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【マイプロ×公立高校】マイプロジェクトに取り組む高校生の変容。テーマはインタビューからひらめいた!

2020年度から宜野湾高校では、「総合的な探究の時間」で一人ひとりの興味関心をテーマに扱うことで主体性を持ったプロジェクトを企画し、地域と繋がりながらより深く学ぶ「マイプロジェクト」を実践しています。roku youは、「マイプロジェクト」のカリキュラム開発や授業設計、先生方の支援、さらに地域のアントレプレナーと生徒を結ぶ活動など多様な関わりを行っています。

本記事では、インタビューを通して見えてきたマイプロジェクトに取り組む高校生の変容をお伝えします。
食の循環をテーマとした「もぐもぐプロジェクト」に打ち込んだ2年生5人(みうさん、ひなたさん、れいあさん、みそらさん、りりかさん)にインタビューを行いました。「もぐもぐプロジェクト」は、SDGs OKINAWA グランプリ 2021特別賞やMY PROJECT AWARD 2021 地域特別賞などを受賞したマイプロジェクトです。実際に「もぐもぐプロジェクト」に取り組んできた高校生は何を感じ、どんな壁を乗り越え、どのような学びを得たのでしょうか。roku youメンバー古屋が、「もぐもぐプロジェクト」チームメンバーの声と、個別の生徒たちの言葉をお届けします!


テーマはインタビューを通して見えてきた課題からひらめいた

古屋:
もぐもぐプロジェクトではどのようなことをしていますか。

もぐもぐ:
私たちは食の循環をテーマに掲げて活動を行っています。学校の給食センターから出る食品廃棄物を琉球大学の協力を得て、堆肥化します。そして、その堆肥を使用してゴーヤやオクラ、芋を栽培。収穫した野菜をハッピーモア市場で販売したり、給食の材料として使用してもらったりしています。

古屋:
給食センターや市場、大学と連携して、食の循環を実現しているのですね。なぜ食の循環に取り組もうと思ったのですか。

もぐもぐ:
最初は食の循環についてそこまで考えていませんでした。堆肥化についてもよくわかっていなかったのです。元々は「自然が好き」「食べるのが好き」というところから始まりました。農作物や食をテーマの中心とし、それに関連する方々にインタビューに行きました。多様な方へのインタビューを通して現状や困っていること、堆肥化について知り、いろいろなことが繋がっていきました。

古屋:
インタビューをする以前は、どのようなことに取り組むかは決まっていなかったのですね。どのような人にインタビューをしたのですか。

もぐもぐ:
3つの場所にインタビューに行きました。一番初めにインタビューしたのが、マンゴー畑の農家さんです。そこで、売れなくなってしまったマンゴーを加工して販売していることを知り、食品ロスへの関心が強くなりました。

 次に給食センターにインタビューに行きました。そこでは、毎日約300kgの食品廃棄物が出ていること、そしてその廃棄物を買い取ってもらっていることを聞きました。この現状を知り、私たちはフードロスの課題を解決できる方法はないかと考え始めました。

 続いて、琉球大学の農学部の教授にインタビューしました。そこで「堆肥化」という方法を知り、食べ残しなどからも堆肥が作れることがわかりました。「給食センターから出る食品廃棄物を堆肥化することができれば、フードロス問題解決のヒントになるのではないか」と考えました。

 これらのインタビューを通して、給食センターの食品廃棄物を堆肥化し、その堆肥で野菜を育てるという食の循環をテーマにたどりつきました。

古屋:
なにもないところから、いろいろな人に話を聞いていくうちに課題が見えてきて、そこからプロジェクトが生まれたのですね。

食品廃棄物を堆肥化し育てたゴーヤを、ハッピーモア市場で販売する様子

プロジェクトへの熱が入るきっかけになったのは素敵な出会い

古屋:
インタビューする中でさまざまな点が繋がり、困りごとを解決できそうだと見通しがたったときに、このプロジェクトへの熱が入ったのでしょうか?取り組み始めた当初、プロジェクトに対してどのくらいの熱量があったのか教えてください。

