マガジンのカバー画像

美術せんにんの記録

41
運営しているクリエイター

2020年11月の記事一覧

これは令和の絵師だ~「中村佑介展」

これは令和の絵師だ~「中村佑介展」

画家とイラストレーターとの違いはなんだろう。
と言っても、日ごろからこのような問いを抱いているわけではないのだが、今回その境目がなんとなくわかったような気がした。
東京ドームシティのギャラリーアーモで開催中の「中村佑介展」に行ってきた。

名前は知らずとも誰もが目にしたことのある絵というものがある。
わたせせいぞうや生頼範義などはもうクラシックになりつつあるが、この中村佑介も間違いなくその一人に加

もっとみる
展覧会レビュ「改組 新 第7回日展」

展覧会レビュ「改組 新 第7回日展」

展覧会はほとんどプロ作家のものしか行かないのだが、唯一公募展で毎年足を運んでいるのが、日展である。
こう言っては不遜かもしれないが、案外掘り出し物があったりするのだ。

通常の展覧会は、全部で多くても80作品程度が適度な感覚を空けて架けられている。作品の大きさもまちまちだ。
公募展となると、まさに壁一面絵で埋め尽くされる。そしてそれが向こうの壁まで、そして隣の部屋まで連綿と続いていく。一つ一つの作

もっとみる
虚飾を生きる力に変えて~目黒区美術館「LIFE展」

虚飾を生きる力に変えて~目黒区美術館「LIFE展」

公立美術館は、このような状況下で限りある所蔵品を使ってどのような展覧会を企画していくか。それが腕の見せ所だと思うが、今回行ってきた美術館はド真ん中を投げ込んできたという企画展だった。
目黒区美術館「LIFE コロナ禍を生きる私たちの命と暮らし」展だ。

当美術館のHPによると、この展覧会の趣旨は次のようなもの。

英語の「LIFE」という言葉には、「命」と「暮らし」という意味があります。コロナ禍に

もっとみる