歩き方や身体の使い方がこれでいいのか不安に感じる時

「歩き方がこれでいいのか不安」
「身体の使い方がこれでいいのかわからない」

多くの人からロルフィング®︎やピラティスのレッスンの中で聞く言葉です。

わからないことって、基準もわからないから不安になるんですよね。私も自分の知らない分野になると、「これでいいのだろうか」と不安になることが多々あってきました。

では上記のような「歩き方」や「身体の使い方」に不安や疑問がある時、どうしたらいいのでしょう。わからないが故に不安なのであれば、「知る」ことは大切。では「知る」にあたり、それは「解剖学」を学べばいいのか、どうやって知っていけばいいのでしょうか。

今日はそんなところと、私がクライアントや生徒の方々に伝えていることをシェアしていきたいと思います。

身体の仕組みを知る

確かに解剖学とまではいかずとも、身体の仕組みを知ることはできることの1つ。筋肉名とかそんなのは別に良くて、

・骨がどんな風(大きさ、長さ、形など)になってるのかな
・どこに関節があるのかな
・関節ってどう動くのかな
・へぇこの筋肉、意外と長いんだね

とか、そんなようなこと。絵を眺めて、「ほぉ〜」と思うくらいの感じでも良いと思います。今は動画もあるだろうし、そういうイメージインプットも最初はいいかも。

昔々、ヨガのインストラクターの友人に「レッスンの中で股関節から身体を倒してって伝えても、なかなか上手くいかないんだよねぇ」という相談を受けた際に、「一度生徒さんがどこを股関節だと思ってるか聞いてみたら?」と伝えたら、

後日、「聞いてみたら、みんなすごくいろんなところ指してた!笑。ちゃんとどこかわかったらみんなできるようになった!」との報告をもらったことがあります。

なので、まずは絵を眺めるところから始めて、場所や仕組みを知っていくこと。これだけでも変わってくることがあるんじゃないかなぁ。

知った後に実物につなげていく

知識を得た後、上にも書いたように、自分の体で確認してみるのはとても大切な作業。なぜかと言うと、それぞれの人で身体って異なるからです。

身体は教科書通りではありません。世の中には内臓が左右反転している人もいれば、2つあるといわれている内臓が元々1つの人もいれば、人によってあったりなかったりする筋肉があったりします。

なので、自分で自分の体を触って感じてみたり、わからないことはプロに触れてもらって確認してみたり。

自分の体で、立体的に感じてみるだけでも、知識が頭の中にあるだけではなく、体に反映されやすくなり、大きな違いを生み出してきてくれると思います。

動きはまた異なるステージ

身体の作りや仕組みを知って、ようやく、「動く時に意識をする」ということがしやすくなります。

以前私が受けていたダンスのレッスンの中で、先生が1人の生徒さんに「もう少し内転筋使って!」と指示出ししていましたが、動きを見ている限り、内転筋の位置を明確に把握していない感じだったことがありました。

前述した私の知人のヨガクラスの話ではありませんが、使って、とか、意識して、とか言われたところで、その場所がわかってなかったら本末転倒です。

だからこその身体の作りや仕組みを知っておきたい(完璧でなくてOK。なんとなくで。)。そうでないと、動いている中で意識するだなんて、なかなか難しい。

それでいて、「動き」というのはとても興味深いもので、教科書通りに筋肉や骨を使ったからと言って、みんな同じ動きなるかというと、そういうわけでもなかったりするんです。

例えば、教科書通りやることで、同じようにコップに手を伸ばせるかもしれないけれど、動きの美しさや癖のようなものの違いが必ず出てきます。

それゆえに、動きを探求していく過程で悩んだりするんですよねぇ。きっと。人はみんな違うから。1+1は2になるんじゃないんかーい!と叫びたくなる。時にはどう頑張ってもそもそも1にならなかったり。

