りに行けるかが重要になります。

これらの3つの項目がそれぞれ構築されていると、組織パフォーマンスを高めることに繋がります。
では、これがあなたの自組織では、これらの3つの項目が構築されていますでしょうか?
また、仮に弱い項目があればその項目を改善すれば、パフォーマンスが高い組織に生まれ変われるということです!

トランザクティブ・メモリー・サーベイ

では、どの様に弱点を把握すれば良いのでしょうか?
そこで、作成したのがトランザクティブ・メモリー・サーベイです。

トランザクティブ・メモリー・サーベイはルイス教授が構築したもので、今回作成したのはこのルイス教授が開発したサーベイを日本起業版にアレンジしたものになってます。

ルイス教授のトランザクティブ・メモリー・サーベイはこちらです。

【参考】 Measuring Transactive Memory Systems in the Field: Scale Development and Validation Kyle Lewis University of Texas at Austin

上記を日本語訳するとこうなります。

【プロジェクトについて質問】
それぞれの選択肢は、1-5で「強く同意する」から「全く同意しない」
1.部署のメンバーは、プロジェクトについて専門的な知識をそれぞれが持っている
2.プロジェクトを実行する上で、私は他のチームメンバーにはない知識を持っていた。
3.それぞれのチームメンバーは、それぞれに異なる専門知からプロジェクトに参加していた
4.プロジェクトを完成させる上では、他の部署のメンバーの専門知が必要であった
5.プロジェクトを行うにあたって、我々の部署のメンバーの誰がどのような専門知を持っているかを知っていた
6.私は部署の他のメンバーからの、プロジェクトについての提案を喜んで受け入れることができた。
7.私はプロジェクトを進めるにあたって、他のメンバーの専門知を信頼していた
8.プロジェクトを進めるにあたって、部署の他のメンバーが提供した専門知に、自信を持って頼ることができた
9.部署の他のメンバーが提供した専門知に対し、自分でもその内容をダブルチェックしたいと思った
10.部署の他のメンバーが提供した専門知を信頼していなかった
11.部署のメンバーがうまく連携して仕事を行うことができた
12.プロジェクトの様々な局面において、何をすべきかについてほとんど誤解はなかった
13.プロジェクトの様々な局面において、何度も後戻りし、やり直すことがあった
14.プロジェクトの様々な局面において、スムーズかつ効率的にタスクを遂行した
15.タスクの遂行において、どのように遂行すべきが多くの混乱があった

【参考】 Measuring Transactive Memory Systems in the Field: Scale Development and Validation Kyle Lewis University of Texas at Austin
日本語訳版


日本企業やコミュニティで活用する際のアレンジ

これを、組織内で活用しようと思うと、
前提条件の設定が必要になります。

例えば、以下の通り。
【前提質問】
・あなたが最も参加しているプロジェクトを選択してください。(本部、部署、PJ、担当物件)(※5人以上)
・呼称が部署・チーム?等
・計測したい対象が1チーム?複数チームのブリッジ?

現状の組織の仕様と計測したい対象によって、一部アレンジして活用する必要があります。
社員が回答しやすい様にカスタマイズすることで、より正値な情報をとることができます。

ここまでできたら、次にトランザクティブ・メモリー・サーベイを活用し組織の弱点を発見しましょう!

サーベイを分析した改善方法

計測すると、どの項目が強いのか、弱いかがわかります。
これらの情報を基に、弱点の箇所を改善できる施策を打ち出していく必要があります。

例えば、
「Specialization(専門家)」が弱い場合
専門家情報を可視化することができていないため、専門家情報を可視化するために、
メンバー情報リストや各メンバーの取り組み共有会等を積極的に行っていくことで改善していきます。

「Credibility(信頼性)」が弱い場合
専門家情報は見えていても、メンバーの専門情報に信頼できていない状態です。
そのため、メンバーの専門情報を信頼できる様に、承認制にしてレベルを表示することや、人として信頼できてない可能性もあるため、メンバー間の交流を生み出すことも必要かもしれません。

「Coordination(調整) 」が低い場合
専門家情報の可視化とその情報の信頼を担保できていても効率良く欲しい情報に辿り着けないと組織のパフォーマンスは高まりません。
如何にして、効率よく欲しい情報や社員に辿り着くかが非常に重要になってきます。

課題に対して施策を打ち出し、改めてトランザクティブ・メモリー・サーベイにて組織状況を計測してみましょう。
そこで、打ち出した施策がどれほど、効果があったかを定量的に分析することができます。

まとめ

組織活性施策等を打ち出す際に、なんとなく良さそうで施策を打ち出してないでしょうか?
それでは、戦略的に組織力を上げていくことは難しいでしょう。
まず、自組織の何が課題なのかを把握して初めて戦略的な施策が打ち出せるのです。

まとめると、ノウハウ共有という観点で組織の弱点を把握するには下記のステップです。

  1. トランザクティブ・メモリー・サーベイを自組織で活用できる様にカスタマイズ

  2. 結果の分析

  3. 分析結果を基にした、戦略的施策

  4. 定点観測

トランザクティブ・メモリー・サーベイを実施してみたい、話を聞いてみたいという方がいらっしゃいましたら、お話しましょう☺️


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