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【2億で20億に勝る】物語る―記録、ストーリー、歴史 高松市美術館コレクション展 美術をめぐる旅2


高松市美術館コレクション展 物語る―記録、ストーリー、歴史

「ものがたる」というタイトルのコレクション展は以前名古屋市美術館でも行われていた。
なんの偶然か今回の高松のコレクション展も「物語る」。

コレクション展示室の大きさは、さいたま近代美術館ぐらいだろうか。
写真撮影は禁止なため、写真はない。

展示点数は多くないが、森村泰昌、やなぎみわ、鴻池朋子などなど。
やなぎみわの作品展示を美術館で見かけるのはかなり久々である。
マイグランドマザーシリーズは好きだった。
かつて発行されていた「流行通信」という雑誌に連載されていた。
雑誌が現代美術の作品発表の場、というのも今から思うと面白かった。
大体その前後のページには都築響一の「着倒れ方丈記」が掲載されていたな。演劇、映像の方面へ表現方法を移した様子だが、また写真作品の新作も見たい。

さすがに今回のテーマで田中敦子の電気服の展示はなかった。

うーん。豊富なコレクションを持っているはずだが、今回は大型の作品が中心だったせいか、それともいつもこれくらいの展示量なのか、ちょっと少ない印象である。
もっとお宝見せてくれ!といっても難しいでしょうから、所蔵コレクション展が開催されたらまた来たいなと思う。

【高松市美術館の特色】


さてweb上で文化庁の資料検索を利用して高松市美術館と調べると、この館の特色、コレクション形成の戦略が記されたスライドが落ちている。

文化庁の資料

https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/bunka_keizai/art_working/01/pdf/93711901_01.pdf

こちらの41ページから読んで欲しい。住谷晃一郎氏の一文。
のっけから、

金無し、時間無し、準備室無しの新設美術館
➡先進美術館に対抗することなど到底不可能

文化審議会文化経済部会アート振興ワーキンググループ 報告書別添資料


と言い切っていて笑ってしまった。
だからこそ、どう特色をつけていくのか。
この資料を読んで俄然、高松市美術館へ行きたくなったのだ。
「わけのわからないものを買うな」とか本当大変だよね。現代美術は理解を得にくい。
しかし「2億で20億に勝つ方向性」でコレクションされた品は今や世界中の美術館から貸し出し依頼を受けている。高松市美術館がコレクションしなければ海外流出していたであろう。


このあたりの話とだぶる。以前書いた記事はこちら↑

【地元の方から聞く高松市美術館の話】



展示を見てホクホクとした気持ちでパッと路地に目をやると、「コーヒールーム『ミニ』」の看板。

ハートマークがいかす

惹かれる。
旅をしている非日常感から多少勇気がわく。いや、私の場合は好奇心かな。都内にいたら絶対入店しないだろうな、という出立のお店に潜入。

サイフォン式
あのシェイカーでリズミカルに。

チャーミングなママが1人で切り盛りする喫茶室でした。おすすめのアイスコーヒーを頂く。
豆を挽いて、サイフォンでコーヒーを淹れて、アイスピックで塊氷をカチ割り、シェイカーにコーヒーと氷を合わせシェイク!!めっちゃかっこいい!

美味しいのよ

甘めのアイスコーヒーという、クセのある一杯ですが、数年前までブラックコーヒーが飲めなかった私には馴染みの甘さ。
美味しい…!

この場所で店を構えて長くなるそうで、東京から高松市美術館目当てで来たことを話すと、このあたりの昔話を教えてくれました。

・昔、市美術館は栗林公園にあったこと。
・現在の美術館の土地には昔、日銀の建物がありとても風情があったこと。
・「その建物そのまま美術館になれば良かったのに…」
・丸亀市の猪熊弦一郎現代美術館のことを猛プッシュ。(うーん…行きたかったけど今回の旅行日程で無理だったのよね…)

などなど。
確かに高松市美術館のコレクションルーム前に「旧高松市美術館」と書かれた小さな模型があったのです。あれ?旧っていつ?と思った。
ママのお話のおかげで謎が解けた!
栗林公園にあった旧高松市美術館についての記事はこちら

https://www.city.takamatsu.kagawa.jp/museum/takamatsu/kyoiku_fukyu/volunteer.files/vol27.pdf


高松市美術館の歴史は長く、公立美術館としては神奈川近代よりも古い。1949年開館。
現在位置での開館が35周年とうたっているが、もっと古いではないか。
東京国立近代よりも古い。
東近美が開館70周年と言ってるなら高松市美術館は2024年で開館75周年なのでは??なんで1988年で一度歴史が区切られているのか謎であるなんかもったいないなぁ。

話し方がお上品でとっても素敵なママから思わぬ土地の歴史を知れてとっても良かった。
途中、昼休みのサラリーマン5人組がわいわい入ってきたり、賑やかで楽しい場所でした。美味しいコーヒーと良い旅の思い出になりました。

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