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色鮮やか!でも人間関係は案外複雑~「ロシュフォールの恋人たち」

一口にミュージカル映画と言っても、制作年代や国によってだいぶ趣が異なる。
今回は60年代フランスのミュージカル映画である。1967年公開「ロシュフォールの恋人たち」

監督のジャック・ドゥミは、この前作の「シェルブールの雨傘」もミュージカル映画を作っていて、こちらはカンヌのパルムドールを受賞している。全編歌で構成されていて、ほろ苦いエンディングだった覚えはあるのだが、観たのがだいぶ前なのであまり記憶に残っておらず。
今作は打って変わって陽気で観ていて楽しくなる、そんな内容である。なんといっても色彩が映えていて、文字通り眼福なのだ。

主演のカトリーヌ・ドヌーヴは公開時24歳。しかし、まじまじと見るとなかなか大人びているような。
ほかの出演者では、ジーン・ケリーとジョージ・チャキリスが見どころか。
ケリーは50歳を過ぎてはいるが、そのキレは健在と言っていいだろうか。やはり華があるスターである。チャキリスは1961年のウエストサイド物語での活躍そのまま、なんともセクシーな佇まいそのままである。

陽気な雰囲気ではあるが、そのストーリーは案外複雑である。恋人・夫婦・親子の関係がすれ違いながら展開していき、最後も決して大団円とまでは至らず。
それでもなんとなく希望が持てるようなエンディングになっているから不思議である。このふんわりした終わり方がフランス映画の特徴だろうか。50年代ハリウッドのミュージカル映画であれば、少々強引でも結着をつけていたように思う。

歌って踊ってみんな楽しい。
そんなミュージカル映画もそろそろ終わろうとしている時代の、古き良き作品である。

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