見出し画像

読書|神様の暇つぶし

優しい父が事故で亡くなった。心の隙間を埋めるようにふらっと現れたのは、かつて頭を撫でてくれた父よりも歳上の全さんだった。

恋は人を変えるのだろうか、恋で自分が変わったと思いたいのだろうか。

血色の悪い唇に、乾燥した肌。いつか土に還ってしまいそうな容姿なのに、全さんの眼差しや温度を忘れることができない。

大学生の藤子は、カメラマンの全さんに心と身体を奪われ、今もなお、全さんを身体の一部で飼っている。

私にも、過去の記憶が自分の中に居続けています。優しく撫でてくれたひいおばあちゃん、可愛い顔をしてクールな愛犬、青春の時間を共に過ごした大好きだった先輩。心を許し、身を預けた誰かの存在は私の中で生き続けています。

私の中で誰かが生き続けているように、私も誰かにとって忘れられない、忘れたくない存在でありたい、と思ってしまいました。





前回の読書記録はこちらです。


この記事が参加している募集

読書感想文

わたしの本棚

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?