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#6-1 リフレクションとの出会いから、書くリフレクションへ【教員インタビュー:樋渡 由希恵先生 #1】

みなさんこんにちは。リフレクションメソッドラボラトリー事務局です。リフレクションメソッドラボラトリー(以下RML)では「MAWARUリフレクション」というプロジェクトを行っています。

MAWARUリフレクションは、「リフレクションによる個人の気づきが周囲に循環し、社会を変える」をテーマに、教育にリフレクションを取り入れる活動を2016年から続けているプロジェクトです。
本記事では、MAWARUリフレクションで新しく始めた「教員インタビュー」の記事をお届けします。教育現場で、先生がどのようなことを考えているのか、とても面白い内容になっていると思いますので、ぜひご一読ください。
第6回の先生は、小学校教諭をされている樋渡由希恵さんのインタビューです!いつものようにPodcastも用意していますので、ラジオ代わりにもぜひ聴いてみてくださいね。

VOL.6 樋渡 由希恵 (ひわたし ゆきえ)さん

地元国立大学卒業後フリーター&演劇活動を行った後、甥っ子の誕生をきっかけに子供の面白さに目覚め、小学校教員として約16年間勤務中。総括教諭。トニーブザン氏のマインドマップ®︎教育フェローとして(2010年当時)活動し、コーチングとファシリテーションに興味を持つ。CTIジャパンにてコーアクティブ®︎コーチングを学び、現在上級コースを終え、今秋CPCC®︎取得予定。
https://hiwas-coaching.jimdosite.com/


自己紹介とリフレクションとの出会い

生井:本日は小学校の公立の先生をされている樋渡由希恵先生をお招きしてインタビューを伺っていきたいと思います。それでは、最初に樋渡先生の自己紹介をお伺いできればと思います。その際、できればリフレクションにどのように出会ったのか出会いのエピソードも交えて自己紹介いただければありがたいです。

樋渡:樋渡由希恵と申します。公立小学校の教員をしています。18年ぐらい教員をしていると思います。10年以上前に、ファシリテーションに興味があり、いろんな学びの場に参加していました。後に学びの場で友達になった人たちと一緒に教員の学びのサークルみたいなのを作るんですけど。そういう時期を同じくして、岩瀬先生の本をたくさん読んでいて、授業の振り返り、学び作りの振り返り等を学び、初めて「リフレクション」という言葉に出会ったと思います。

その後、結構書くことが好きだったので、自己流で授業の振り返りをするようになり、思ったことをつらつらと毎日書いて自分なりの振り返りをしていました。ただ、やり方っていうのも定まらなく、よくわからないでいたとき、東北福祉大学の教授、上條先生からFacebookか何かで「リフレクションやってみた人いますか」みたいな投げかけがあり、そこで「ちょっと教えて欲しいです。やってみたいです」っていうふうにアプローチし、上條先生にエピソード記述という書くリフレクションのやり方を教わり、ちゃんと始めたという感じです。

生井:上條先生との出会いやその前の勉強会仲間との出会いっていうのがリフレクションの始まり、あるいはその継続っていうところにすごく大きな影響があったっていうことでしょうか。また、元々その書くのが好きだったから、自己流でちょっと振り返りっていうのもされていて、さらにそれが発展していったっていうお話でした。

ビビっときた瞬間から細かい描写まで書き出すことによる変容

山下:最初、自己流でリフレクションされていたが、*上條先生と出会い、エピソード記述のやり方を教わったとお聞きしましたが、そのあたりもう少し詳しく教えていただいてもいいですか?
*上條先生​​の記事はこちら https://note.com/rml_reflection/n/nff4c3095c366

​樋渡:今思い起こすと、自己流の振り返りっていうのが、日記みたいな感じで、その日あったこととか悩んだこととか、そういうことを中心に書いていました。ダメだしみたいな感じでした。振り返れば振り返るほど自分のダメなところが見えてきたりして落ち込んじゃったり、でもどうすればいいんだろう、みたいな。あんまり解決に至らない状態でした。何かぐるぐる回っているような、迷走しているような、振り返りだったような気がしています。
その中で苦しみながら自分なりにやってたんですけども、上條先生に出会って「これじゃ全然ダメ」みたいに言われて、そこで教わったのがエピソード記述のやり方です。

エピソード記述のやり方は鯨岡先生が元々考え出した方法らしいのですが、それにプラス、上條先生は、コルトハーヘンさんの手法や上條先生のリフレクションの手法とかいろいろ掛け合わせた上條先生なりの書くリフレクションっていうのを教えてくださいました。
鯨岡先生 https://gpsw.doshisha.ac.jp/pdf/xDelete-s_150926a.pdf

*青ちゃんも言ってたんですけど、「その日一番、ビビッときた。自分が一番良かった場面」っていうのをすごく詳しく切り取って、その場面をきっかけに深掘りしてリフレクションしていくっていうような方法だったんです。
*青山先生の記事はこちら https://note.com/rml_reflection/n/nc3960385768b

それ以前のリフレクションが自分のダメだし中心だったのが、エピソード記述を始めてからは、良かったところっていう方に視点が移って、変化していきました。

もう少し具体的に言うと、その日、仕事の中、授業の中で、一番心に残っている、自分が一番ビビッときた瞬間はどこだったかなっていうのを考えるところから始まって、「もう、この瞬間だ」っていうのを決めたらそのときのエピソードをすごい細かい描写まで書き出します。そこから、そのビビッっとくる瞬間が生まれたのは、「どういう手立てがあったから」だとか、「どういう流れがこれまでにできていたから」とかっていうのを自分なりに深堀りしていきます。こういうところがあの瞬間をうんだ要因なんだなとか、こういうところが良かったんだっていうことがわかると、じゃあ次はもうちょっとこういうことにトライしてみようかな、とかすごいポジティブな感じのリフレクションになって、すごく自分自身がエンパワーされるんですね。そこが私にとっては一番大きかったなっていう感じがしています。

生井:まさにネガティブよりのダメだし、振り返りから、これが良かったんだとか自分こんなことできていたというのが見えてくるような勇気づけられるようなリフレクションに変わったというような変化があったんだなっていうのがわかりました。

樋渡:そういえば、当時「ポジ出し」っていう言葉を使ってましたね。
それがすごく良かったです。

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本記事はここまでです。更新は毎週木曜日です。
第2回目もお楽しみに!

【樋渡先生インタビューの記事】
# 5-1 樋渡先生インタビュー1(本記事)
# 5-2 樋渡先生インタビュー2
# 5-3 樋渡先生インタビュー3
# 5-4 樋渡先生インタビュー4
インタビュアー 生井・山下
執筆:山下

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