みう:30
ひなた:70
れいあ:無量大数〜!
みそら:1024
りりか:35億4532!(笑)

古屋:
みなさんの熱量の高さを感じます!みうさんは当初熱量は低めだったのですね。プロジェクトを進めていく上で、どのタイミングで熱が入ったのでしょうか。

みう:
プロジェクトにいろいろな人が関わり始めて、現実味が湧いてきた時に熱が入りました。琉球大学へインタビューに行った時に、偶然にも共和化工という堆肥化の施設を作った企業の方がいました。その共和化工の方が「(私たちの)プロジェクトに協力する」とおっしゃってくださり、その時にプロジェクトが一気に大きくなった感覚を持ちました。

古屋:
素敵な出会いがあったのですね。プロジェクトに色々な人が関わってきたときに、現実味が湧いてきたということでしたが、どのようなサポートや関わりがあったのでしょうか。

もぐもぐ:
プロジェクトに直接関わってくださっている方は3人います。宜野湾高校のヨザ先生と、琉球大学農学部技術職員のカヤノさん、共和化工のイシダさんです。ヨザ先生はプロジェクトを包括的にサポートしてくれました。カヤノさんは食品廃棄物を運ぶ、堆肥を作る、ゴーヤを育てるといったこと以外にも、ハッピーモア市場に出品する手続きまで助けてくださいました。イシダさんは堆肥化施設を琉球大学に寄贈した方で、施設の使用許可をくださったり、堆肥について色々教えてくださったりしました。

古屋:
たくさんのサポートをいただいたのですね!他に、こんなサポートがあればもっとマイプロジェクトを進めやすかったと思うことはありますか。

もぐもぐ:
2つあります。1つ目は、高校生だけでは移動が難しかったので、その部分の支援をいただける大人がいらっしゃると嬉しかったです。

 プロジェクトを進める上で週1回程度琉球大学に通う際には、親に送迎をお願いしたり、2時間かけて歩いたりしたこともありました。また、カヤノさんにもたくさん助けていただきました。例えば、バスの運賃が無料だったら、もっと色々なところに行けたのにと思ったこともあります。
 2つ目は、気軽に相談できる窓口がないことです。プロジェクトを進める中で相談したいことが出てきても、相談をするのに時間がかかってしまい、もどかしさを感じていました。

楽しむことで主体性が育まれる

古屋:
そうなのですね。ここまでお話を聞いて、みなさんはすごく主体的にプロジェクトに取り組んでいるという印象を持ちました。主体的にプロジェクトを進めていくためにどんなことが大切だと感じますか。

みそら:
メンバーと一緒に楽しむことが一番大事だと思います。私は「このメンバーだからやってこられたな」と感じています。あとは、「フッ軽さ(=フットワークの軽さ)」。思い立ったらすぐ行動ですね。 やろうと思ったら、すぐに行動にうつしてみる。これが大事だと思います。

古屋:
楽しむこととすぐに行動することがポイントですね。どんな時にそれが大事だと思ったのですか。

もぐもぐ:
このメンバーが楽しいんですよ。このプロジェクトを成功させたいという思いもありましたが、取り組みながらみんなずっと笑っていて、このメンバーといるから楽しみながら頑張れるということを日々感じていました。本当に、常に笑いがたえないんです。それくらい超楽しいメンバーだから、ここまで取り組むことができました。

古屋:
本当に楽しかったということが伝わってきました。素敵な仲間ですね。どうやってクループは編成されたのですか。

もぐもぐ:
以前、渡嘉敷島に1泊2日でSDGsの話を聞く体験授業がありました。結局、新型コロナウィルスの感染拡大で中止になってしまったのですが。そこにこの5人が申し込んでいました。そこから仲良くなって、今回はグループを組みました。

プロジェクトを進めていくうちに大きくなっていく

古屋:
マイプロジェクトで関わる前から縁があったのですね。実際にプロジェクトに取り組む中で、どのような刺激や気づきがありましたか。

れいあ:
今まで知らなかった世界に出会い、自分が見えていなかったことがたくさんあることに気づきました。プロジェクトを進めていく中で、どんどん自分が想像もしていなかったような方向に進んでいきました。

