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市井の人の戦うさま~「アルジェの戦い」

戦争映画には数多くの名作があるが、多くは戦争を題材にしたドラマ仕立ての作品が占めている。
今回紹介する作品はそういうドラマとは少し異なる、いわゆる実録モノの作品というべきか。1966年公開「アルジェの戦い」

北アフリカのアルジェリア。ここは百年来フランスの植民地であった。
日本なんかは太平洋戦争の敗戦と同時に韓国や台湾を手放すことになったが、戦勝国であったフランスは戦後もしばらくは領地としていたわけである。そのアルジェリアでの独立に向けた戦いを描いたのが、この「アルジェの戦い」なのだ。

内容は、ある青年が反乱軍に身を投じて戦っていくまでを描いているのだが、肝心のその模様はフランス軍に制圧されてしまうところで終わってしまう。で、そのあとはというと後日談のようにダイジェストのように解説が付け足され、結果独立しましたとさ、という形で終わる。
なので映画の中で多くの時間描かれているのは、反政府軍がだんだんと追い詰められていく様子なのだ。

しかし、その中でもあの手この手で反撃をしていく様子がなかなかにリアル。噂ではどこぞの国では対ゲリラ戦の教材としてこの映画を使っているとか。
特に市井の人々がどういう形で反乱軍に関わっていくか、その描き方が丁寧で真に迫ってくる。ああ、こういうこともあったのだろうな、そう思わせられるのだ。

この点の描写こそが、本作にヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を取らしめた所以ということなのだろう。

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