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体験談

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イマジネーションの源泉である、自分自身の体験談を綴ります。
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#恋愛

転校生と最後の役割

転校生と最後の役割

 転校生だった。

「吉村です。よろしくお願いします」
 低く、大人びた声の底には、わずかに怯えるような震えが含まれていた。

 教壇に立つ担任の女性教師、前田先生の横にいるのは、綺麗なストレートの黒髪を背中まで伸ばした女子だ。くっきりとした二重まぶたで瞳が大きく、鼻筋も通っていて、唇は少し横に長い。
 僕は生まれて初めて美人を見たと感じ、思わず見惚れてしまった。

 自己紹介が終わると、前田先生

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「俺の酒が飲めないのか?」 -パワハラと愛情の狭間-

「俺の酒が飲めないのか?」 -パワハラと愛情の狭間-

今回の記事は、下ネタのつもりはありませんが、そのように解釈されるかもしれませんので、お読みになる際にはご注意願えれば幸いです。

もし、たまたま目に入ってしまった際には、”※※※”で区切った以降は読まずにスルーしていただければと思います。

表題のごとく、「俺の酒が飲めないのか?」と言って酒を勧める上司、先輩などが問題だという記事を読みました。

僕の経験による私見では、そのように言って酒を勧める

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恋無き恋のフられかた

恋無き恋のフられかた

「秋田って気持ち悪いよね!」

(米久のやつ、また言ってる……)
 僕はその大声に視線さえ向けずに黙殺した。言い返す気力も無い。
 なぜなら、もう一年も続いているから慣れっこなのだ。
 彼女の声は続く。僕の悪口を自分の仲良しグループにも言い始めた。その仲間たちは困った顔で聞いているが、米久さんはお構いなしである。

(小中学校では大人しい、可愛いやつだったのに)
 彼女とは小学校と中学校、そして今

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