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【読書日記】旅先にもドラマ、訪れる人にもドラマ

アンソロジーって、色々な作家さんの短編が読めて、好きな作風に出会えたりして贅沢ですよね。短編集が割と好きな私としてはKindle Unlimitedに入っているとついつい素通りできずにダウンロードに走ってしまいます。

今回はこれを読みました。

Kindle Unlimitedで読めます

このアンソロジーは、コンセプトはコロナ自粛が話のどこかに出てくること。
あの自粛期間の閉塞感を、これらを読むことで吹き飛ばそうという企画意図が
あるのかな。

小説に時事が入ると、古臭くなる弊害があるけれど、それでもこの気持ちを飛ばしていく、想いを馳せる、残していくという気持ちがそれぞれの作家さんの切り口と力量で描かれています。

坂木司 『下田にいるか』
松尾由美『情熱のパイナップルケーキ』
近藤史恵『遠くの縁側』
松村比呂美『糸島の塩』
篠田真由美『もう一度花の下で』
永島恵美『地の果ては、隣』
図子慧『あなたと鯛茶漬けを』

完結してない余韻が楽しめるのもまた短編の良さでもあります。

下田の話は、サフィール踊り子に乗りたいなぁとふんわり考えていたので、実際に行ってるような気分。

旅行代理店勤めの主人公の青年が、企画の叩き台を作るのは上手い(詰めこみ過ぎ)けど、なかなか自分の企画が通らない八方塞がり感と、コロナ自粛の閉塞感が見えない壁となっています。あの時、そして今も少し感じている見えない心のブレーキみたいなのが主人公の心とリンクします。

そこで突発的に下田に行くわけですが、そこで下田海中水族館へ行き、いるかショーを見る。
いるかの躍動感が閉塞感を跳ね飛ばしてくれる感じが爽やかです。

それから台湾のパイナップルケーキが出てくる松尾さんの短編も印象的です。
私は横浜の中華街で売ってるイメージでしたが、そうですよね、本場台湾のお土産物としても。

なかのパイナップル餡が美味しい!

ちょっとだけミステリー要素もあって、さまざまな感情がうまく織り交ぜられていて、すごく良い。台湾に行ってみたい。

どの短編に出てくる主人公も魅力的で、人って一人ひとりにドラマがあるよねと、気づく。

この短編集、想い出編というのもあるみたいなので読もうかしら…

とKindleにお世話になりっぱなし。
と思ったらこの暑さで、iPadのヒンヤリ感が大好きな猫にiPad取られました。

確かにiPadはヒンヤリしてる..

ではまた!

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