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2020年1月の記事一覧
真夜中に懐中時計のネジを巻いています。手の中で動く小さな機械仕掛けの時計の、精巧な部品がくるくると動いている姿に、小さな愛おしさを感じます。ネジを巻いていると、昨日の夜と今日の夜の境目に佇んでいるような、目に見えない時間の粒と約束を交わしているような、不思議な気持ちになるのです。
『携帯電話』 随筆怪談
其の一。
先日こんなことが。
母のガラケーに着信があった。市役所かどこかの保険会社からの電話だと思ったらしい。ところが、母が電話に出ると相手は何も言わないまま電話を切ったのだという。
ぼくはその話しを聞きながら、電話に出たとたんに切れたのではなく、相手がおそらく母の「もしもし」という声を聞いてから切った、というタイミングに微かな気持ち悪さを覚えたが、それも考えすぎかもしれないと思い直し、
「ほんま