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[要旨]

ほとんどの会社経営者は、自社の事業を黒字もすることが最優先と考えつつも、実際の行動は、事業へのこだわりなどを最優先してしまうことも少なくないようです。そこで、事業は経営という大きなくくりの中の一部と考え、事業そのものよりも、事業を黒字にするための活動を優先することが大切です。


[本文]

山手線目黒駅の近くにある、ミシュラン一つ星レストラン、ラッセのオーナーシェフの村山太一さんのご著書、「なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか?偏差値37のバカが見つけた必勝法」を拝読しました。同書からは、いくつかの気づきを得られましたので、今回から、数回に分けて、それをご紹介したいと思います。今回は、「おいしい料理より黒字経営」についてです。

「やっぱりぼくは料理人であると同時に、経営者なので、おいしい料理をつくることと、お店を黒字にすること、どちらが大切かといえば、圧倒的に後者なんです。もちろん、料理を軽視しているわけではありません。ラッセのキッチンでは、いつも真剣に勝負をしていますし、どこよりもおいしい料理を提供している自信はあります。ただ、料理は経営という大きなくくりの中の一部でしかないんです。ホールでのサービスや、営業、マーケティングなんかもそうです」(84ページ)

この村山さんの言葉は、ほとんどの方が賛同されると思います。でも、意外と、黒字経営を最優先している経営者の方はあまり多くないと、私は感じています。村山さん自身も、かつては、ミシュランの星を落とさないことを最優先し、おいしい料理を提供するために長時間労働が続いたそうです。

その結果、お店が疲弊してしまったことから、お店の存続に危機感を感じ、そのことが、村山さんが、サイゼリヤに学ぼうとするきっかけになったようです。村山さんに限らず、ほとんどの会社経営者の方は、事業が黒字になることを望んでいるとは思いますが、必ずしも、すべての経営者の方が、事業を黒字にすることを、直接的に、最優先しているとは限らないようです。

村山さんは、自分のレストランを星付きにしたいと考えているわけですが、事業の赤字が続いて店がなくなってしまえば、星を付けてもらうこともできなくなります。まず、事業がうまくいくことが先であり、次に、星付きのレストランを維持するという、当たり前の優先順位は、意外と見落とされがちだということを、村山さんの本を読んで、改めて感じました。

2021/10/17 No.1768

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