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#星語掌編集
掌編「エルゴォの不思議なマッチ。」
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星語《ホシガタ》掌編集*15葉目
(4500字/読み切り)
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「マッチだよ。マッチはいかが?」
月夜にシャンシャンと結晶降り積む、白く染まった”銀の町”。慌ただしい年末、今日はクリスマス。どこか遠く、コーディのブンチャカ言う音色に合わせ、不器用な縦笛の夜想曲が響く、がたがたの煉瓦道。
シルクハットの隅の埃を払い、袖も裾も引きずるほど長い煤けた外套には、た
掌編「歪なクッション」
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星語《ホシガタ》掌編集*11葉目
(3355字/読み切り)
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チクチクチク、チクタクチク…。
気づけば、どこかの寒々しい暗闇の中、肩にショールもかけず、小さな蝋燭の灯りに目を凝らしながら、───何かを必死で縫っていた。やたらとちいさな…10㎝あるかないか。ぐらいのなにか。
今様色…?紅色…?いや、もっと彩度が高い……猩々緋《しょうじょうひ》色…?の何か、一部が丸かっ
掌編「鳩目町仕様ネイビーモデル67」
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星語《ホシガタ》掌編集*8葉目
(2662字/読み切り/挿絵付)
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陽炎の中、ゆらり、青い屋根連なる白ばんだちいさな町、霞んで揺れた。
──ここはどこだ?
これは残像?それとも────
ふと気づくと、わたしは、光の爆発の中、坂の上から遠く水平線が見渡せる、どこかの町の只中に突っ立って、ノースリーブのワンピースをなびかせ、眼下に広がる青を見ていた。
照
掌編「そんなところも?どんなところも」
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星語《ホシガタ》掌編集*7葉目
(1143字/読み切り)
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「なに読んでるの?」
色の薄い板張りのダイニングに、東からの白い光。くっきりと窓の影が描きだされていた。今日の空は何色だろう。
継ぎの当たった二人掛けソファから巨体をはみ出し寝そべりながら、日曜の朝からスマホをだらだらと読み耽る、わたしの………恋人?いやなんかもうそういうのではない。家族?腐れ縁
ビョウ、後ろ頭殴るような熱風。星語商店街アーケード中央。女々しく占いの切抜き御守に、待ち合わせ場所に急ぐ俺の脇抜けた
「風洞竜《ふうどうつかい》だ!
町の奴ら口々に願い事。追うと捲れた空の先、竜の雲道が貫く。火花が遠く弧描いてた
願い事を叶えてくれるとしたら、竜よ、この恋よ