みそら:
マイプロジェクトに関わる以前はSDGsのこともよく知りませんでしたし、まさか自分がこうしたことに携わるとが思ってもいませんでした。夢中になって関わる中で、気づけばとても大きなプロジェクトになっていました。このプロジェクトを始めてから、SDGsと書かれているものが目に留まるようになりました。また、道にゴミが落ちているのを見ると「地球がやばいな」と反射的に思うようにもなったんです。SDGsのことをよく考えるようになり、すっかり「SDGs脳」になりました。

 他にも、「挑戦してみればなんでもできるんだな」と思いました。私たちのプロジェクトの難易度が高いと思う方もいるかもしれません。しかし、やってみれば意外とできる。最初から大きなことをしようと考えなくても、ひとまず行動してみればできることはどんどん膨らんでいくのだなと思いました。 

りりか:
私は人間関係を学びました。仲はよかったですが、プロジェクトに取り組んでいく中で衝突することもたくさんあり、言い争いになったときは誰かが泣いていました。意見が通らずに苦しい思いをしたこともありました。しかし、こうした経験の中でたとえ絶対に自分の意見を通したいと思ったときにも、相手の意見を聞いてリスペクトし、思いやることが大切だと気づきました。将来社会に出たときも他者と意見が異なるシーンはたくさんあると思うので、マイプロジェクトでは役立つ学びを得られたと思っています。嫌なことも楽しかったこともこのメンバーで乗り越えたことで、とてもよい経験ができました。

古屋:
みんな仲が良さそうに見えるので衝突したことがあったことに少し驚きもありました。意見を言い合って、みんなで進めてきたプロジェクトなのだと理解することができました。意見が対立してチーム内でギクシャクしたときは、どのように乗り越えたのですか?

もぐもぐ:
プロジェクトはみんなで話さないと進めることができません。だから、たとえ言い争いになったとしてもきちんと1人ひとりの話を聞こうとしていました。

古屋:
その姿勢はとても素晴らしいですね。いくら怒っていたりギクシャクしたりしていたとしても、きちんと話を聞くことは大切なことです。みんなできちんと話していたからこそ自然と仲直りしていったのでしょうね。

これからマイプロジェクトに取り組む後輩に一言!

古屋:
最後に、これからマイプロジェクトに取り組む後輩に向けてエールをお願いします。

みそら:
楽しいメンツと組みましょう。「フッ軽」に行動しましょう。最初にプロジェクトの内容が決定していなくてもおそらく大丈夫なので、ひとまずやってみましょう。高校生は何でもできるよ!

れいあ:
何よりも楽しむことが大切です。楽しんでいたらなんでもやりたくなるし、なんでも楽しくなる。だから、楽しむことが大切です。

ひなた:
やりたいって思ったのならば、どうせできないと諦めるのではなく、ダメ元でもいいので行動してみることが大事だと思います。「こんなことをしたいんだよね」と周りの人にいうのも大事だと思います。これは私たちもいわれたことだけれど、周りの人を頼ってみましょう。

みう:
楽しむことを大事にして、無理をしないでね!

りりか:
楽しむことが自分の財産となります。プロジェクトを進めていくうちに色々なことがわかってくるし、見えてきます。どんどん視野が広がっていきますよ。だから、前に突き進んでください。「総合的な探究の時間」は最高だよ!

畑での1枚

<もぐもぐプロジェクト受賞一覧>
・SDGs OKINAWA グランプリ 2021特別賞
・MY PROJECT AWARD 2021 地域特別賞
・沖縄未来社会創生シンポジウム 奨励賞
・琉大リケジョ フクギ並木毎木調査 修了証

おわりに

今回の記事では、インタビューを通して見えてきたマイプロジェクトに取り組む高校生の変容をお伝えしました。私たちがサポートしている社会に開かれた学びの実践は生徒の可能性を広げることができると信じています。
「もぐもぐプロジェクト」は後輩たちにも引き継いでいけるとよいなと思っているそうです!

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