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業界レポート 機械器具卸売業

今回は弊社独自で行っている業界レポート「機械器具卸売業」を取り上げたいと思います♪
業界レポートとは、リスクモンスターの心臓部であり、格付などの与信指標を生産・保守を行う「データ工場」が集計・分析しており、業界ごとの市場概要や業界動向、与信管理のポイントなどをまとめたレポートです。

こんにちは、佐々木正人です!
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(1)市場 概要

① 営業種目
‣産業機械器具
‣電気機械器具
‣自動車
‣その他機械器具

② 業界規模
総売上高 70 兆 2,231 億円
上場企業数 100 社
非上場企業数 40,965 社

③業界サマリー
機械器具卸売業は、機械器具製造業者(メーカー)から小売業者、ユーザーをつなぐ、卸売の役割を果たしており、取扱製品によって大きく「産業機械器具」、「電気機械器具」、「自動車」、「その他機械器具」の4つに分類される。

‣【産業機械器具】・・・工場など製造現場において使われる機械器具全般

農業用機械(耕うん機・コンバインなど)、建設機械(掘削機械・くい打機など)、金属加工機械(プレス機・せん断機・金属工作機械など)、事務用機械( 事務用印刷 機・複写機など)

‣【電気機械器具】家庭用電気機械(テレビ・音響機器・冷蔵庫・洗濯機・エアコンなど)、電話機 、 変圧器 、 パソコン

‣【自動車】自動車(トラック・二輪車等も含む)、自動車部品(タイヤ・ カーエアコンなどのカー用品全般含む)

‣【その他機械器具(自動車除く)】
輸送用機械(自転車・船舶・航空機など)、学術用機械(測量用機械・写真機械など)、光学機械(望遠鏡 ・ 双眼鏡 ・ 顕微鏡など)、医療用機械(医療機械 ・ レントゲンなど)

(2)ビジネス モデル

機械器具卸売業は、機械器具製造業者(メーカー)から小売業者やユーザーをつなぎ、利ざや(マージン)で利益を生み出すという、卸売業の基本的なビジネスモデルである。

他の卸売業者との大きな違いは、大手企業が販売先となるケースが多いという点である。産業用機械や建設機械の販売先は、それぞれ大手製造業者や建設業者のユーザーである。また、電気機械器具の主要販売先は大手家電量販店である。

機械器具卸売業の事業形態は、「メーカー系」と「独立系」の2つに大別される。メーカー系とは、実質的に機械器具製造業者の販売用会社となっている企業である。取扱製品も当該メーカー品となり、ブランド力や資金力のある大規模メーカーの多くは、自社が出資する販売子会社を有している。メーカー系販売会社は、自社系列の製品を専売することができるため、安定した仕入れと販売が可能となる。

独立系の場合、業務提携をしていない有名メーカーの製品は、メーカー系販社から購入することになるため、仕入価格がやや割高になるものの、その他の様々なメーカーの製品を顧客のニーズに合わせて選択して取り扱うことができるといったメリットがある。

国内における機械器具卸売業者の主流はメーカー系であり、日立建機日本、キヤノンマーケティングジャパン、いすゞ自動車販売など、日本を代表する大手製造業の子会社が中心である。また、子会社ではないものの、各メーカーと資本提携をした企業も多い。


(3)業界動向

経済産業省発表の2020年商業動態統計から、機械器具卸売業の販売額は、2008年のリーマンショック以降の落ち込みが大きかったものの、2016年を境に増加に転じていることが分かる。2020年には、販売額が前年比32.3%の増加となり、1980年以降で最大の伸び率を記録した。新型コロナウイルス感染拡大による家電の巣ごもり需要や、テレワーク普及に伴うパソコン・周辺機器の需要が販売額の増加を後押ししたと思料される。

卸売業全般において、ECサイトの普及と物流の充実化によるメーカー直販が進み、卸売業を介さない取引形態が増加しつつある。これに対して、資本力のある独立系の機械器具卸売業者は、顧客である製造メーカーと共に海外進出したり、海外現地企業への販売を拡大するなど、海外展開を進めている。

一方、海外進出の難しい中小企業は、より専門分野に特化し、豊富な知識と複数メーカーの製品を扱えるメリットを活かしたソリューションに注力する傾向にある。多くの製造現場では、作業工程ごとに複数種類の機械を活用していることから、生産性の向上やコスト削減につながる製品の紹介、業界情報の提供など、付加価値を付けることで生き残りを図っている。

(4)財務指標 分析

(安全性分析)
他の卸売業と比較すると、固定比率は73.0%と優良な水準である。要因としては、在庫負担の低さが挙げられる。顧客のニーズに素早く応えるため、一定の在庫を抱える必要のある飲食料品卸売業などと比較して、機械器具製品は大型で単価が高く、受注後に仕入れを行う傾向があるため、在庫を保管しておくための倉庫や土地など固定資産の割合が、他の卸売業に比べて低くなりやすい。

(収益性分析)
卸売業はマージンビジネスであるため、利益率は他の業種に比べて低い傾向がある。売上高経常利益率においては、生産用機械器具製造業の5.8%に比べて各卸売業の低さが際立つ。一方、卸売業内で比較すると、機械器具卸売業は、繊維・衣服等卸売業や飲食料品卸売業と比べて高めの利益率となっていることが分かる。要因としては、取扱製品の単価の高さが挙げられる。

