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映画せんにんの記録

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2022年8月の記事一覧

家族との距離~「旅立ちの時」

家族との距離~「旅立ちの時」

子が親から自立するというテーマは、今日日あまり取り上げられなくなったように思うのは気のせいだろうか。親と子という対立関係ではなく、親も子も同類という関係になってきているということなのだろうか。
今回はそんな古典的な(?)テーマの作品、1988年公開「旅立ちの時」

主演は、リバー・フェニックス。ジェームズ・ディーンとならび早世が惜しまれる俳優の一人であろう。今で言えば、ホアキン・フェニックスの兄と

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「ひまわり」の裏バージョン?~「昨日・今日・明日」

「ひまわり」の裏バージョン?~「昨日・今日・明日」

いまだ戦火止まぬ世情の中、それがオーバーラップする作品として1970年公開の傑作「ひまわり」が注目を浴びている。監督はヴィットリオ・デ・シーカ、主演はマルチェロ・マストロヤンニとソフィア・ローレン。
このトリオによる作品が実は7年前にもあったという。それが1963年公開「昨日・今日・明日」

これは3部からなるオムニバス形式。3つの話は無関係。ただ、男女の艶笑話をモチーフにしている点で、一本筋を通

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哀しみと喜びと、絶望と希望と~サミュエル・バーバー「弦楽のためのアダージョ」

哀しみと喜びと、絶望と希望と~サミュエル・バーバー「弦楽のためのアダージョ」

先日、映画「プラトーン」を見た。戦争映画の傑作である。
戦場のリアル、人間の善悪と葛藤を描いていて、凄惨な場面も多いのだが、全体的に覆うのは静謐さだと感じた。

それをより効果的にしているのが音楽であろう。
たとえばこの、中盤で主人公の上官が見殺しにあう場面。プラトーンと言えばこのポーズが頭に浮かぶが実はこれはこの上官の最後を描いている。

そして、エンディング。主人公が負傷により戦場を離れるシー

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