身体の作りや仕組みは知っていた方がいいけれど、それだけではおそらく最初に挙げた「不安」や「疑問」はぬぐえません。

そもそも「正解」とは

「不安」や「疑問」に対して、「正解」があるかというと、正直、ないというか、人によっても異なり、同じ人にとってもその時の状況によって異なると、私は考えています。

何をもって「正解」と思うのか。ここは今これを読んでいるみなさん自身が明確にしておきたいことかもしれません。

自分にとっての「正解」。

・誰かに「それで合ってるよ」と言われることなのか
・痛みなく動けることなのか
・見た目美しく動けることなのか

以前書いた「なんのためにストレッチするのか」にも繋がりますが、何をもって自分は正解としたいのか、というのは大きなポイントです。

私がロルフィングやピラティスの中で、クライアントや生徒の皆さんに、ある意味「正解」として伝えているのは、

その時、その瞬間、なんとなく伸びやかで、なんとなく気持ちよく動けている

ということです。かなりアバウト。足がこう使えたら正解です、とか、こう立てたら正解です、こう歩けたら正解です、という伝え方はすることがありません。

今この瞬間の正解は、時に、ある瞬間の不正解にもなったりするからです。

えー、それじゃぁもうわけわからないじゃないか!と、なることが多いので、私がレッスンの中で伝えていることを最後にシェアします。

OKサインとNGサインを見つける

それは、OKサインとNGサインを見つけるということです。

例えば、身体が比較的うまく動いてくれているときは、伸びやかさが感じられたり、ちょっと気持ちよく動けたりします。背が高くなった気がすることもあったり、軽やかだったりするかも。

NGサインは力が入りすぎてしまう時。こう動こうと頑張りすぎていたり、意識的ではなくても、ものすごくどこかが疲れてしまったり。

そんなことを書くと、「私はNGサインばっかりだ」と思う人もいるかもしれません。例えば、

「歩く」ということについてであれば、どんな歩き方をしてみても腰が痛い、という時。少しお腹の力を抜いて歩いてみるのと、少しお腹の力を入れて歩いてみるのと、2つを比べてみます。

で、2つのうちの、まずはマシな方を選択していくんです。NGな中にも違いがあったりするので、そこを明確にしていくだけでも、ヒントがわかってきたりするものです。

二者択一。たった一つの正解を求めるよりも、ずっとおすすめです。

動きに導いてくれるのは感覚

お気づきかもしれませんが、OKサインとNGサインでは「知識的な正解」ではなく「感覚」に意識を向けています。

良い感じなのか、悪い感じなのか。伸びやかな感じなのか、窮屈な感じなのか。感覚って侮れないんです。

知識も身体をとても助けてくれるものですが、知識に振り回されると実感が伴わなくなり感覚に繋がらなくなります。そうなると動きに反映されなくなってくるんですよねぇ。動きに導いてくれるのは知識ではなく感覚だから。

身体の知識を増やしていく人の中には、この知識の沼にはまって、感覚を忘れてしまう人もいるんです。私もそんな時がありました。

知識はあるのに、身体の使い方がうまくいかないなんていう時には、「そういえば感覚どこいったかな」と思い出してあげてみるのもいいかもしれません。

最後に

今回は私がレッスンの中でクライアントや生徒さんに伝えていることをシェアしてみました。長年に渡り、指導者ではなく一般の方向けにセルフケアのワークショップをしていましたが、その時には今回お伝えしたフォーマットでお届けしていました。

身体の作りを知る、仕組みを知る、感じてみる、動いてみる。

驚くほどに皆さん身体が変わっていったのが懐かしい。そして変わるだけでなく、自分で自分に「これで良さそう」くらいのOKを出すことができるようになっていきました。

身体のことに興味を持つからこそ、姿勢を良くしたい、歩く姿をキレイにしたい、というモチベーションがあるからこそ生まれる不安や疑問。せっかくのモチベーションを、そんな不安や疑問に飲み込まれ、逆方向にベクトルが向いてしまうなんて勿体無い。

なので、今回のお話が、少しは不安や疑問の解消方法へと繋がったら嬉しいなと思います。

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