(効率性分析)
資本効率面では、棚卸資産回転期間が短期間である点が 特徴として挙げられる 。在庫を可能な限り抱えずに、効率的に販売していくことで、低い利益率をカバーするという、卸売業の基本的な収益構造がみえてくる。同様に、総資本回転率も生産用機械器具製造業と比較すると優れた水準であり、少ない資本、特 に少ない固定資産で効率的に収益を上げられるかどうかが、事業を継続・拡大させていくポイントとなる。

(5)与信限度額の考え方

与信限度額とは、取引において自社が許容する信用供与の最大額であり、いかなる時点でも超過してはならないものである。与信限度額は、「必要かつ安全な範囲内」で設定する必要がある。必要な限度額は、取引実態を基に算出し、安全な限度額は、自社の財務体力や取引先の信用力(格付)を基に算出する。

●与信金額(必要な限度額)
実際の取引において、必要となる与信金額。機械器具卸売業に対して発生する与信取引としては、機械器具の販売による「売買取引」が挙げられ、継続取引における必要な与信金額は、以下のとおり算出される。

与信金額 =月間の取引金額 × 回収サイト

取引を行う際には、自社の取引条件が斯業界の平均水準から大きく乖離していないか、確認すべきである。買掛債務回転期間の業界標準値が「斯業界の平均的な支払サイト」を表しているため、「月間の取引金額×買掛債務回転期間の業界標準値」によって、与信金額の基準とすることができる。

機械器具卸売業 に対する平均的な与信金額 =月間の取引金額 × 2.8 か月

●基本許容金額(安全な限度額)
基本許容金額は、自社の財政がどの程度の貸倒れまで耐えうるかを予め計ることで、自社の体力を超える取引に対する牽制機能を働かせるものであり、自社の財務体力と取引先の信用力を考慮して算出する。一例として、自社の自己資本額に対して、取引先の信用力(格付)に応じた割合を安全な限度額とする方法がある。

基本許容金額 =自社の自己資本額 × 信用力に応じた割合
(例 : A格10%、B格5%、C格3%、D格0.5%、E格0.3%、F格0%)

●売込限度額(安全な限度額)
販売先において、自社との取引シェアが高くなり過ぎると、自社が取引から撤退することが困難となる恐れがある。そのため、取引先の信用力(格付)に応じて取引シェアに上限を設けるべく、取引先が抱える買掛債務額の一定割合を売込限度額として設定する方法が考えられる。

売込限度額= 買掛債務額 × 信用力に応じた割合
(例 : A格30%、B格20%、C格15%、D格10%、E格6%、F格0%)

仮に、取引先の売上高情報しかなく、買掛債務額が不明な場合であっても、業界標準値を用いて売上高総利益率(17.5%)と買掛債務回転期間(2.8か月)から、以下のように買掛債務額を推定することができる。

買掛債務額 =売上高 / 12[月商 ] ×( 1 -0. 175 [原価率 ] × 2.8 (か月) [買掛債務回転期間 ]=売上高 × 0. 1 925
(例:売上高100億円・A格の場合:100億円×0.1925[買掛債務額]×30%[信用力に応じた割合]=5.8億円)

(6)与信管理のポイント

機械器具卸売業は、対象となる製品が幅広く、取扱製品の業界や、製品需要による業績への影響が大きくなる。そのため、まずは取引先の主要営業品目や取引割合、業界動向を把握しておくことが重要となる。

また、資本関係も重要なポイントとなる。卸売業者はメーカー系と独立系に二分され、製造業者(メーカー)が親会社となっているメーカー系の場合、グループの信用力を考慮する必要がある。独立系企業の場合でも、特定のメーカーと資本提携・業務提携をしているケースがあるため、取引先の提携企業との関係性を把握しておきたい。

業績面では、メーカー系の場合、親会社となるメーカーの業績を含めて、グループ全体の業績推移を確認することが重要である。独立系の場合は、取扱製品の選択が幅広いため、メーカー系に比べて取扱製品の変化と共に業績の変動が起きやすい点に注意が必要である。

独立系の場合には、「自動車と建設機械」、「農業用機械と事務用機械」など、販売先業界の異なる製品を取り扱っているケースがあることから、部門ごとの売上高と利益の割合や、過去からの変遷を分析しておきたい。特に、営業品目が多岐にわたる企業においては、収益の柱となっている部門・製品を押さえておく必要があろう。

低利益・高回転ビジネスの卸売業において、収益性・効率性に関する指標に変化が生じると業績にも大きな影響が生じやすくなる。利益率が低い場合には、競合の存在によってマージンを減らさざるを得なくなっている、仕入先が不安定になっている、コストが増加しているなど、収益構造の問題を考慮すべきであろう。また、資本効率の悪化が指標に表れてきた場合は、過剰在庫の存在や、既に資産価値を失った不良在庫の存在を確認する必要がある。

近年では、インターネットの普及と物流の充実化によるメーカー直販が進んでいる。業種別の商業販売額をみると、繊維や衣服など個人がエンドユーザーとなる業界において、販売額の減少が目立っており、メーカー直販の影響がうかがえる。機械器具卸売業においては、生産用機械や建設機械など企業向け製品が中心であるため、メーカー直販は進みにくいと想定されるものの、今後の影響については注視しておきたい。

【参考資料】
経済産業省:「2020年商業動態統計」
中小企業庁:「令和2年中小企業実態基本調査(令和元年度決算実績)」
業種別審査事典(一般社団法人金融財政事情研究会)

本日の内容は以上になります。
次回もお楽しみにでは

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業界レポート 機械器具卸売業 2021.09

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