暴力装置という秩序~「シティ・オブ・ゴッド」
秩序がない時代、人間はどのような社会を作っていたのだろうか。
万人の万人に対する闘争か、自由と平等の社会か。
そんな永遠の論題に対する一つの答えを示してくれている映画がこちら。2002年公開「シティ・オブ・ゴッド」
暴力とあらゆる悪行が町中に溢れている。そんな「神の街」を描いているのだが、不思議と不快な気持ちにならないのはどういうことだろう。
それは欲望というより、もう一段深い、原初的な衝動による営みだからなのだろうか。
街を統率することに憧れるリトル・ゼという少年。悪行であっても一つの力が支配すれば自然と秩序が生まれる。まさに人間の辿ってきた道を見るかのようだ。これを見せつけられると現代のあらゆる権力も相対化されてしまうことだろう。
本作、まさに「仁義なき戦い」そのものなのだが、このギャングのトップに立つリトル・ゼという少年、「仁義なき戦い」に登場する大友勝利というキャラクターにそっくりなのである。
この大友勝利は千葉真一が演じているのだが、彼はこの作品によりそれまでの好青年から大きくイメージを変えることができ、俳優として飛躍を遂げることとなる。
ということで、「シティ・オブ・ゴッド」は130分という長さを感じることもなくあっという間に駆け抜けていった、そんな作品であった。これはおススメ。
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