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【企画書】パンフレットとしての読み物
Introduction
3歳になる友達の子供が東京に遊びに来るというので、原宿のど真ん中で待ち合わせをした。
長野県の田舎町で生まれ育った、ごく普通の女の子だ。東京がどんなところなのか知っているのかは分からなかったが、ひとまず原宿の竹下通りへ行き、カラフルな飴やキラキラのグミなんかを一緒に沢山買った。
長野県では出来ないような体験だと思って、特別な日の思い出をプレゼントしたつもりだった。
【テレスコープ・メイト】第1話 -はじまりの朝-
この物語は、筆者が、現在のZ世代・α世代として生まれた子どもたちが大人になった世界を想像して書いた創作小説です。
文末に【企画書】の掲載があり、IntroductionとProduction noteをお読みいただけます。
#1 テレスコープ・メイトmeme.
目の前に、飛行機が墜ちてきた。
ただそこに墜ちる運命にあったかのように、機体は真っ直ぐに落下し、僕らの隣町を燃やした。
「・・・
【テレスコープ・メイト】第2話 -Twōtter、サービス終了!?-
#2 Twōtter、サービス終了
5.『あの言葉』
星が『テレス』のベランダから最後にオリオン座流星群を見たのは、2070年、小学校4年生の、秋のことだった。
「そろそろ帰るか。」
今年もきれいなオリオン座流星群が、肉眼でよく見えた。
星と鼓は、5歳のあの秋の日の夜に、父からもらった天体望遠鏡を順番に覗き込みながら、はしゃいでいた。
『お前たちは、テレスコープ・メイトだ!』
そう言
【テレスコープ・メイト】第3話 -地球最後の日の訪れ方について-
【 第1話 】
【 第2話 】
8.rocketjet
聡一郎と伸弥が務める『テレス』社が、ロケットのエンジンを応用した旅客機『rocketjet』の完成を発表したのは、2070年の4月のことだった。
初めてのお披露目飛行で、羽田―NY間をわずか20分で飛んだことで、『テレス』は「世界のテレス」にその名をとどろかせた。
『全ての国を隣国に』が大々的にテレス社のキャッチフレーズとなり、これ
【テレスコープ・メイト】第4話-火のないところの煙‐
【第1話】
【第3話】
2070年9月。
伸弥は、その様子を、固唾を飲んで見守っていた。
ぐっ・・・・・
自分の中に、こらえようのない、怒りなのか、絶望なのか、哀しみなのか分からない感情の渦が駆けめぐる。
言葉にならない、声が漏れる。
◇◇◇
10.記録
聡一郎と伸弥が務める『テレス』の社内では、人事異動の話がささやかれていた。既に、個人的に社長室に呼ばれ、役職がひとつ上にあがっ
【テレスコープ・メイト】第5話-月面のジャガイモ-
【第1話】
【第4話】
#5 月面のジャガイモ 『延沢の真意』
12.世界の何処にいても
延沢英寿が生まれたのは、2010年10月23日。
その年は曇りや雨の日が多く、日照不足で野菜の値段が高騰した、どちらかと言えば暗い年だった。
英寿は昔から、周囲の"暗さ”に敏感だった。
あれはまだ、英寿が幼少の頃。英寿の通う保育園で、園最後の劇の配役を決める時間があった。
ものごころ、などとい
【テレスコープ・メイト】第6話-この広大な言葉の海の中で-
【第1話】
【第5話】
13.理科室
「桜田先生!!!」
星と鼓は、桜田立花がいる理科準備室へと駆け込んだ。
勢いよく扉を開けると、そこには、目を腫らして一枚の写真を握りしめ、立ちすつくす桜田の姿があった。
「・・・え?」
星は思わず立ち止まる。
「ねぇ・・・・・・パパが死んじゃった。
・・・かも、し、れない・・・・・・・・・・」
桜田の目線の先にあるスマートフォンのニュースか
【テレスコープ・メイト】第7話 -答え合わせ-
【第1話】
【第6話】
15.入学式、あの日、あの言葉。
星が小学校4年生になった10月の夜、聡一郎はテレスで星と、『あの言葉』の約束をした。
「僕が星を守るよ!」
そう言って真っ直ぐに聡一郎の目を捉えた星のことを、聡一郎は、とてもとても、誇らしく思った。
そうか。星が、星を守るのか。
血は、争えないな。
そう思うと、星を危険な目に晒してしまうことになるのではないかという得体の知れ
【テレスコープ・メイト】第8話 -理由-
【第1話】
【第7話】
17.ぼくたちの未来
「エイジュー、オリオン座流星群、ビデオ通話しながら一緒に見ようよ!」
延沢英寿のフェイスボックスのメッセージに、ショーンからのお誘いメールが届いた。延沢のアカウント名@eijyuuu15は、名前のヒデトシの漢字を音読みにしたものだった。そのため、海外アカウントの友達からは、エイジューと呼ばれることが多かった。
「わかった!『NAZAからの贈り
【テレスコープ・メイト】第9話 -流星群-
【第1話】
【第8話】
18.死、墜落、閉鎖
あれは、僕らの隣町に、飛行機が墜落する1か月前――。
「また投稿してるよ。」
「誰ー?」
「ノア。月に住み始めてから、ほんと調子乗ってる。」
「別に凄くないっつーの。」
「はいはいってかんじだよね。」
「”月に住めるのは、一定の人格と知識と体力を持った者だけ”だって。なんかちょっとおかしいよ。」
「元々優生思想みたいなの強めだった気