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見どころはマリリンだけではない~「モンキー・ビジネス」

最近の映画は当然のようにCGが用いられていて、それは一見現実と見紛うくらいの品質になってきている。しかし、昔はそんなものはないわけで、あれこれと工夫をして撮影していたわけである。
とりわけ動物の撮影となると、さぞ苦労もあったことだろうと思うのだが、動物のいっぱしの役者気取りだったのではないかとも思えてくるほど、名役者もいた。今回はそんな名優が出演する作品、1952年公開「モンキー・ビジネス」

「モンキー・ビジネス」とは”いんちき”の意味。
物語は登場するサルが調合した薬が原因で起こる大騒動を描いているのだが、そのサルの演技?がすごいのだ。
薬を調合するところから、部屋で暴れまわるところなど、どうやって調教したのだろうと思ってします。チンパンジーは握力がとても強いから、それを抱き上げたりするのはとても怖いだろうに、人間の役者たちも大変である。

さて、本作は一般的にはマリリン・モンローの出世作の一つとして語られることが多い。たしかに彼女も前半は登場場面も多く、水着まで披露。
しかし本作では、やはり主演たるケーリー・グラントとジンジャー・ロジャースの演技こそ白眉だと思う。

ケーリーもジンジャーも当時はなかなかのスターである。
それが10歳前後の子供に退行してしまう役を演じるわけで、そのエキセントリックなまでのはしゃぎっぷりは、見ている側が怖くなるくらいである。本当に若く子供のように見えてきてしまうから不思議なのだ。これぞ名匠ハワード・ホークスの演出ということか。

ということなので、マリリンもいいが、本作ではジンジャー・ロジャースのマダムから少女(実に可憐に見える!)にいたるまでの幅広な演技こそ見どころだということで、お勧めしたい作品である。

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