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家族との距離~「旅立ちの時」

子が親から自立するというテーマは、今日日あまり取り上げられなくなったように思うのは気のせいだろうか。親と子という対立関係ではなく、親も子も同類という関係になってきているということなのだろうか。
今回はそんな古典的な(?)テーマの作品、1988年公開「旅立ちの時」

主演は、リバー・フェニックス。ジェームズ・ディーンとならび早世が惜しまれる俳優の一人であろう。今で言えば、ホアキン・フェニックスの兄という方が通りが早いか。
彼を一躍有名にしたのはなんと言っても「スタンド・バイ・ミー」である。当時16歳だったが、年齢以上に儚げな雰囲気が印象的だった。
本作はその2年後の作品となり、大人びたリバーが堪能できる。しかしどこか儚く壊れやすさを感ぜずにはいられない。もちろん演技のこともあるだろうが、彼の複雑な生い立ちが影響するところもあるのだろう。

またこの作品を観て強く感じたのは親子・家族の絆の強さである。今の言葉で言えば描かれる両親は「毒親」である。犯罪を犯し逃げ続けているわけで、子供にしたらいい迷惑である。それでも、家族で一体となっていることを捨てきれず、リバーが演じるダニーは苦悩する。

何かの記事で目にしたことがあるのだが、余暇に家族と共に過ごす時間は日本人は圧倒的に少ないという。悪く言えば関係が希薄とも言えるが、あまり近すぎるのも実際ちょっとなあとも思えてしまう。
そういう点で、本作は共感できずやきもきする箇所があったように感じた。

それにしても、リバーが一番美しくしなやかに躍動している、それを観るだけでも価値のある作品である。

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